明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ39作目『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015)17・18話感想

 

忍びの17「グッバイ、スターニンジャー!」


脚本:下山健人/演出:加藤弘之


<あらすじ>
すっかりみんなに溶け込んでいたスターニンジャーことキンジ・タキガワだが、ラストニンジャ好天からは「期限は一ヶ月、それまでに孫達と決着をつけること」と言われていた。期限が翌日と知った天晴たちは何とか力になりたい。そんなとき現れた妖怪はウミボウズ。幻を見せ人々を海の中へと誘うのだった。晦の作戦はバリアを張って妖怪を誕生させニンニンジャーたちには気づかれないよう、スターニンジャーだけおびき寄せる作戦のようだったが……。


<感想>
いや弟子入りは無理でも6人一緒にニンニンジャーとして戦うことは別に不可能じゃないじゃん!


そんなことを突っ込みたくなった今回の話ですが、見せたいものは理解できなくはないものの全体的にピントがズレていてコレジャナイ感が物凄い(苦笑)
スターニンジャーのお別れシーンで一応帰る手段があったことには納得しましたが、問題は「スターニンジャーの弟子入り」と「幻術にかかった上での過去のトラウマ」が全く繋がっていないこと。
というか、単にニンニンジャーとして牙鬼軍団と戦うだけなら別に好天に弟子入りする必要はないわけで、まあその牙鬼軍団にかつての好天の弟子がいたことが問題だったわけなのですが。
何だろう、本作って中途半端に重たい要素やら提示しておきながら雑に解決、ではなくそもそも「連結装置すらない」というのが困ったところなのです。


幻術にかかってトラウマに陥るのを否定しませんが、そういうのはスターニンジャーの人となりがきちんと定まった状態でこそ有効な作戦となります。
そもそも「ニンニンジャーを闇討ちして好天に弟子入りしたい」ということしか内面を持っていないギャグキャラのキンジが今回に限ってシリアスをやっているのも違和感です。
また、そのトラウマの映像に出てくるキンジの肉親とその過去があまりにも映像としてショボすぎるのもあって、よくこんなクオリティーでGOサインが出たなとため息しか出ません。
ニンニンジャー5人との絆とかそういうのも特別に描かれてきたわけでもありませんし、なんか「第三勢力」なのか「6人目」なのか距離感がはっきりしないため、別れのシーンが際立たないのです。


というか、そもそも別れのシーンなんて描いても「どうせ戻ってくるんでしょ」と先が読めてしまう展開なので、わざわざ退場させる意味がわかりません。
そこに物語上の意味がきちんとドラマとして乗せられているのであれば話は違いますが、本作はそもそもそんな風な作りになっていませんし。
エンタメ重視としてもドラマ重視としても、どっちにしてもここまでで最低クオリティであることは間違いないです。


で、ここからはそれに伴い思ったことですが、久右衛門という裏切り者が出てしまったから弟子は取らないというのであれば、天晴たちはどうなのかと思ってしまいます。
天晴たちだって決してその久右衛門のようにならないとは言い切れないわけで、どうして身内に対してだけはこうも甘くて野放しにしているのかがわかりません。
まあ天晴のバカさではそんな闇落ちなんてやろうとしても面白みがないのはありますが、八雲や霞なんかは裏切りそうですし。
凪や風花はまず裏切りができる性格じゃないですし、やろうとしても絶対にボロが出て盛り上がらないなあと。


どっちにしても好天は最初からキンジを弟子入りさせるつもりなんてなかったわけですし、しかもそのことと牙鬼軍団の戦いとラストニンジャを目指すことに何の繋がりもないという。
関連性が薄い要素ばかりなので全く盛り上がらず、全くキンジというキャラクターの集約にならなかったのは誠に残念。評価はF(駄作)以外にありません。


忍びの18「八雲が愛した妖怪」


脚本:毛利亘宏/演出:加藤弘之


<あらすじ>
晦の次なる作戦はニンニンジャーを尾行しアジトを突き止めることだった。戦いを終え散らばる天晴たちをジュッカラゲが追う。天晴と風花は父の日のプレゼントを買いに向かうのだが……一方旋風はスーパーへ夕食の買い物に出かけた。そこに降ってくる雨、「ご自由にお使い下さい」と横にあったカサは実は……旋風が忍者となって大活躍!?


<感想>
イギリス=芝刈り機なんてイメージはいつの間に出来たんですか?


いや、別にイギリスだけじゃなくアメリカだろうと日本だろうと芝刈り機で国や国民性を表すのはやめていただきたいです。
イギリならせめてハリーポッターとか産業革命とかノルマンコンクエストとかもっと色々ネタはあったでしょうに。
まあ毛利さんなんて所詮荒川稔久劣化コピーなので、高尚なテーマや話題なんて書けないのは自明ですけどね(「キュウレンジャー」がその典型)。
内容的には可もなく不可もなしといったレベルですが、こういうミスリードさせる展開はいかにサスペンス要素を盛り上げるかがミソなのですが、そこの演出が甘かったなと。


それに洗脳されて味方を襲う演出って普段のヒーローとしてのかっこよさや強さをきちんと描けていてこそ、対比として成り立つわけじゃないですか。
本作はまずそのヒーローとしてのかっこよさすら貫けていないため、単にノルマをこなしているだけという印象にしかなりません。
まあ天晴の「たかが芝刈り機」発言は最も好感度下げたポイントなので、そこだけ見ればよかったんですけどね。
そう、天晴って単なる馬鹿ではなく無神経さが根底にありきなので、所詮はこの程度のキャラかと底が見えてしまったのがね。


この辺り、下山脚本で描きたい天晴と毛利さん解釈の天晴があまりにも違う気がするんだよなあ。
下山脚本の天晴は「本番に強い人でなしの天才」なのに対して、毛利さん解釈だと「相手に対する思いやりが全くないただのバカ」という感じです。
まあ前者がきちんと描けていないために後者の表現がキャラクターの個性の幅に収まっていません。
それから八雲はだんだん物語の中で湿度の高さと不憫さが目立つようになり、良くも悪くも少しだけ面白くなりましたが。


総合評価はE(不作)、これならもっと面白く出来たのではないでしょうか。

 

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