明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ39作目『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015)7・8話感想

 

忍びの7「春のニンジャ祭り!」


脚本:下山健人/演出:竹本昇


<あらすじ>
強敵、蛾眉に歯が立たなかった八雲たち。なお一層、修業に身が入る。一方、忍術が使えない無力さを実感した父、旋風(つむじ)は、さらに強くなれるよう、皆の先生を連れてきたという。その先生とは……カクレンジャーハリケンジャー!?そんな中、生まれる最強妖怪ネコマタ。何やら、先輩方とも因縁がありそうで…?


<感想>
「人に隠れて悪を斬る、それが忍者だ」
「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ、それが忍者だ」
「忍びなれども忍ばない?そんなこと言ってるようじゃ、到底本物の忍者にはなれないぞ」


う、うーん……言ってることは間違っていないんですが、何なんだろうこのサスケと鷹介のウザさは……?(^^;)
これは「ゴーカイジャー」を見た時にも覚えた違和感だったのですが、何が嫌って歴代先輩がさして面識も免疫もない現役のやつらに先輩風吹かせてマウント取ることです。
しかし、それ以上にもっと嫌いなのは天晴のあの生意気を通り越した非常識な態度で、これは単なる礼儀知らずの人でなしと取られても仕方がないでしょう。
なので今回は話の内容以前に、そもそも「なぜテレビシリーズにおいて先輩との客演・コラボが好きではないのか?」という話をします。


まあ元々先輩戦士とのコラボ自体は別に珍しいことではなく、昭和ライダーしかり昭和ウルトラしかり、それからロボアニメでいう「東映まんがまつり」しかり客演自体はあったのです。
で、大体共演の形は2種類あって、1つが友達感覚の横社会でもう1つが先輩をきっちり現役が立てる縦社会なのですが、「ゴーカイジャー」しかり本作しかり縦社会が行き過ぎた感じは好きじゃありません。
ゴーカイジャー」はなんか「歴代戦隊の熱い魂をゴーカイジャーにぶち込んでやる」みたいな作りになっていましたけど、私からするとそれって高校や大学の部活でよくあるOBOGの現役に対するマウントですよね。
私は高校時代も大学時代もそういうOBOGが来てくれる部活に所属していましたから、「ゴーカイジャー」の歴代戦隊のゴーカイジャーに対する態度や今回のサスケ・鷹介のニンニンジャーに対する態度が気に入りませんでした。


最初に書いた「人に隠れて悪を斬る」「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ」は別に彼ら自身の思想信条や戦い方を言っているわけではなく、単なるキャッチフレーズでしかありません。
実際に原作の「カクレンジャー」「ハリケンジャー」をご覧になればわかりますが、彼らだって現役の時は別段ニンニンジャーに偉そうに説教・指導ができるような人たちじゃなかったですよ。
サスケなんて妖怪を復活させた元凶の片割れで序盤は結構ズボラさが目立ったフリーターでしたし、鷹介だって言動・行動はすごく幼さが目立つ「バカレッド」の類です。
そういう意味ではむしろ天晴に近いわけで、鷹介は変に偉ぶるよりも鷹介とおバカ同士でわちゃわちゃやった方が良かった気がするんですけどね。


しかも伊賀崎流とサスケたち先輩の正義の形は違うわけであり、そういう違いをきちんと踏まえないで一方的に思想信条を絶対のものとして押し付けてくるのはもっとダメでした。
これは「ゴーカイジャー」のレジェンド回でも思ったところで、何というか変に先達を尊敬しすぎるあまりに偉ぶった老害みたいに描いてしまうのは寧ろ失礼だと思います。
かといって、現役のニンニンジャーたちの舐め腐ったような態度も決して正しいとは言いませんけども、もしかして先輩たちにこうして厳しく指導してもらって成長するためにわざとダメダメに描いてたんでしょうか?
もしそうだとしたら完全に作劇として失敗であり、これは下山脚本に限ったことではないですが、「成長物語」と称して偽悪的ないしお味噌が足りないバカキャラを描きたがる人に限って最初からダメダメに描きたがるんですよね。


私の長年の親友である黒羽翔氏も語っておられるように、下山健人はジャンプ漫画を描いても戦隊シリーズでもアニメでも明らかに自分の描いた作品が受け手にどう映っているかという自己評価が適切にできていません。

 

 

・いきなり国内サッカーdis
・二部dis
・先輩を先輩とも思わない態度でかすぎ新人+寒いギャグ連発新人
・ふざけてるようにしか見えない監督
・ホペイロ志望にも関わらずサッカー知識ゼロのヒロイン 


引用元:https://note.com/all1_accepter/n/n7ee3dacf56bd

 


これらの特徴は「ニンニンジャー」にも当てはまる要素であり、「いきなり実家爆発」「忍者dis」「目上に対する接し方がなってないバカレッド」「ふざけてるようにしか見えないダメ祖父」など。
今回の話は先輩を立てながら現役の魅力を引き出すということには失敗していますし、しかもしらこく「天晴が過去で殺されるからそうならないように現在にやってきた」という取ってつけたような言い訳をしています。
そんな言い訳をしたところでニンニンジャーたちの好感度が上がるわけでも、ましてや先輩忍者の現役に対するウザいマインティングが正当化されるわけではありません、ただのパワハラモラハラです。
先輩戦隊との客演をやるなとは言いませんが、それは最低でも天晴たちのキャラクターと関係性がしっかり出来上がってからやるべきであって、本作はその基礎すらできてない砂上の楼閣でしかありません。


基礎土台がボロボロのところにまともな家が建つわけないので、もう本当に終始しかめっ面で見てしまい、唯一褒められそうなのは3人のレッドが揃い踏みしたところくらいでしょうか。
しかもものすごく深刻な話題を振っておきながら「天晴は本番に強いから」というクソみたいな屁理屈であっさり回避するという「ゲキレンジャー」辺りから目立つようになる雑な解決です。
そのため今回ももちろん総合評価はF(駄作)なのですが、1個だけ評価とは別に褒めておきたいのは小川輝晃氏と塩谷瞬氏がきちんと現役のスタッフ・キャストにダメ出しをしていたこと。
当時の公式HPを見ればわかりますが、あまりにも弛んだ現場の雰囲気に喝を入れるメタ要素が話に活かされていたと思えば、まあそこだけは悪くないのかなと思います。


忍びの8「時をかけるネコマタ!」


脚本:下山健人/演出:竹本昇


<あらすじ>
風花と凪は春になって、高校生活が始まった。前の道場から引っ越してきたので、転入生となる。さっそく風花には友達ができ、家に遊びにきたいといわれるが、忍者であることは知られたくない。そんなことをしたら学校中の話題になってしまうに決まっている。ましてや、忍者しか頭にないお兄ちゃんに会わせたくない・・・。一方、道場に妖怪の目撃情報が入り、出動した天晴たちは、再びネコマタに遭遇する。なぜ倒したはずのネコがまた?


<感想>
いや「ニンニンジャー」としての戦いに集中したいのならば学園生活なんか中途半端に描くなよ、危ねえだろうが!


そう叫びたくなった今回の話ですが、これまでそんなそぶりは特別描かれてこなかったのに、今更この段階で凪と風花の学園生活なんか中途半端に描いて何になるのでしょうか?
八雲のイギリス魔法しかり霞の科学者ネタしかり、本作に出てくる登場人物の設定って本当に単なる「記号」にしかなっていなくて、全然彼らの思想信条を形成するほどになっていないんですよね。
私はそういう物語に全く反映されない設定ってクソだと思っていて、本作も例外ではなく取ってつけたように中途半端なシリアスネタを出して、それで最後は天晴わっしょいで雑に解決してしまいます。
あと、もっと嫌だったのはクラスメートの友達に天晴が触れたり、ラストで凪がお姫様抱っこしたりしているところで、あれ今の時代セクハラ扱いされるから気をつけてください。


そもそも友達に気付かれるのがそんなにまずいんだったら最初から関わりなんか持つなよと思ってしまうのですよね、だって責任を取るのはそれだけ大変なことですから。
こういう時、どうしても私は「シンケンジャー」の千明を思い出してしまうのですが、なぜ「シンケンジャー」では第一幕の段階で世俗との関わりを捨てさせたかがわかるんですよね。
なぜかというと第三幕の千明がそうであったように、中途半端に学友と関わりを持っていたがばかりに外道衆との戦いに巻き込み怪我をさせたということがありました。
そう、無辜の者にとってはヒーローもまた悪の組織と変わらない脅威なのであって、「メガレンジャー」の終盤なんてそのせいで世間一般から迫害されたわけですし。


そういうデリケートな、扱うのに慎重さが要されるネタをギャグとして粗雑に扱ったのもさることながら、ネコマタの時間ネタに関してもまたうまく扱えていたとはいえません。
時間ネタというとやはりどうしても「タイムレンジャー」「電王」が思い出され、それらもやはり小林脚本ですが、この2作は時間というギミックをすごく慎重に扱っていました。
こういう時間SFの要素は余程のプロじゃない限り扱いに失敗するととんでもない劇薬になってしまうので、扱いには慎重さが必要とされるのですが、その辺りもすごく雑。
それから今回風花が目立っていましたが、「たまにはいいか!」という天晴のセリフの意味が「基本的に妹は俺の引き立て役だがたまにはいいか」でした。


だってそのあとの巨大ロボ戦、風花が神輿に座って目立った時に「おい何お前が座ってんだよ!」という、八雲が座った時には全くしたことがない反応を見せていましたから。
これってつまり天晴はナチュラルに八雲以外のやつらを格下にして引き立て役扱いしているということでよろしいでしょうか?
まあ何れにしても、とにかく天晴が目立てば目立つほど好感度が下がること、そして風花と凪があまりにも中途半端だったことだけが示され、評価はもちろんF(駄作)です。

 

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