明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ46作目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022)第12話感想

 

ドン12話「つきはウソつき」


脚本:井上敏樹/演出:山口恭平


<あらすじ>
ウソつきアイドルVSウソがつけないモモタロウ!しかし!この祭りはウソではない!!ついに待ちに待ったドンブラザーズ大合体!!!ドンオニタイジンの初陣を見逃すな~!!!


<感想>
いや、幾ら何でもこんなアイドル像古すぎじゃね!?


う、うーん、ドンオニタイジンの初陣がこんな中途半端なできでいいのかと思ってしまったのですが、いわゆる「嘘と真実」という桃井タロウの話とアイドルの持つ虚像との話がどうにも合わないというか……。
あと、井上敏樹先生はもうちょっと最新の女性アイドルを勉強した方がいいと思いますよ、吉良キララとかそんな芸名の女性アイドルなんて現実には居ませんよ^^;
まあ現実に居ないだけならまだしも、どうして男が描くアイドル像ってこうもオヤジ臭いというか「こうあって欲しい」という理想の押し付けになってしまうのでしょうか?
井上先生はもうちょっと女に現実的要素を入れていて、それはこのアイドルを目指している子も同じなのですが、それにしても描き方が付け焼き刃で底が浅いというか。


あと、桃井タロウの嘘がつけない性格はまだ許容範囲だったとしても、冒頭にあった「人が買ってきた食べ物を勝手につまみ食いしたのを指摘したせいでバイトをハブられる」というのはおかしいでしょう。
私も宅配のバイトをしていますが、いくらフィクションでもそんな理不尽な仕打ちをする先輩はいませんし、それに今回は理由がどうあれ人の食べ物を勝手に食べてしまったのがいけなかったのですから。
まあ犬塚の時とは違い宅配の荷物ではなかっただけマシですが、「食物の恨みは恐ろしい」とはよくいうものですから、今回に関してはあのクソデブが悪いですよね。
ラストで取ってつけたように感動的な母親との対面シーンを描いていましたけど、それでそのクソデブがやった盗み食いの罪がなくなるというわけではありませんので。


それから女の子がアイドルを目指す動機が「おじいちゃんを喜ばせたい」というのも、幾ら何でも甘く見過ぎというかアイドルの現実を知らなさすぎじゃないですかね。
アイドルなんてみんな努力や動機が大切だと思われるかもしれませんが、現実は殆どが運と縁、タイミングという要素によってデビューが決まります。
だからプロのアイドルとしてガチで売れたいのであればまずは大手事務所に所属しなければそのスタートラインに立つことすらできないのです。
地下アイドルと呼ばれる連中がなぜ燻ったまま埋もれているのかというのも結局原因はプロデュースする事務所の力関係があまりにも小さすぎることにありますから。


あと、今の時代は男性アイドルにしても女性アイドルにしても人間性が物を言う時代であって、単に歌って踊れるだけのキラキラアイドルに大した意味はありません。
それはジャニーズでいうならSMAP以前とSMAP以後で大きく歴史が変わっているのを見ればわかるように、女性アイドルも単に「可愛い」で売れる時代じゃなくなりました。
それから、幾ら何でも喫茶店は静かに休憩する場所であって、決してスナックやディスコのように歌って踊る場所ではありません。
ライブハウスをやるのであればそれ相応の会場というものがあるわけで、その辺のことも不勉強だとしか思えないのです。


また、アイドルとしてデビューするのであれば「嘘が現実になる瞬間」を描いてこそだと思うのですが、肝心要のそこがすっ飛ばされてしまっています。
そして最大の致命傷は今回描かれていたことがドンブラザーズとしての絆やドンオニタイジン初登場のカタルシスに繋がっていないということです。
ここが本当に辛いところで、玩具販促のノルマ処理が非常に雑というか、もう少しマシな形で描けないものかと思いました。
デザイン自体は悪くないしアクションも好きなドンオニタイジンですが、果たして本編でこんな登場のさせ方でよかったのでしょうか?


「太陽と月」に準えて桃井タロウとソノイが何となく通じ合うところは悪くないのですが、かといって安易な共闘や友情に持っていって欲しくはないなあとも。
なにせ「仮面ライダー龍騎」の真司と蓮の関係を安直な友情ものとして描いたという事例があるので、私は最近の井上作品の「男の友情」描写はあまり真に受けないようにしています。
アイドルを出すのは別に構いませんが、これだと所詮荒川稔久と同レベルでしかないというか、もうちょっとマシなもの描けないのかと憤りを感じました。
総合評価はE(不作)、描きたい題材や具材は悪くないのですが、その組み合わせ方と調理の仕方でことごとく総まとめとして失敗たという印象です。

 

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