明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ33作目『侍戦隊シンケンジャー』(2009)9・10話感想

 

 

第九幕「虎反抗期」


脚本:小林靖子/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
稽古を始めた丈瑠と流ノ介。腕は五分五分であり、技術はむしろ流ノ介の方が上との声もある。一方外道衆の方では腑破十蔵と名乗る男が現れ、ドウコクから了承を得て丈瑠を狙うことに決めた。一方、妖術で虎折神を洗脳して操っていたアヤカシが現れ、流ノ介を洗脳してしまう。流ノ介は茉子、ことは、千明を倒し、丈瑠との一騎打ちとなるが…。


<感想>
今回の話は七幕の舵木に続き、またもや流ノ介のメイン回。こんなにも序盤で出番を貰ってる流ノ介、やっぱり美味しいなあ(笑)
そろそろことはと千明、茉子の3人にも出番が欲しいところですが、まあ流ノ介は何かと便利すぎるから仕方ないというところでしょうか。
今まで直接的に描かれてこなかった「丈瑠と流ノ介、どっちが強いの?」という当然の疑問に答えるように作られており、しかもありがちな「洗脳」ネタをここでやってしまうという。
本作は立ち上がりこそやや遅めの感じでしたが、そのあとはいろんなキャラのメイン回をコンビ形式で出すことにってしっかりと立てていってて、今のところ順調です。


今回浮き彫りになったのは「シンケンジャーは丈瑠さえいれば本当に大丈夫なのか?」というところであり、実はここ数話丈瑠だけでは厳しい状況が続いています。
六幕ではことはがMっ気あったからなんとか乗り切ったようなものですし、七幕は流ノ介が舵木捕まえないと解決しませんでしたし、八幕は茉子と流ノ介がなんとかしました。
それを受けて今回は丈瑠が家臣の中で最も信頼を置いていた流ノ介が敵に回ったことで「流ノ介の強さ」を逆説的に示しているところに説得力があるのです。
特に洗脳されたブルーがレッド以外の3人を倒すところなんて「ギンガマン」の第二十四章でリョウマが洗脳されて暴れた時以来のトラウマを感じました。


リョウマの時はまだハヤテとゴウキが近い実力を持っていたので止められましたが、流ノ介の場合なまじ止められるのが丈瑠しかいません。
逆にいえば、これで剣術の序列もはっきりしたといえ、やはり丈瑠>流ノ介>(超えられない壁)>茉子>ことは>>千明となったのです…頑張れ千明!
とまあ冗談はさておき、本作の厳しいところは「1人がダメでもみんなで頑張れば何とかなる」が通用しないところにあります。
基本的に個人の実力で流ノ介と互角かそれ以上の相手でなければ決して倒すことはできず、個人の力量や資質があった上でのチームワークなのです。


そしてまた、流ノ介と丈瑠の違いが「教科書通りか実戦向きか」というところでしっかり分けてきたのも良かったと思います。
だから同じ「努力の天才」でも、流ノ介は基本的に型通りに教わったこと以上のことはできてない、いわゆる秀才タイプなのでしょう。
それに対して丈瑠は実戦の中で常に体力配分や地形の有利不利を総合的に判断して活用し、五感をフルに駆使して戦っています。
そういえば、流ノ介って実戦で想定外が起こったら意外と弱いというかあたふたするところがありましたから、「教科書通り」というのは間違いありません。
まあだからこそ、殿への忠義心も歌舞伎も全部「親から教わったもの」だったわけですよね…流ノ介の課題はそこから身を離して教科書通りの戦いを実戦向けに昇華することです。


また、細かいポイントですが、千明が「何考えてんだよ丈瑠の奴?いつまでも殿様の顔崩さねえから、こういう時100パー信じらんねえじゃねえか!」いうのも成長が伺えます。
色々すったもんだあったとはいえ、千明自身も精神面で着実に成長していることが垣間見ますし、同時にこれは茉子とことはが思っていることの代弁でもあるでしょう。
千明もなんだかんだ美味しいポジションやセリフをもらえていて、あとはそこに「千明自身の剣術」というものがきちんと追いついてくれば、文句ありません。
しかもここで十臓が違和感なくさらっと偵察に現れて解説することで、シンケンジャー以外の余所者から2人の剣術の凄さをきちんと補強されているのもいいところです。


結果的には流ノ介が丈瑠のかませ犬扱いされてしまいましたが、まあ強くなければかませ犬は務まりませんし、このあと流ノ介がさらなる成長を見せると思うとこの扱いが妥当なところでしょう。
また、この時に虎も洗脳から解放されるのですが、ロボアクションに関しては正直今ひとつ綺麗につながっておらず、また頭に被ってのアクションがカッコよく見えません。
そして最大の見所はラストシーン、「私が癒してあげる」オーラを嬉々として出すうざい茉子を袖にし、流ノ介は丈瑠に謝罪をしますが、この時の丈瑠の対応が素晴らしいのです。

 


「流ノ介。あれだけのモヂカラを打ち込んだら、お前は死ぬかもしれなかったんだ。俺はお前の命を勝手に賭けた……ごめん」


ここで流ノ介だけではなく茉子、ことは、千明の全員が驚くのですが、おそらく丈瑠が謝罪したことではなく「ごめん」という言葉に反応したのだと思います。
普通に殿様として謝るなら「すまなかった」「すまない」といえばいいものを「ごめん」という砕けた言い方にすることで、「殿」ではなく「丈瑠」として気持ちを込めて言っているのです。
まあ丈瑠かあらしたら、そろそろ流ノ介があまり構ってこないようにこっちから歩み寄ったところも見せておこうということでしょうが、それを踏まえてもいい言葉でした。
これまでどちらかといえば一方的だった流ノ介→丈瑠の関係性が今回の勝負とラストの丈瑠からの「ごめん」によって双方向性のあるものになって良かったです。
評価はA(名作)、まだ玩具販促との兼ね合いはうまく取れていませんが、今後改善してくれることを期待しています。


第十幕「大天空合体」


脚本:小林靖子/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
3枚の秘伝ディスクを手に入れたシンケンジャーは大天空へと合体させるが、合体させるには一定以上のモヂカラを持つメンバーが3人必要であった。そのメンバーに自分が選ばれなかったことを悔しがる千明は行き詰まっていたが、丈瑠の粋な計らいで爺と個別に訓練することになる。一方その頃、外道衆が人を絶望させる雨を降らせており、千明はさらなる成長のため自分なりの「モヂカラ」について考えるが…。


<感想>
さて、やっと来ました、第三幕以来の千明メイン回(ことはとのコンビも含めれば第六幕も含む)ですが、この回は文句なしにドラマと玩具販促の双方がまとまっていました。
千明単品というよりは彦馬爺との絡みによって相乗効果で引き立つ感じでしたが、改めてここまで千明の成長をクローズアップしてくれたのは大きいのではないでしょうか。
まず彦馬爺が丈瑠にそっと「千明の場合はどうすればいいのか?」を相談するところが面白く、丈瑠も「そろそろ次の段階へ進ませろ」というニュアンスのことをいうのがいいですね。
丈瑠は見てないようでメンバーのことをしっかり見ていて、千明がきちんと稽古を頑張っていることも、そして上昇意欲が強いことも認めた上での発言でしょう。


特に良かったのが大木のところでの爺との交流であり、殿だけではなく家臣たちと彦馬爺の横の関係をしっかり作っているところも見事です。
その中で改めて、彦馬爺が千明に向けたアドバイスがこれまた秀逸なものでした。

 


「文字の力とは文字が持つ意味そのものだ。使う者が意味を理解し、強く思うことで力を持つ。お前のモジカラは殿の「火」や流ノ介の「水」とは違う。当然、茉子やことはとも違う、お前だけの文字だ…お前の中にある、お前の木を見つけよ」


今回の話はいわゆる「イメージトレーニング」、昨今でいう「マインドフルネス」のようなものであり、あくまで「千明にとってのモヂカラ」とは何か?を問うものでした。
ただがむしゃらに稽古に励むだけでは意味がなく、使い手自身が「自分にとってのモヂカラ」をイメージし、それを具現化することで初めて真の力を発揮するという持って行き方が上手いです。
また、それを通して「モヂカラとは何か?」を改めて定義しており、ここで「漢字」の持つ特性と絡めて他の戦隊とは違う「文字の力」を絡めて来たのはとても良かったところ。
英語とは違い日本語は「文字」の言葉と言われていて、漢字の形がそのまま意味となっており、それを意識しながら美しく書くと、そこに魂が宿るというものです。


「モヂカラ」とはすなわち「言霊(ことだま)」であるともいえ、使い手が「どうしてその文字を使うのか?」まで含めて認識して、初めて物にして使い熟すことができるということでしょう。
逆にいえば、そこをクリアしてしまえばモヂカラが劣っていることに関しては解決でき、あとは剣術の技量を戦いの中で磨いていけばいいという持って行き方には納得しました。
そして、戦いの中で千明が出した答えは「広がってる自由な感じ」というかなり適当な感じでしたが、でもこの大雑把さがある意味でいうと千明らしいですね。
いい意味で「侍」っぽくないというか、他のメンバーとは違い型に囚われないところが、良くも悪くも千明らしい個性としてモヂカラとともにまとめて来ました。


のちにシンケンゴールドの源太が入って来てからはまた大きく変わっていきますが、これまで後れを取っていた千明がモヂカラでの格差がかなり埋まってきています。
ところで、このモヂカラって侍の家系にしか使えない血筋の力なのか、それとも侍の家系でなくとも鍛練すれば誰でも使えるようになるのか、どっちなんでしょうか?
どうしてもこの辺は掘り下げ不足というか、やや詰め不足の感じがあって、「ギンガマン」のアースとか「タイムレンジャー」の圧縮冷凍とかに比べるとふわっとしてるんですよね。
まあおそらくは「血筋+文字の鍛錬+思いの力」ということなんでしょうけど、この辺りは後の方で答えを出してくれることに期待です。


また、そこからさらに大天空へと広げていき、丈瑠、流ノ介、千明の3人で並び立つという構図もとても良かったところで、このトリオがまたいいんですよね。
それぞれ丈瑠と流ノ介、流ノ介と千明、丈瑠と千明といったコンビもいいのですが、3人揃った時のバランスがまたいい味を出しています。
後半になるとここに源太も加わるのですが、ここでやっと玩具販促とドラマが分断気味だったところからうまく連動してきました。
評価は文句なしのS(傑作)、ここからシンケンジャーの物語はボルテージが高まっていきます。

 

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