明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ33作目『侍戦隊シンケンジャー』(2009)15・16話感想

 

第十五幕「偽物本物大捕物」


脚本:石橋大助/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
千明は稽古で白刃取りを上手くすることができず、流ノ介から見下されて落ち込んでいた。その心理に漬け込むかのように、外道衆は他人になりすませるアヤカシを送って千明になりすまし、千明以外の4人に有る事無い事悪口を吹き込んで5人の絆を滅茶苦茶にしようとする。何かがおかしいと思った千明はあえて4人に嫌われるよう仕向けて、これに対応するのだった。


<感想>
石橋大助氏が初参戦となりましたが、結果からいうと…うーん、大和屋脚本とは違う意味であまり好みのエピソードではありませんでした
色々理由はありますが、まず「偽千明の猿芝居に騙される千明以外の4人」というそもそものプロットに無理があり過ぎます。
ゴーカイジャー」でもそうでしたけど、石橋脚本回だと登場人物のIQが下がることが多いので、今回はもろにそれが出てしまったなと。


まず偽千明のキャラからして無理があるというか、石橋氏自体がそもそも千明のキャラ造形をきちんとわかってなかったのではないかと思うのです。
確かに偽千明って擦れた現代風の若者という感じですけど、決して根は悪い子じゃなくすごく真っ直ぐでやる気はある子なんですよね、それを素直に表しにくいだけで。
それを石橋氏は偽千明の解釈として「落ちこぼれ」と「チンピラっぽい性格」だけを強調して、やたらに性格の悪い子のように描いていることに無理があります。
小林脚本がベースにあるのでこの程度で簡単にキャラは壊れませんが、それでもきちんとキャラ造形への理解は示した上で作劇して欲しかったところです。


それから、流ノ介もただの「上から目線で千明をバカにする」「バカ正直に偽千明の言い分を鵜呑みにしてしまう」として描かれているのも違和感があります。
流ノ介は実力の劣っている千明を見下した描写なんてこれまでになく、あくまでも侍としての使命感と殿への忠義心が暴走してしまうだけで、基本は真面目な人です。
それから、偽千明の言い分を鵜呑みにするのも第二幕辺りまでならともかく、これまでの1クールの交流を経て主従関係が出来上がった後だと無理があります。
第十二幕までに千明も流ノ介もある程度お互いのことは理解しているわけで、千明の癖や特徴くらいはそれなりに掴んでいるのだと思いますけどね。


それから殿、茉子、ことはも気づいていたのであればもっと早い段階で警戒してもおかしくないのに、その辺りもっとひねって工夫できなかったんでしょうか
千明が機転を利かせて、というのは悪くなかっただけに、もっとその辺りを技巧を凝らして面白く仕上げて欲しかったところです。
こういう知略系の回は基本的に「いかにひねって面白くするか?」にあると思うので、今回はキャラ解釈も含めて石橋氏が本作の世界観・ストーリー・キャラを掴めていなかったと思います。
前回の大和屋脚本はまだキャラへの理解や愛はありましたから、その辺の差も含めて評価はF(駄作)とするのが妥当でしょう。


第十六幕「黒子力」


脚本:大和屋暁/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
いつも通り稽古に励んでいた流ノ介達は好き放題に力を使い始めてしまい、黒子が持っていた壺を落として割ってしまう。騒ぎを聞きつけた彦馬は流ノ介・千明・ことは三人組を正座させ「黒子達を見習え」と叱りつけた。3人は町を訪れて黒子たちの気持ちを理解しようと慈善活動に参加する。一方、外道衆の蒲黄では血祭ドウコクが十臓と接触した薄皮太夫の異変に気づくのだが…。


<感想>
今回は黒子にスポットを当てた回ということで、黒子が普段何をしているのかが描かれましたが…うーん、これもちょっと無理がありませんか?


いや別に黒子が何をしているのかを掘り下げてくれたのはいいんですけど、本当に黒子が普段からあんな街中で慈善事業をしている、しかもそれに一般市民が感謝しているのは明らかにおかしいです。
現代日本で黒装束でそんなことしようものならいくら慈善活動といっても職質案件ですし、仮に浦沢ワールドのような不思議コメディ時空なのだとしたら1クール目の段階でそう描いておくべきでしょう。
この辺り、シンケンブラウン回もそうだったのですが、小林女史が提唱するストーリー・世界観と大和屋氏が提唱するストーリー・世界観の前提が違い過ぎてうまく噛み合いません。
黒子の役割を描くのは構わないのですが、ここで世間一般との繋がりを下手に描いてしまうとかえって「シンケンジャーらしさ」が損なわれてしまうのですよね。


それから、丈瑠と茉子が黒子の役割を把握していて流ノ介とことはと千明の3人が知らなかったという描写もかなり無理があります。
特に流ノ介は歌舞伎もやっていたから黒子の役割に関しては理解しているはずですし、ことはと千明もこれだけ付き合いがあればどこかで見ているはずです。
茉子がいう「黒子には黒子の、シンケンジャーにはシンケンジャーの役割がある」という「適材適所」は本作のテーマである「殿と家臣」のテーマの補強になっていてよかったんですけどね。
3人のピエロっぷりを強調するために丈瑠と茉子が普段以上に大人っぽく描かれていたのも流石に違うと思うので、この辺りはバランスを考えて欲しいなと思いました。


それから、流ノ介たちがモヂカラを暴走させて壺を割ってしまって叱られる展開も無理があるというか、むしろそういうのは普段から厳しく言われてる方なんじゃないですか?
特に本作は序盤からそういう「侍たるもの厳しく己を鍛えよ」を教育しているため、その力をなんのために使うのかはきっちり小林女史が提示しているはずなのですけどね。
どうにも本作の大和屋脚本はまだ小林脚本のベースを掴みきれていないというか、作品に対しての理解と愛がまだこの段階では薄い気がしてしまうのです。
ギンガマン」の第四章「アースの心」でもそうでしたけど、小林女史は初期段階で「その力を何のために使うのか?」はきちんと制定する人ですし。


ただまあ良かったところがないわけでもなく、シンケンジャーがあんな風にチャンバラごっこや時代劇じみたことをしても通報されずに済んだのは黒子の皆さんのおかげだとわかったのは良かったです。
それから、ずっと謎だった「いつの間に着物に着替えているの?」というのも、これはジャニーズのライブ中の早替えと一緒で、陣幕を出しているあの一瞬の間に着替えさせているのだとわかりました。
また、それまで「火」「水」「天」「木」「土」と割り振られていた5人のモヂカラの属性を生かした攻撃もまだ物語の中に組み込まれていなかったので、そこを補強したアクションも好印象です。
まずグリーンの絵だとイエローの岩で壁を作って装甲にダメージを与え、レッドの火をピンクの天が強めて装甲を急激に熱し、ラストにブルーの水で急激に冷やして装甲が脆くなったところで大筒モード。
こんな風に技の掛け合いで敵を倒していると戦隊シリーズの特徴である「チームワーク」が描かれているようで良かったです。


単品で見ると総合的にはイマイチでしたが、良かったところもあったので評価としてはE(不作)といったところでしょうか。
それにしても、サブライターに変わってからここまでどうしてもパワーダウンしたエピソードが多く、中弛みとはいいませんが微妙な出来のエピソード続きです。
シンケンジャー」の総合評価の記事でも述べましたけど、2クール目と3クール目はややグダグダ気味なのが惜しまれます。

 

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