明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ33作目『侍戦隊シンケンジャー』(2009)最終話感想

最終幕「侍戦隊永遠」


脚本:小林靖子/演出:中澤祥次郎


<あらすじ>
志葉家十九代目当主となった丈瑠は晴れて家臣たちと最後のドウコクとの戦いに臨む。丈瑠が考えた力尽くの策とは姫が作り上げた志葉家のモヂカラのディスクをドウコクの左胸にある心臓部に突き刺すことだった。しかし、ドウコクの肉体は想像以上に固く、一回の攻撃だけでは倒すことができない。変身解除になるほどの満身創痍に追い込まれるシンケンジャー、果たしてドウコクへの勝機はあるのだろうか?


<感想>
さて、これでシンケンジャーも最後となりましたが、結果としては順当なところに落ち着いてくれました。
できれば、姫も揃っての「七人の侍」戦隊シンケンジャーも見たかったのですが、そこまでやると流石に丈瑠の立つ瀬がないか。
丈瑠を中心に源太が後ろを守り、茉子とことはが丈瑠の進路を確保、そして流ノ介と千明が丈瑠の盾になるという陣形。
時代劇らしいチームワークを描きつつ、的確な指示を出す流ノ介の二番手ぶりをここできちんと描いてくれたのは好きです。


そして丈瑠は姫からもらった「火」の漢字が3つある完全な攻撃用の秘伝ディスクをセットし、左胸にある封印の傷跡を狙う。
まずは源太が後ろから襲ってくる敵をダイゴヨウと共に一掃し、茉子とことはが進路を確保、そして丈瑠は見事に攻撃をクリーンヒットさせるが…。


「成る程、ちったあ考えてきたらしいな。が、こんな程度じゃ俺は倒せねえぜ」


渾身の一撃ですらもドウコクを完全に倒すには至らず、丈瑠は「所詮貴様は偽者」と言われてしまい、ドウコクの圧倒的な攻撃力で即座に満身創痍に追い込まれてしまうシンケンジャー
ここに来てドウコクの圧倒的な強さも光り、最終決戦にふさわしい敵となってくれたのは嬉しい限りで、しかもその一方姫もまた怪我しながらももう1つのディスクを開発しました。
丈瑠たちだけではなく、姫も姫で怪我しているなりにできる戦いを見せてくれたのが嬉しいです。


「生きているならもう1度立つ」
「いや、それは……」
「立つ!丈瑠は絶対に戦いをやめない。丈瑠が影と知っても、側を離れなかった侍達も同じだ。私はそう見込んだから、彼等に託した。だから私も今出来る事を」
「しかし、姫は志葉家の……」
丹波なぜわからぬ!志葉家だけが残っても意味はないのだ。この世を守らなければ、その思いは皆同じ筈。 皆の力を合わせればきっと」


ここで6人だけではなく姫と丹波も、そしてこの後に出てくる彦馬爺も全員含めての「シンケンジャーというのをきっちり前面に押し出して来たのはいいですね。
中盤2クールがグダグダでしたが、その負債をきっちり取り返すかのように終盤で物凄い密度の物語を展開してくれています。
また二度目の戦いに行く前に丈瑠が「お前たち、立てるよな!?」という第二幕のやり取りを拾い、シンケンジャーシンケンジャーになる最初のポイントも忘れず拾いました。
源太はダイゴヨウを預け、家臣たちも彦馬爺と勝利の後のお祝いを約束する…ここで「侍としての使命には全力」ながらも「戦いの後」を見据えています。


そしてドウコクを追って街中へ繰り出したシンケンジャーは姫が開発したディスクと丹波が開発した「双」というディスクを受け取りました。
ここで、ずっと憎まれ役だった丹波が姫の覚悟と丈瑠たちを見て、保身からきっちり「外道衆と戦う侍」としての役割を見せたのが見事です。
単なる憎まれ役ではなく、姫に対して過保護なだけに収まり、根はあくまでもいい人であるというバランスが絶妙。


「てめえら……待ってろと言った筈だぜ」
「わりいな。俺たちはせっかちでよ」
「その先へは行かせない。お前を倒し、必ずこの世を守る!シンケンレッド、志葉丈瑠!」
「同じくブルー、池波流ノ介!」
「同じくピンク、白石茉子!」
「同じくグリーン、谷千明!」
「同じくイエロー、花織ことは!」
「同じくゴールド、梅盛源太!」
天下御免の侍戦隊!」
「「「「「「シンケンジャー、参る!!!」」」」」」


ここで恒例の生身名乗りも披露し、最後の決戦に臨むシンケンジャー
周囲のナナシを蹴散らしたシンケンジャーは十三幕以来の合体モヂカラを使って「縛」という漢字を一瞬で作りドウコクを縛る。
そして、丈瑠が「双」を使って烈火大斬刀二刀流で怪我から癒えてないドウコクを追い詰め、そしてそこで来たのは…。


「今だ!」
「はあああああああああ!!ドウコク覚悟!!!」


まさかの流ノ介!これは正に「拍手の嵐真打ち登場」を持って来て、丈瑠がトドメを刺すのかと思いきや流ノ介に譲りました。
まあ元々九幕で「技術だけなら丈瑠より上」と示されてましたし、あの話で一度流ノ介をかませ犬扱いしてしまいましたからね。
その名誉回復も兼ねて、トリをレッドではなくブルーにというのもお約束外しを含めて、よくもやり切ったものだと思います。
同時に丈瑠一強になってしまわないようにという配慮だったのでしょうが、見事にドウコクの一の目を撃破、第二の目に移ることに。


サムライハオーに合体するもドウコクの圧倒的な攻撃力の前に次々と解除され、とうとうシンケンオーだけになってしまいました。
正直サムライハオーは好みじゃなかったし、ドウコクをあれで倒して欲しくなかったので、巡り巡ってシンケンオーに出番を与えたのは良かったところ。
モヂカラをギリギリまで溜め込み、ドウコクに斬られても渾身の一撃で倒すという「肉を切らせて骨を断つ」作戦をここで使います。


「今の内に言っておく。お前たち一緒に戦えて良かった。感謝してる」
「殿、私の方こそ」
「うちもです」
「6人一緒だから、戦ってこれたんだし」
「丈ちゃん、巻き込んでくれてありがとな」
「……しゃあ!行こうぜ、最後の一発だ!」


お互いに腹を割った本音を話したシンケンジャーは最後の一撃でシンケンオーの強大なモヂカラでドウコクを撃破…見事に悪役として立ちはだかってくれたドウコクの立場も盛り込まれました。
最後まで実に美味しくドウコクのキャラクターが使われ、個人的には見せるものは見せてくれかなという感じです。
その後は丈瑠と薫姫の別れのシーンが描かれ、丹波も改めて丈瑠を十九代目当主と認め、家臣たちとの別離が描かれます。
流ノ介は歌舞伎の世界へ、ことはは京都の実家へ、千明が大学受験のために浪人、そして源太が飛躍を目指してパリで屋台寿司…ミシュラン寿司でも作る気でしょうか。
そして茉子はしばらく両親と暮らしてまた日本へ戻ってくるそうですが、密かに丈瑠の嫁ポジション狙ってたりします?(笑)


別れのシーンではなぜか流ノ介がなぜか舞を披露し、そして家臣たちが去っていった久々の志葉家はすっかりがらんどうに。


「行ってしまいましたなあ。ここがこんなに広いとは」
「何だ、爺も孫のところへ行くんじゃないのか?」
「何の、孫にはいつでも」


そしてこれまで侍として厳しくしつけすぎた反省からか、料理教室やカルチャースクールにでも通ったらどうかと勧める彦馬爺。
うん、しばらく戦いもないだろうし、殿は社交性を身につける意味でももっと外に出た方がいいと思います
大団円として描きべきものは描き切りましたが、最終回自体は真っ当な終わり方ですが、個人的には少し物足りなかったかなあ。
もう少し最終回ならではのドラマが盛り込まれるものだと思っていたので、それがなかったのが残念といえば残念。


戦隊の最終回としては綺麗に閉じてこそいますし、最終決戦に相応しいカタルシスもあるものの、特別というほどでもありません。
やっぱり最終回ボーナスというのは相当に大きくて、年間の構成を含めてですけど、やっぱり「ギンガマン」を超える戦隊には出会えていないなあと。
シンケンジャーはその点順当にゴールしたものの「最後の最後でこう来るか!」という驚きはもう前回までで描き切ったので、ここはもうイベント消化という感じです。
まあその上でドウコクとの最終決戦をそれぞれの立場を盛り込みながらきっちりキャラクターを余すところなく使い切ったのは見事ですが。


久々に見直してみて、かなり再発見も多いシリーズでしたが、一番の収穫は改めてシンケンレッド・志葉丈瑠を好きになれたのは大きいです。
そして逆に微妙になったのが源太であり、最後で綺麗に収束したからいいものの、途中までは完全に作り手も持て余していた感じでしたし。
後、家臣たちに関してはことはにもう少し戦いの上でのスポットを与えて欲しかったところで、結局四十一幕以降やや空気気味になってしまっています。
まあ薫姫のインパクトがデカすぎた影響もあるのでしょうが、改めて姫は本当に男前で超かっこいいしかわいい。


2クール目全体のことに関しては総括の方で書くとして、評価はA(名作)。安定してきっちりゴールし切ってみせたと思います。

 

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