明日の伝説

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東映時代劇YouTube『仮面の忍者赤影』(1967)1・2話感想

 

 

第1話「金目教編:怪物蟇法師」


脚本:伊上勝/演出:倉田準二


<あらすじ>
豊臣秀吉木下藤吉郎だった頃、琵琶湖の南に「金目教」という謎の宗教が台頭していた。それに入信しない者は恐ろしい祟りに見舞われるらしい。その正体は果たして何なのか?藤吉郎は金目教の正体を探るため飛騨に赤影・青影という2人の忍者を派遣するのだが、そこに待ち構えていたものは鬼念坊とその配下の者達だった。


<感想>
さあ始まりました、「仮面の忍者赤影」…是非とも感想を書いてみたい一作でした。需要があるかどうかはわかりませんが、最後までお付き合いくだされば幸いです。
まず最初見た感想は…赤影、青影、君らは「レベルを上げて物理で殴る」以外の方法はないんかい!
忍者だからもっとすごい忍術合戦を期待していたのですが、えらく脳筋だなと。
これならまだ「カクレンジャー」のが忍法しっかりやっていたような…まず赤影のキャラクターからしてかなり脳筋ではないかと思いました。


まあ相手が相手なので仕方ないのですが、意外と戦い方がゴリゴリの肉弾戦で驚いたもので、なるほどこれは白土三平先生が自分の原作ものを東映にやらせたくないわけですわ。
まず金目教の描写からしてかなり出鱈目で、信者じゃないと見抜いたやつに何をしたかといって上から岩石を落として足をぶっ壊すという物凄く物理的な方法(笑)
「祟りがある」というから、てっきり精神崩壊する幻術や呪術の類を見せるのかなあと思いきや、意外と直接的にバイオレンスで下半身不随にするというね。
そんな奴が首領をやっているせいか、手下の部下達も脳筋な連中が多く、最後まで見ていてもう笑いが止まりませんでした。ここまで突き抜けられるとかえって清々しい。


まず鬼念坊ですが、早速赤影の手裏剣も刀も効かないからてっきり下に鎖帷子でも着ているのかと思えば、単純に鉄よりも硬い体だったという。
かといって、「ONE PIECE」のロロノア・ゾロみたいに刀の呼吸を読むわけでも、そして武装色の覇気で黒刀にして倒すわけでもありません。
助っ人の青影がやってきて顔を攻撃したら目に攻撃が聞いたので、容赦無く目を潰して勝つという凄まじい残虐ファイト!
えーっと、赤影がなぜ「赤」なのかというと、その仮面やマフラーの赤色が殺してきた敵の返り血を浴びたという凄まじいものだったら納得です。


そして後半の蟇法師は何を読んできたのかと思いきや、「口から炎を吐く巨大ガマガエル」であり、しかもリアルに生きている模様。
これに単身立ち向かう赤影ですが、戦隊シリーズで言えば等身大で巨大戦を行うようなもので、真っ向勝負でやっては勝ち目がありません。
敵が繰り出す炎はMAP兵器だからどうやって倒すのかと思ったら、なんと手榴弾を足元に投げて怪我を負わせ、崖に突き落とすという身も蓋もない解決法でした。
まあこの時代にそもそも手榴弾があるのかというツッコミは置いといて、物理で敵わない強敵に術で対抗するのかと思いきや、さらなる物理で解決するという(笑)


え、えーっと…影一族がどんな忍者を育成してきたかは知りませんが、とりあえず赤影を育てたのは物凄く脳筋でヒャッハーな師匠だったに違いありません。
まあ第一話なので、まだこれから色んな忍術を披露していくのだとは思いますが、思った以上に物理的なバイオレンスで笑ってしまいました。
そしてそれをこなしてなおも平然としている男…宗教の相手だからといって遠慮する必要はない、殺したいから殺すのだ!
もう60年代特撮の自由闊達な空気と出鱈目さが混じったこの面白さは今見たら逆に新鮮で、50年以上も経つのに色褪せずに見られるのが凄いです。
評価はもちろんS(傑作)、赤影と青影の物理忍法と殺意の高さ、そして敵の脳筋具合で笑いっぱなしの20分でした。


第2話「金目教編:甲賀の悪童子


脚本:伊上勝/演出:倉田準二


<あらすじ>
金目教との戦いに赴く赤影と青影…その道の途中に2人の者が謎の嵐に出くわし気を失う。青影はその正体を探るのだが、犯人は傀儡甚内であり、青影を人質に赤影を誘い出す。赤影は旅すがらある女性と出くわすが、実はその女性こそが甲賀のくノ一、闇姫だったのだ!赤影たちに甚内と闇姫の魔の手が襲いかかる。


<感想>
見所は2話目にして人質となったことで、ヒロイン力が爆上がりしてしまう青影


いやー、前回に続き今回の話もめちゃくちゃ面白かったですが、2話で一気に4人もの幹部連中を繰り出すとは、考えられないくらい豪華ですね。
その傀儡甚内ですが、今回は変化の術を繰り出して青影と赤影を罠にかけようとするなど、やっと忍術らしい忍術を使う奴が出てきました。
まあその割には結構間抜けで、相手に化けたつもりでも首元のあざを見抜けていないのを青影に指摘されて狼狽視しているんですが(笑)
そして傀儡という名前の通り、小さな傀儡人形を等身化して操る忍法を繰り出すなど、前回が割と物理的な方法だっただけに今回は変化が出て良かったです。
思えば時代劇趣味の小林靖子女史が「ギンガマン」第十七章で繰り出した傀儡太夫と爆弾人形はこの傀儡甚内と傀儡人形が元ネタだったのだなと思います。


そしてもう1人のくノ一である闇姫こそが今回の嵐の犯人だったわけですが、てっきり術を唱えての発動かと思いきや、髪を連獅子風に振り回して物理で起こすって…!(笑)
残念、せっかく傀儡甚内がまともな忍術らしい忍術を見せてきたかと思いきや、闇姫の髪嵐で一瞬にして前回と同じ脳筋戦法に逆戻りですよ。
凄い、歴代の特撮で本当に物理で嵐を起こす奴なんて初めて見ました。これぞまさにあれですね。

 


体中に風を集めて♪巻きおこせ♪ARASHI ARASHI for dream


いやまあ違うんですけど、物理的に嵐を巻き起こした奴なんて仮面ライダーウルトラマンはおろかスーパー戦隊シリーズでも見たことありません。
誰か特撮やバトルもので物理的に体中に風を集めて嵐を巻き起こした人を見かけた人がいましたら報告願いします。
そんなこんなで、赤影は人質として捉えられたヒロイン・青影を助けに向かいますが、次々と敵が繰り出してくる攻撃に苦戦する模様。
もっと強いイメージがあったのですが、意外と序盤から苦戦してますね赤影…それでも強キャラ感が失われないのが凄いところですが。


すると、どこからともなく颯爽と現れたもう1人の忍者・白影が登場し、なんとかピンチを乗り切った赤影と青影。
いやまあ救出シーン自治あはカッコいいのですが、やっぱりこういうのは2枚目じゃなければ映えないなあと。
初老のおじさんなんか助っ人の位置で登場させて何がいいのかと思うのですが、これキャスティング変えた方が良かったと思います。
まあ初老-青年-子供という三世代の構成にしたかったんでしょうし、その意味では「ニンニンジャー」よりはるかに三世代の物語になってはいるのですが。


内容はあってないようなもので、ひたすら物脳筋忍術合戦で押しまくるスタイルで、紙芝居方式の全盛期の伊上脚本が凄まじいキレを発揮しています。
仮面ライダー」以降の70年代特撮・アニメの伊上脚本もいいのですが、やはり全盛期の東映時代劇をやっていた頃の伊上脚本こそが原点にして頂点です。
評価はA(名作)、内容自体はめちゃくちゃ面白かったのに、白影があんまりかっこよくないビジュアルだったのでちょっと差し引いてます。
それでもなお非常に面白いスタートであり、是非ともこれから半年間が楽しみです。