明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ15作目『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)9・10話感想

 

 

第9話「泥んこの恋」


脚本:川崎ヒロユキ/演出:蓑輪雅夫


<あらすじ>
トランはファッションジゲンを生み出し、ファッションを利用して人々を操ろうと企んでいた。その頃、雷太は田舎から上京してきたという幼馴染のサツキと久々に再会しデートすることとなった。しかし、再会した彼女は純朴な女性ではなく都会慣れしたレディとなっておろ雷太は驚いた。竜たちはバイラム出現を聞いて飛び出していくのだが…。


<感想>
今回の話は…スーパー戦隊シリーズで唯一の川崎ヒロユキ回なのですが…うーん、次回の荒川脚本共々思うことは「どうして男ってこうも女に幻想を抱きがちなんだろう?」ということです。
もうすっかり年齢と共に私も女性に対する見方やジェンダー論みたいなのが変化したこともありますが、今これを笑って楽しめるような年齢ではなくなってしまいました。
川崎ヒロユキが描く恋愛って「マイトガイン」しかり「ゴルドラン」しかり「ガンダムX」しかり、どれもこれもステロタイプ過ぎる童貞の妄想みたいな恋愛で幼稚すぎます。
まあ凱の「雷太を呼ぼうってんならやめとけ!あいつの場合、デートなんて一生に3回ぐらいしか無さそうだしな!」はこれまでの凱のキャラも含めて「そうだな」と納得ですが。


何が嫌ってせっかく雷太に振り向いてもらいたいと健気に努力する女の子を「今のお前は僕の好みじゃない!」と言って、自分の幻想を押し付ける雷太にイラっとしました。
正直女性を都合のいい偶像か何かとしか思っておらず、いってみればひたすら推しに課金しまくって「キャー!」とか叫んでいるアイドルヲタと余計に変わりません。
ましてや雷太は初登場の頃から非モテの童貞みたいな雰囲気が漂っていたこともあって(これは竜や凱との差別化もあると思う)、それで雷太をいまいち好きになれないのです。
しかも、せっかく雷太にはこんなにいいステディがいるのに、この後の回で香に憧れを持つあまりに香に浮気しようとしますからね…凱よりもよっぽど女好きじゃないですか?


いやまあ別にこれがアニメの世界観だったらいいんですけど、実写特撮で、ましてや大人の恋愛を井上先生がぶち上げている本作でこれは微妙です。
確かにさっちゃんも無理して背伸びしている部分はあるかもしれませんが、そんな彼女が大人になろうと必死になって頑張った努力そのものまで否定するのは違うと思います。
まあ川崎氏が描く恋愛はまださっぱりしていてわかりやすい方ではあり、次回の荒川氏が描くどぎついヲタク臭みたいなのがないだけまだマシなんですけどね。
評価としては内容そのものはオーソドックスだと思うので好みは入りますがE(不作)、この古臭い女性観はもう流石に通用しません。


第10話「カップめん」


脚本:荒川稔久/演出:蓑輪雅夫


<あらすじ>
アコの中学時代の先輩である龍田は彼女の気を引こうとアプローチを試みていたが、当の本人からは完全に無視されていた。彼が部屋で落ち込んでいる中、カップ麺の神様であるゴッドラーメンが現れ、一緒に究極のラーメンを作ることになる。そしてデザインなどを研究した彼は「陽気なアコちゃん」というラーメンを発売しようとするのだが…。


<感想>
スーパー戦隊シリーズ初の荒川脚本回ですが…うええ、流石にこれは今見ると相当にきついなと。あまりにも露骨な童貞ヲタク臭丸出しの脚本と演出が肌に合いません
そもそも「陽気なアコちゃん」というネーミングセンス自体がどうかと思いますが、同時にこういう安易なことでも簡単にバズってしまえるのが今の世の中なんですよね。
前回に比べれば一応普遍性というか時代が追いついたところがあって、こういうヲタクのマニアさを発信して、それがヒットになってしまえるのが今のネット社会です。
要するにこの龍太はいうなれば典型的な陰キャのYouTuberみたいなものであり、世が世なら間違いなくヒカキンやはじめしゃちょーレベルの国民的インフルエンサーになっていたのでしょう。


まあそれはいいのですけど、前回も述べましたが、こういうストーカーじみたヲタクの存在を物語があまりにも肯定的に描きすぎてしまうといのはどうなんでしょうか?
アコの自尊心やプライバシーを思いっきり傷つけるようなことをしているわけで、アコが香の財力を経由して弁護士を雇って訴えられたら社会的に抹殺されるのは龍田の方ですし。
社会風刺の側面もありますが、それでもこのヲタクが最後にしたことをアコが認めてしまう展開というのは「ヲタクでも必死に応援すればアイドルが振り向いてくれる」みたいな幻想があって気持ち悪いです。
いやいや、アイドルや役者がファンに向けているのなんて全部作り上げられたビジネススマイルであって、心の中は凄く冷静ですよ彼らなんて。


それこそ今年でいえば、嵐の櫻井翔氏と相葉雅紀氏が同時に結婚発表したことで嘆き悲しむファンも多かったそうですが、あくまで彼らも人間ですからねえ。
「アイドルは結婚してはならない」なんて昭和時代だったらそうなのかもしれませんが、芸能人の幻想性なんてない今のネット社会でそんな常識はもう通用しません。
別にそのアイドルや俳優・女優がファンの人たちの人生に直接的な恩恵や利益をもたらしてくれるわけではないのですから、それこそ単なる偶像崇拝でしかないわけです。
荒川氏が手がける戦隊のアイドル回ってどれも「劇中で戦隊ヒロインをアイドルにしてみせる俺すげえだろ?」という童貞ヲタクの妄想丸出しで、とても見るに耐えません。


まあ「ダイレンジャー」のリンのアイドル回は例外的に面白かった一作ですけど、やっぱり荒川氏が提唱するラブコメ恋愛論そのものは無理です。
前回の川崎脚本といい、どうして男が描くラブコメっていかにも童貞の中学生が書いたようなのが多いんでしょうか?
もはや内容云々を論じる以前に、もう作り手の倫理観やジェンダー論がどうしても肌に合わず、本当に勘弁して欲しいです。
評価はもちろんF(駄作)以外にありません。

 

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