明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ33作目『侍戦隊シンケンジャー』(2009)7・8話感想

 

 

第七幕「舵木一本釣」感想


脚本:小林靖子/演出:中澤祥次郎


<あらすじ>
先代との戦いでなくなっていたと思われた舵木折神が発見され、丈瑠は流ノ介に捕まえてくるよう命じる。しばらく海で暮らしているうちに野生化していた舵木折神はゲットするのが困難な状態だったが、そこに運が悪いことに外道衆が次の作戦を仕掛けてくる。捕獲に難航する流ノ介だったが、そこで出会ったのは何と意外な秘密を隠し持った人物だった…。


<感想>
前回に続き今回もやや箸休めのようなエピソードですが、今回のポイントは実質「流ノ介の覚悟」が改めてきちんと描かれたというところにあります。
これまで何かと空回り気味だった流ノ介ですが、ようやくこのエピソードで「二番手」としてのポジションを改めて確立することができたのではないでしょうか。
エピソードとしては正直そんなに中身がある回ではないのですけど、改めて流ノ介が語ってみせた次の言葉がすごく印象的だったのです。

 


「あの殿なら命を預けて一緒に戦える。そう決めたのは自分です、親じゃない!その戦いがどんな結果でも虚しさなんて残るはずがない!絶対に無いです!」


今回のテーマを象徴するのはもうこの言葉であり、流ノ介が単なる「ネタキャラ」ではなく「殿の家臣の象徴」として、真正面からその覚悟が描かれました。
流ノ介に関しては相葉弘樹氏の演技力の高さもあって最初から非常に存在感があったのですが、その使われ方はどうにもギャグ方面というかコメディリリーフとしての描かれ方が強かったのです。
もちろんそれはそれで悪くないのですが、一方で流ノ介がこのままギャグとしてのみ描かれ続けると「真面目さをバカにしている」と取られかねませんし、流ノ介のキャラ自体も毀損してしまいます。
現に流ノ介とは違いますがそうなったキャラクターの1人として「ドラゴンボール」のベジータがありますし、汚れ役をこなせる2枚目半は便利な反面、匙加減を誤ると単なる都合のいい便利道具に成り下がるものです。
そうさせないためにも、流ノ介の殿に対する時代錯誤とも取れる暴走気味の忠義心を「ネタ」ではなく物語として真面目にきちんと描く必要があり、まさにこのタイミングでそれが実現しました。


実は流ノ介の時代錯誤とも言える固い忠義心は第一幕から示されており、世襲制な歌舞伎の家柄で育ったこともあって、すごく浮世離れしている印象が強かったのです。
しかし、実は第一話の段階から本作がメインテーマとしている「殿と家臣の主従関係」の中で「殿への忠義心」を律儀に体現していたのは流ノ介だけでした。
ここで改めて第一幕で、殿が「ただし、家臣とか忠義とか、そんなことで選ぶなよ?覚悟で決めろ」と言われた時の各自のリアクションを振り返ってみましょう。

 


「殿!ここに来た以上、覚悟はできています。戦わせてください、殿と共に!」
「…ま、子供の頃からそのつもりでいたし…」
「一生懸命頑張ります!」
「はあ、大袈裟なんだって。さっさと終わらせればいい話だろ…なあ、殿様?」


そう、実はこの時点で斜に構えた茉子と千明、そして真正面から受け止めている流ノ介とことはの違いが伺えるのですが、この時真っ先に迷いなく返事したのは流ノ介だけでした。
茉子はどこか「家臣である自分」を受け入れたくない感じも伺えますし、千明に至っては殿様を舐めてましたしね…ことはは覚悟こそできていてもまだマインドのステージが低いのです。
だから、実戦経験がまだ不足している4人の中で誰が一番心構えができていたかというと、実は時代錯誤な振る舞いをしていた流ノ介でした。
ただし、その流ノ介もこの段階では「親からそう教え込まれていたから」そう言った感じが強く、まだ実戦の厳しさというか理想と現実のギャップに気づいていません


だからこそ第二幕で「侍としての覚悟、ようやく身に沁みました!」と言ったわけですし、その後もなんだかんだ言いながらきちんと真面目に戦い続けていたのです。
ただし、前回の「マザコン」「ファザコン」発言で傷ついていたように、流ノ介は心のどこかで親を当てにしていたというか「親の七光り」だったのではないかという疑問もないわけではありません。
そこを克服して自分の意思で家臣であること、そしてシンケンブルー・池波流ノ介であることを選べるかどうかが今回一緒に釣りをした元黒子の人とのやり取りで試されたことです。
そしてまたね、そんな流ノ介に対する殿の言葉が優しいというか、初めてここで丈瑠が流ノ介に対して信頼の言葉を向けるのですよ。

 


「いいか、俺は適当にお前を選んで行かせたんじゃない。お前なら出来ると思ったからだ」


もちろんこれは皆まで語っているわけではありませんが、決してうわべだけの言葉ではなく、丈瑠が家臣たちの中で最も信頼できるNo.2が流ノ介だと示されています。
単なるビジネスパートナーのようなものではなく、これまでの戦い方や稽古への取り組みなどを総合的に高く評価してここに至っているのではないでしょうか。
多少それが空回りに映ったとしても、流ノ介はあくまで「家臣」であることを誰よりも理解し、言葉と行動を一致させて高いレベルで貫いているからこそ殿の二番手となり得たのです。
茉子はまだ手探りの部分があってまだ信頼できない感じがありますし、千明はまだ反抗的な部分が強く、芯が強いことはもまだ舌足らずで色々追いついていない感があります。
そういう諸々を総合的に評価した上でのことなので、ようやくここで流ノ介がしっかり殿を支えられる存在として立った感じがあり、ここから流ノ介は紆余曲折ありつつも大化けしていくのです。


ただし、ドラマとして面白かったのはそこまでであり、やっぱりアクションやアヤカシに関しては今ひとつ面白みがないまま終わってしまった印象が否めません。
アヤカシが毒で戦闘不能にするのはいいとしても、水であっさりデバフしてしまうのは安易な流れですし、後ロボアクションが冠として頭に被るって雑じゃないですか?
第一、アヤカシの能力と設定自体がいかにも舵木折神の販促用に作られた感じで、第五幕と同じ「玩具販促の引き立て役」にされてしまった感じです。
というか、そもそも外道衆自体やってることが「人間を泣かせる」か、それができなければ破壊行為ということしかやってないので、バリエーションに欠けます。


そのため総合評価としてはどう高く見積もったとしてもB(良作)以上の評価にはなりえず、玩具販促やアクションとドラマがやや分断気味なのは気になるところです。


第八幕「花嫁神隠」感想


脚本:小林靖子/演出:中澤祥次郎


<あらすじ>
ある教会で結婚式が行われていたが、新郎が丈瑠で新婦が茉子という珍妙な組み合わせだった。しかしそれは本物の結婚式ではなく、あくまで花嫁を攫っているという噂の外道衆をおびき出す陽動作戦である。しかしその陽動作戦は失敗に終わり、丈瑠たちの作戦は失敗に終わってしまう。その花嫁誘拐のうらで意図を引いていたのは何と外道衆の女性幹部・薄皮太夫であった…。


<感想>
えーっと…「ジェットマン」での結婚ネタに続き、この作品でも結婚話…何だか浮かれてるなあと思いつつ、この回に関しては小林女史の同人業界に対する宣戦布告としか思えません。
まあ本人はそのような同人界隈の人たちを意識して書いたことはないとのことですが、ここまで実はまともに絡んだことのない丈瑠と茉子を結婚式という形で急接近させますか普通
もうどう考えても「ほら、お前らどうせ丈瑠と茉子でカップリング小説とか妄想したいんだろ?燃料投下してやっから好きに書け」と小林女史が言っているように思えてならないのです。
作戦自体は空振りに終わってしまいましたが、当時殿と茉子を応援していたファンも少なからずいたらしく、私はそのような妄想は一切しませんが、それでも好きな人はしたでしょうね。


とはいえ、この回で最もネタになったのは花嫁姿に紛争した流ノ介であり、作戦上のこととはいえ流ノ介が女装とは…しかも茉子よりも花嫁姿が似合っているから困る(笑)
凄いです、前回めちゃくちゃかっこいいところを見せたと思った流ノ介が直後のこの回でまたもやネタキャラ化してしまい、しかもそれが嫌味なくハマってしまうとはなあ…。
まあよくいえばそれだけハイスペックだったということなのでしょうけど、これは相葉弘樹氏の持って生まれた中世的なビジュアルと細いモデル体型のお陰ですね。
多分これ、流ノ介以外の丈瑠と千明がやってもダダ滑りするだけですし、ことはは正直花嫁になるには年齢的にもビジュアル的にも幼すぎるしなあと思ったのです。
そのため、ここで茉子以外に花嫁に偽装できるのが流ノ介くらいしかいなかったとフォローしておきましょう、歌舞伎役者という設定なので女形もできるのですけどね。


今回の話は細かいポイントが2つあり、1つが薄皮太夫が初めて前線に出て来たこと、そしてもう1つが作戦のためにシンケンジャーが繰り出した「影武者」という設定。
まあ後者に関してはモロに終盤のネタバレになっていますので言及はしませんが、こんな細かいところでさりげなく伏線が張られているとは思いもしませんでしたよ。
そしてもう1つのポイントである薄皮太夫…そういえば、これまで薄皮太夫が三味線弾いてるだけのドウコクの愛人という印象が強かったのですが、今回初めて前線に出ました。
まあシェリンダやリラの系譜なのですが、実力はかなり強い方で、2人がかりで戦ったブルー・流ノ介とピンク・茉子を単体で圧倒していたのです。


しかも女性だからもっとテクニカルに頭脳を使って戦うのかと思えば、意外にも肉弾戦で戦っていて、こんなに直線的な戦い方をするキャラとは思えませんでした。
この後、薄皮太夫は後半〜終盤にかけて茉子の因縁の相手となっていくのですが、この回はそのための布石だと思っておくことにしましょう。
ただ、アイデア的な面白みはあったものの話の内容としてはまあ普通であり、高く評価してもC(佳作)というところです。

 

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