明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)17・18話感想

 

第17話「六人目の英雄(ヒーロー)!」


脚本:杉村升/演出:東條昭平


<あらすじ>
秘密の森に無敵の戦士が眠ると言う、その秘密を巡ってゲキたちとバーザが戦う。遂に甦った戦士はヤマト族プリンスを名乗り、ドラゴンレンジャー・ブライに変身した。


<感想>
いやバーザとノーム、マジでクズじゃね!?


ごめんなさい、ブライ兄さん以上にそっちの方が気になってしまってて、幾ら何でも小さい子供に向かって機関銃・手榴弾フォークリフトはないでしょう(^^;
特にフォークリフトは私も仕事柄使わせて頂いていますが、あれは安全上の問題があってきちんと免許を持った人でないと扱ってはならない代物です。
本当にヒヤリハットの法則じゃないですが、子供を追い詰めるために軽々しく使っていいようなものじゃないですから……まあ92年だとこんな表現でも許されてたんでしょうが。
というか、そもそもその機関銃や手榴弾、ましてや迷彩色の軍服などの装備一式をどこから調達してきたのかが全くわからないんですけれども。


内容的にはとにかく「ブライ復活」に焦点を絞っているためか、後半のブライ復活のシーンにインパクトを持たせるような構成になっています。
それだけ気合いを入れたこともあり、またブライ兄さんを演じたのがかつてのチェンジグリフォン/大空勇馬を演じた和泉史郎氏だけあって貫禄が全然違います。
おかげでただでさえ影の薄かったジュウレンジャー5人の存在感が余計に霞んでしまい、もはや「この作品の主役誰だっけ?」状態になっているんですけども。
ちなみに最初にブライが名乗るシーンはカッコよかったんですが、大獣神が覗くシーンが一瞬あって、そのシーンの「何やってんのこいつ?」感がシュールでした(苦笑)


ブライ兄さんは初登場でも凄くかっこいいし、この成功があったからこそスーパー戦隊シリーズの追加戦士にベテランを据える傾向が続いたのも納得です。
ただ、それを加味して考えてもなおこの演出・脚本であったことには疑問を感じるところで、サブタイが「六人目の英雄」なんて言ってますが、やってることは完全な悪党ムーブ!
いきなり大獣神のコックピットに乗り込んで5人を強制的に外に追い出し、更に立て続けに5人を相手に無双するという凄まじい力の発揮の仕方。
ちなみに追加戦士自体はブライが初めてではなく、前作「ジェットマン」も含めて既に何パターンも試行錯誤がなされています。


その上でなおこの演出に脚本では確かにそりゃあ印象には残るであろうなとは思うところですが、私はどうにもこういう杉村脚本のネジの外れた狂気がイマイチ苦手です。
これに関しては完全に好き嫌い分かれるところだろうなあとは思うんですが、私は正直嫌いな方かつあまり高くは評価できません。
やはり後発の作品群がこれよりはるかに洗練されてしまったものを見せてくれているからでしょうし、だからこそこれであまり大きく盛り上がることはできません。
総合評価としてはどう高く評価してもC(佳作)以上の評価はできず、杉村脚本特有の上原脚本や曽田脚本とは違う狂気の表現が個人的に受け付けられませんでした。


第18話「憎しみの兄弟剣」


脚本:杉村升/演出:東條昭平


<あらすじ>
ドラゴンレンジャー・ブライはゲキを憎みその命を狙う。バンドーラはブライに手を貸し魔剣ヘルフリードを与えた。そして、ゲキとブライの戦いが始まった。


<感想>
いやブライ兄さん、やることなすことあまりにもしょうもなくないですか!?


いくら自分の家族を殺された上で王位継承まで全部を奪われたからといって、その矛先をゲキに向けるのは完全な筋違いだと思うんですけどね……。
前作「ジェットマン」のバイラムの内輪揉めがそうですが、この時期の戦隊シリーズはどうも宗教色の強いエピソードが多く目立ったように思われます。
今回の話は王位継承の裏で起こった陰謀という中世ヨーロッパの出来事が背景にありましたが、いざ戦隊ヒーローでそれをやられるとみっともないなあと。
確かに自分の実の両親を殺した上で、本当の王ではない人間にそれを継承させたことを恨む気持ちはわかりますが、ゲキ本人には何の罪もないわけです。


ただ、そこを理屈で割り切れないからここまで「復讐」という形で執着しているのかもしれませんが、どうにもやっていることが小さいというか狡いというか。
だって目標が大獣神を倒す→ジュウレンジャー5人を倒す→世界の帝王になるって目標がショボ過ぎです(苦笑)
ブライ兄さんって大物ぶった小物というか、物凄く威厳のある雰囲気を醸し出しながらやっていることは実に泥臭いというか人間臭いです。
しかもジュウレンジャー5人は圧倒できているのに、大獣神には易々と攻撃を防がれやられてしまうというね。


このあとは更に復讐というか憎しみを増大させて大獣神すらも圧倒するほどの力を手にするのですが、全体的に脚本の練り不足を役者の演技力と演出力でねじ伏せている印象。
いうまでもなくブライとゲキの設定は「ギンガマン」のヒュウガとリョウマの「炎の兄弟」に継承されているのですが、大きな違いはゲキがリョウマと違って事実を知らなかったことでしょうか。
今まで兄弟はいないと思い込んでいたゲキが実は弟かつ本当のプリンスではなかった、つまり本当のティラノレンジャーではなかったという設定はなかなか斬新でありました。
この「正規戦士ではないレッド」というのはギンガレッド/リョウマで1つの雛形として完成を迎えるのですが、やはりあちらの方が1話からそれを打ち出していたため唐突な印象が拭えず。


しかもあちらの場合はそれだけではなくヒュウガを黒騎士ブルブラックが取り込んでいて、更にその黒騎士はヒュウガの暗黒面を体現した存在であるという念の入れよう。
ここまでしっかり脚本・演出ともに出来上がったものを見せられてしまった後だとやはり物足りないという印象は否めず、前回同様評価はやや低くなってしまいます。
何より2クール目で追加戦士との内輪揉め・同士討ちを味方がやってしまうとテンションが下がり気味になるので、あまりしつこくならないようにして欲しいところです。
総合評価としては前回同様C(佳作)で、歴代でも特徴的な追加戦士の転換点となっているドラゴンレンジャー/ブライですが、最初の段階だと小物の復讐鬼以上の印象は受けません。

 

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