明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)15・16話感想

 

第15話「破れ!暗黒超剣」


脚本:杉村升/演出:坂本太郎


<あらすじ>
魔界最強の剣・デュランドルを手にしたドーラナイトがゴウシに戦いを挑む。少年シゲルは、大ピンチの大獣神を救うことができるのか?


<感想>
伝説の武器、2クール目にしてあっさり弱体化(笑)


ごめんなさい、ゴウシの過去とかシゲル少年をコックピットに乗せたこと云々とかが全て吹っ飛ぶ勢いで伝説の武器が役立たずと化してしまったことの方がだいぶ問題でした。
とはいえ、「ギンガマン」も2クール目に入ると自在剣機刃が弱体化してましたし、まあこの辺りはしょうがないのかなあとも思うところではありますが。
それだけこのドーラナイトが規格外に強かった証拠でもあるので、最終的なところで大獣神に頼らないと勝てないというジュウレンジャー側の思わぬ弱点が露呈した気がします。
ただ、ナイトとしての宿命を受け持つゴウシと一般人の少年であるシゲルを重ねろというのは正直な話無理があるのですけどね。


杉村先生は今回の話に限らず、いわゆる「親なし子」を好んで出したがりますが、普通身寄りのない子供って少年院や孤児院みたいな施設に預けられるのでは?
あと、頑張る地力がまだない少年に「強さ」を強要するのも私は違うと思っていて、流石に今回の話は描きたいことと視聴者の受け取る印象が食い違っている感じです。
ただし、うまいなあと思ったのはそのドーラナイトが創造主であるシゲルに逆らうことができないという弱点によって逆転のきっかけを与えていることにありました。
こういう場合って何かしらの新アイテムだったり気合い・根性といった部分で乗り越えたりしがちですが、そうではなく「創造主に逆らえない」というルールが見事です。


また、今回で改めてしっかりと示されたのがバンドーラ様の悪辣ぶりであり、バンドーラ様はいわゆる「悪役だけど憎めない」ではなく「天性の悪戯っ子が魔女になった」という造形になっています。
だから「カーレンジャー」のボーゾックと似て非なる部分というか、ボーゾックが「バカゆえに想像力が欠如している」のだとすれば、バンドーラ様はむしろ「想像力がありすぎる故に悪事を軽々と思いつく」タイプです。
コミカルなキャラクターとして演じられているというところが共通しているものの、バンドーラ一味とボーゾックは本質的に正反対の悪であるということに気づかされます。
バンドーラ一味ってそういう意味では歴代でも屈指の凶悪度を誇っており、怒りと憎しみを愛嬌を持って表現しつつもやることはとんでもなくえげつないというのが見事です。


それから今回さり気なく良かったのがシゲル少年をコックピットに乗せる時のプテラレンジャーのセリフでした。


「ゲキ、シゲルくんを大獣神に乗せてくれ」
「何?!」
「デュランドルを破るにはそれしかない!」
「そんな!子供をここに乗せるなんて危険よ!」
「俺の命にかえても、シゲルくんは守る!」


メイがここで穏健派の役割を果たしてくれたことで、ゴウシの知恵の戦士としての才覚と同時にその容赦のなさまでもが浮き彫りとなり、やはり古代恐竜人類もまた戦意120%の恐るべき戦闘民族です!
長らくゴウシは「知恵の戦士」という割に知恵を発揮した印象があまりないので微妙だなあと思っていたのですが、同じ知恵の戦士でもいわゆるチェンジマーメイド/渚さやか方面だったのかと納得(笑)
要するに「戦いにおける策略」という意味での知恵であり、ゲキが見せていた土壇場で見せる頭の回転というか機転とはまた違ったところにあるのだなあと思いました。
ゲキの頭の回転がいわゆる「戦術」だとするならば、ゴウシの場合は「戦略」であり、この場合どうしても大獣神にシゲルくんを乗せる以外に勝つ方法はなかったのでしょうね。


ちなみに本作の中からいわゆる「伝説の戦士」「戦闘民族」「戦意の高さ」といった部分を抽出したのが「ギンガマン」であり、更にゲキ→リョウマ、ゴウシ→ハヤテという継承の仕方かな。
ゴウシ自体は今回のところでかなりバックボーンがはっきりしましたが、この姉弟の設定は次回配信に出てくるゲキと追加戦士の設定の前振りにもなっているのでしょうか。
その辺りも計算してのことだったとすれば納得ですが、改めてゴウシの知恵の戦士という設定や黒という色の意味がやっとわかりました。
落ち着いた良識派と見せかけて実はとんでもなく中身が腹黒い策士という側面を持ち合わせた暗黒戦士ということだったのか!と……総合評価はB(良作)、2クール目に入ってからやっとキャラ回というのは正直遅すぎです。


第16話「クシャミ大作戦」


脚本:高久進/演出:坂本太郎


<あらすじ>
仲間はずれにされたサッカー少年・イサムが、黄金のボールを次々にキック!人々がクシャミ菌を吸い込み、街中は大混乱となる。


<感想>
今回の内容は90年代の高久脚本にしてはまあまあだったんじゃないでしょうか。


ぶっちゃけストーリーもネタもどれもありきたりで無難なものばかりですが、良かったのは守護獣がしっかり単独で活躍する出番を与えたのが良かったです。
サッカー少年がチームからハブられたことが原因で始まったのですが、もしそうだとするならまずそのサッカークラブ自体に問題があるのではないでしょうか。
それを自分がハブられた腹いせにくしゃみ菌で困難に陥らせるというのはそれこそ地下鉄サリン事件とかとやっていることが変わらなくなってしまいます。
まあその地下鉄サリン事件レベルのことを子供がいたずら感覚で平気な顔をしてやっているというのが今回のミソですが。


ただ、そのネタをやるだけなら別に少年と絡むのがボーイである必要性はなく、なぜ今回の話の主役がボーイでなければならないのかが全くわかりませんでした。
むしろ今回の話であればゲキでも良かったわけですし、少年が抱えている「少年サッカークラブに溶け込めない」という本質的な部分の解決はしていないわけです。
それにもかかわらず、ただ敵を倒して終わりというのはなんとも味気ないものがあり、どうにも肩透かしを食う感じになってしまいました。
まずは冷却させてティラノソニックで消滅させるというのはチームワークがしっかりしていて良かったのですが、そのネタありきで構成してそこに至るまでの物語の持って行き方が雑です。


次作「ダイレンジャー」でもそうだったのですが、90年代の高久脚本の雑さはネタだけはそこそこいいものを持っているのに、そのネタ同士をしっかり物語として結びつけることができていないことにあります。
要するに「点」だけが存在していて「線」できちんと結べていないことにあり、典型的な駄作だなあと思ってしまうのですが、今回も正にそれだったかなと(因みにネタの取捨選択すらダメなのが「ニンニンジャー」の下山脚本)。
ただ、その中でも今回は「比較的」無難にまとまっている方ではあり、総合評価はD(凡作)

 

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