明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)5・6話感想

 

第5話「怖~いナゾナゾ」


脚本:杉村升/演出:坂本太郎


<あらすじ>
ドーラスフィンクスのウルトラナゾナゾ大会で、ナゾナゾに答えられない子供たちが次々と木の中に閉じ込められてしまう。そして、ゴウシたちまでも!


<感想>
見所は知恵の戦士よりも知恵の戦士をしているヤマト族プリンス・ゲキ!(笑)


ゴウシさん、あなた知略でゲキで勝てなかったら一生ただの芋くさいおっさんでしかありませんぜ!


そんなことをついつい叫びたくなった今回の話ですが、大獣神前後編ということもあってか、これまでの東條監督・小笠原監督とはまた違った路線を坂本太郎監督が持ち込んでいます。
東映特撮で坂本監督というともう1人、女の足を取ることにしか興味がない浩一監督がいて、その方に比べると安心して見られますが、やっぱりこの人の本領発揮は浦沢脚本と組んだ「カーレンジャー」かなあ。
内容としてはここでまさかの物理攻撃無効ななぞなぞ対決という、心理戦を変化球として繰り出して来たというのは作風の変化が見られて斬新だったのだなあと。
今回の話で思い出したのは「幽☆遊☆白書」の天才・蔵馬と天才・海藤のタブーゲームだったのですが、そういえばこの時代そういうクイズやゲームものが流行った時代でしたね。


当時は「なぞなぞチェック100」という小さな100問のひっかけクイズを友達と出しあっていましたが、どうやらそこからヒントを得た模様。
特に「体の中に生えている木は?」「銀杏(胃腸)(いちょう)」などは単なるダジャレでしかないのですが、そういう遊び心満載のクイズが面白かったです。
で、ゴウシは一問だけ正解しましたが、後はほぼ全部ゲキが正解しており、他は全員答えられず……えーっと、竜人類ってまさか脳筋揃いだったりする?
本作の中で頭脳派担当は今の所ゲキとゴウシっぽいですが、なぜこんなのでゴウシが「知恵」の戦士を名乗っているのかが全くわかりません。


まあ「頭がいい」と一言でいっても、それが学術的な「勉強ができる」「テストで点が取れる」という頭の良さか、「発想力が天才的」「閃きがすごい」といった意味での頭の良さか色々ありますからね。
そう思うとゴウシは前者でゲキは後者だと思いたい、というかそう思わないと説明がつかないですもんね……せめてゲキじゃなくゴウシが正解だったら面白かったのですが。
本作ってキャラわけがかなり大雑把で、今の所リーダー・ゲキ、サブリーダー・ゴウシ、トラブルメーカー・ダンはそれなりにキャラ付けができているものの、やはり全体的に見ると薄味です。
特にダンの好色スケベなキャラクターは今だと結構批判の対象になりそうなキャラなので、やっぱりこういう所はその世代じゃないと楽しめないだろうなあとも。


ただ、クイズ大会という頭脳合戦だったのに、最終的に「正義が勝つ!」「悪が勝つ!」という流れで単なる肉弾戦になってしまったのは話が分断してしまっていて残念。
頭脳バトルで通すなら頭脳バトルで一貫して描けばいいのに、ここで変に戦隊シリーズのフォーマットに流されてしまっているのはこの時代らしいといえばらしいのでしょうか。
そして前回のダンに続き、ゲキもまた守護獣から「甘えんなボケ!」と搭乗を拒否されてしまう展開であり、いよいよ守護獣が暗黒メンターの素質を出して来ました。
また、バーザは痴呆症が入っているのか「わからん」の一点張りでまったく役立たず……個人的にバーザは歴代屈指の無能司令官ではないかと思われます。


ゲキだけが悪夢を見るなど色々ありますが、クイズそのものは悪くなかったものの、森林伐採ネタなど諸々の要素がうまく噛み合っておらず、ちゃんと物語としての結びつきが欲しいところです。
こうして4人とも木の中に囚われてしまい絶体絶命のピンチに陥ったジュウレンジャー、果たしてどうやって大獣神合体まで持っていくか?
総合評価はE(不作)、どうにもネタを切って貼っただけで終わってしまい、物語としての連動性が薄くなってしまっています。


第6話「立て!!大獣神


脚本:杉村升/演出:坂本太郎


<あらすじ>
伐採が子供たちの木に迫っていた。一方、巨大化したスフィンクスとグリフォーザー。いまこそ守護獣合体のときだ。走れ、ダイノタンカー!発動、大獣神


<感想>
ティラノレンジャー「ダイノクリスタルはどこにあるんだ!?」
竜撃剣(しょうがねえな、教えてやるよ。オラ!)
ティラノレンジャー「あそこか!!」


竜撃剣さん、あんたジュウレンジャーに甘すぎじゃないですかね?(笑)


えーっと、前半の「ゲキとしてのリーダーの資質」云々は何だったのか、さっぱり意味がわからない後編となっています。
これなら素直にダイノクリスタルを前編で出してダイノタンカーを活躍させ、後編で大獣神初登場という流れにした方がよかったんじゃないでしょうか。
何せダイノタンカー→大獣神と矢継ぎ早に繰り出しているせいで、ダイノタンカーという形態が全く印象に残りません。
そう思うと、前作「ジェットマン」が最初にイカロスハーケンを繰り出し、後半でジェットイカロスにしたのは意味があったのだなと思います。


また、ダイノクリスタルのデザイン自体がクリスタルというよりもプッシュポップのような棒型の飴玉にしか見えないため、そんなにクリスタル感がないのが苦しい。
おそらく構成の意図としては4人が足並みを乱したことがリーダー・ゲキの管理不行き届きということにしたいのでしょうが、全然物語の流れがそんな風になっていません。
チームワークを乱したのは勝手に突っ走って墓穴を掘ったダンくらいで、あとは全員クイズを答えられなかったことから来る失敗であり、ゲキの責任とは全く関係ない流れです。
まあ強いて言えば、ゲキのリーダーとしての責任は「全員が木に埋められる前に自分が代表でクイズに正解する」という手段を講じなかったことくらいでしょうか。


とはいえ、クイズの解答者は基本的にドーラスフィンクスが選んでいたのでゲキが自主的に代表して答えるという展開にも出来なかったので、ゲキの責任ではありません。
それを全部ゲキの不始末とする大獣神の言っていることはブラック企業の社長レベルの理不尽な言いがかりであり、しかも絶望の未来まで見せてくるという始末です。
杉村戦隊って「ダイレンジャー」の導師しかり、「カクレンジャー」の三神将然り理不尽な要求をするイメージがありますが、大獣神はその中でも間違いなく典型的なブラック上司(笑)
合体ロボのデザインや雷光斬りはかっこいいものの、そこに持って行くまでの流れがどうにもチグハグかつ詰め込みすぎで、あべこべな構成になってしまっています。


森林伐採が始まっている中でのクイズというのは変則的かつ緊張感があって面白かったのですが、逆にいえばそこ以外はあまり面白みがありません。
最終的にドーラスフィンクスが頭の蛇が弱点で「かかったな!」みたいな流れも、その前にジュウレンジャー側が墓穴を掘ったので、寧ろマッチポンプでしかないという格好に。
全体的にやらかしが多いジュウレンジャー5人ですが、一番ダメだったのはそんなゲキのピンチにいまひとつ役立っていない痴呆バーザなのですけどね。
総合評価は前回に続いてE(不作)、とりあえずバーザと大獣神は今すぐシルバースター乗馬倶楽部に行って有能かつ人格者の知恵の樹・モークに弟子入りして来なさい。

 

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