明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)7・8話感想

 

第7話「みえる、みえる」


脚本:杉村升・荒木憲一/演出:東條昭平


<あらすじ>
姿の見えないモンスター、ドーラゴブリンが子供たちの心を次々と食べていく。一体どうすれば、ジュウレンジャーは見えない敵と戦うことができるのか?


<感想>
杉村升と荒木憲一のコンビでお送りする回ですが、今思うのはジュウレンジャーって「王道に見せかけた変化球」なのだなということです。
こないだのクイズ形式もそうなのですけど、「ジュウレンジャー」って一見伝説の武器を持った戦闘種族同士の戦いに見せかけて、意外と知略というか能力バトルのような側面も見受けられます。
今回でいえば、ゴブリンは子供達の魂を奪うことができ、しかも靴を履いているせいでジュウレンジャーたち大人には決して見ることができないという差別化が変化球となっているのです。
この「子供には見えても大人には見えない」というのは後に小林靖子が「トッキュウジャー」で大々的にテーマにしていく要素なのですが、それを実験的要素として盛り込んだのがこの回でしょうか。


また、相手がゴブリンということもあり、ビジュアルや話の構成などからいわゆる「実は残酷なグリム童話」をどこまで戦隊シリーズに盛り込むことができるか、というところにも挑戦しています。
あまりにもメルヘンチック過ぎて掴みづらかった本作の世界観ですが、いわゆる「子供の絵本」の世界をそのまま戦隊シリーズでやっているという感じで、ゲームに例えると正に「ドラゴンクエスト」です。
よく本作とビジュアルやファンタジックな世界観が似ている「ギンガマン」と比較してみると、同じファンタジーや追加戦士の要素も似通っていながら、内容は全く別物となっています。
ギンガマン」はファンタジックな世界観でも、戦闘シーンの描写やキャラクターのドラマは凄く正統派といえるものであり、例えるなら「聖剣伝説」「ファイナルファンタジー」という感じでしょうか。


解決の糸口になったのがジュウレンジャーではなく徹少年の協力が窮地を脱するキーとなるというのはとても良かったところで、こういうところも「いかに子供キャラを活躍させるか?」に重点を置いているようです。
また、最終的にジュウレンジャー5人が受け入れてくれるものの、最初はダンだけが寄り添ってくれるが他の4人が反対しているというのもリアクションの違いとしてうまく機能しています。
ダンはこれまでお調子者のトラブルメーカーという側面が目立っていましたが、今回はそれが子供とジュウレンジャーをつなぐ架け橋になるという非常にいい潤滑油の役割を果たしていました。
演じている役者さんのお陰でもあるのでしょうが、ダンってトラブルメーカーではありながら愛嬌があって憎めないんですよね、そういうのも本作のとてもいいところだと思います。


ただ、やはり尺の限界なのか変身後の戦闘シーンから巨大ロボ戦までの流れは非常に大雑把であり、途中経過は盛り上がるものの変身後に入ると基本的にジュウレンジャー側が無双となり、勝ち筋がややワンパターン化
伝説の武器を手に入れた時点で強いのはわかるのですが、それならそれでもっとバトルシーンをしっかり盛り上げて欲しいのはあり、ギミックやゲストキャラよりももっとジュウレンジャー側を立てて欲しいです。
それが本作のとても物足りないところであり、記号してのジュウレンジャーは「かっこいい」と思うのですが、もう少し「この登場人物はこう考えて動いている」という人間的な面がやや見えにくいのは不満点となっています。
総合評価はB(良作)、今の所「つまらなくはないけど、劇的に面白いとまではいえない」という、燃焼率の甘いエピソードが続いており、もっと早く「ジュウレンジャーならではの面白さ」は確立して欲しいところです。


第8話「恐怖! 瞬間喰い」


脚本:杉村升/演出:東條昭平


<あらすじ>
食べる、食べる!ドーラキルケが街中の食べ物を次々と奪い、みんな腹ペコで大騒ぎ。そして、武器までも食べられてしまった5人の前に、謎の老人・ノームが現れた。


<感想>
ボーイ、慣れない現代社会の贅沢な食事に狼狽する、頑張れ!(笑)


そう言いたくなった今回の話ですが、そういえばジュウレンジャーって後半に入るまで経済事情や食事などの私生活の側面って明かされていないんですよね。
非現実的な存在であるゆえにそこを描かなくていいのか、それとも元々恐竜人類自体がそんなに食べなくても生きていける存在だからのかは甚だ疑問ですが。
しかし、こういうカルチャーショックネタはもっと早い段階で描いて欲しかったところであり、正直なところ今更感が拭えません。
本作の世界観って一応ゲストキャラの子供や家族とよく絡みますが、一方で「世間一般との繋がり」そのものはかなり曖昧です。


絶望の大地などがそうであるように、本作はメルヘンチックな異世界じみた舞台で戦うことが多く、現実的な要素をあまり入れられないのでしょう。
今回でいえば、最終的に食べ物が食われた挙句ジュウレンジャーたちは老人・ノームの元へ行くことになるわけであり、しかもかなりあっさり気味に攻略アイテムを入手しました。
試練といえば試練なのですが、その内容が「大食い大会」なのはあまりにもつまらないので、これはだれか脚本の段階でダメ出しできなかったのでしょうか?
巨大なカブトムシなどは「ライブマン」「ビーファイター」を彷彿させる要素で面白かったのですが、出すならもっと面白くして欲しかったところです。


ちなみにこのノーム爺さん、今回だけではなく17・18話にも登場することになるのですが、バーザより多少は頭が回りますが、自分でも言ってるように物凄く意地悪な性格しています。
ただ、礼儀がなっていないダンを叱り飛ばしたり、「ジュウレンジャーは甘い」と喝を入れたりするところは早い段階でジュウレンジャーの欠点をしっかり指摘していて良かったところです。
ともすれば、単なる浮世離れした古代戦闘種族という記号に陥ってしまいがちですが、そうならないようにという工夫は成功の可否を別としても、きちんとやろうとしているのは伺えます。
そしてボーイは人参が大の苦手という、後の「ギンガマン」のハヤテに継承される「苦手な食べ物」要素が浮き彫りになったのですが、あんな大根みたいな人参じゃ美味しくなさそう(笑)


内容的には可もなく不可もなしといったところで、前回に比べるとネタ的にもオチもありきたりなので、総合評価はD(凡作)

 

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