明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ33作目『侍戦隊シンケンジャー』(2009)23・24話感想

 

 

第二十三幕「暴走外道衆」


脚本:小林靖子/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
真夏のお盆の時期には、三途の川の流れが活発化し、ドウコクもまた自分でも抑え切れないほどパワーを増大させた影響で身動きが取れなくなる。彦馬爺はそうした時期への対策として、電子モヂカラによる開発能力を持つ源太の腕を見込み、志波家ゆかりの寺に大事に保管されていた印籠を完成させようと目論む。先代の供養も兼ねて、5人は寺に向かうのだが、そこには思わぬ外道衆の襲撃が待ち構えていた。


<感想>
ここから二十六幕までは中盤の山ともいえる「インロウマル編」であり、具体的には今回と次回、そして二十五幕と二十六幕の二部構成ずつとなっています。
2クール目の終わりと同時に3クール目への繋ぎとする構成は「ギンガマン」の第二十二章〜第二十六章の繋がりと似ていますが、結論からいえばあっちほど上手くないなあということですね。
まず結論からいうと、どうしてもこのインロウマル登場編が劇的なものになり得なかったというのが大きく、二十五幕と二十六幕が上手くまとまっているために余計にそう感じてしまいます。


さて、今回が初登場となるインロウマルの設定ですが、これはもちろん「水戸黄門」に出てくる印籠のオマージュであり、それに合わせて今回は水戸黄門シリーズのキャストが何名か出演しているのです。
具体的には天幻寺の浄寛を演じる高橋元太郎氏は伊吹吾郎氏が格さんを務めていたシリーズで「うっかり八兵衛」を演じていた方ですし、初代シンケンレッドの志葉烈堂役の合田雅吏氏も水戸黄門で格さんを演じています。
また、これは余談ですが「ギンガマン」でギンガブルー・ゴウキを演じた照英氏も水戸黄門に出ており、後に松坂桃李氏も大河ドラマに出演しますから、その意味でも本当に時代劇マニアにはたまらない回です。
お寺の雰囲気や演出などもしっかりお盆の時期という季節に考慮しながら綺麗な画となっていて、とても雰囲気が出ており、そういう情景だけでも楽しむことができます。


で、そのインロウマルを今回源太に完成させようというのですが、どうして源太なのかというと先代の人たちのモヂカラが足りなさすぎて完成させる前に力尽きてしまったからでした。
そこで、電子モヂカラによる開発能力に長けた天才である源太に任せようということになったのですが、ようやくここで源太の「開発の天才」というチートじみた設定が物語に活かされています。
今までは正直「ズルいなあ」と思っていたのですが、ここで「インロウマルを完成させるため」という大きな力のために源太を当てがう設定によって、上手く源太が物語に収まりました。
後はこれで源太が「真の侍」になるまでの描写さえきちんとしてくれれば文句はないので、それを後半に期待するとしましょうか。


その源太は今回またもや十像と絡むことになるのですが、源太はあくまで「寿司屋」という設定にしたことで、はぐれ外道の十臓と自由に絡めるようにしてあるのがいいところです。
これが外道衆だったらそうはいかないのですが、「はぐれ」外道であるがゆえに外道衆とは違い無意味な殺生は行わないから源太の寿司を食っても違和感がありません
むしろ、源太の極端なまでの江戸っ子キャラが十臓のシリアスなキャラと上手く打ち消しあっていて、圧倒的な陰に圧倒的な陽をぶつけてフラットにしたのはよかったです。
その後丈瑠は敵が仕掛けた毒にかかって倒れてしまい、十臓に連れ去られてしまうという見事なまでのヒロイン力を見せてしまうのですが、これはどうしたことでしょうか?


思えば小林女史がメインライターを務める作品って、なぜだか女性陣よりも男性陣の方がヒロイン力高いんですよね…本作では丈瑠が主人公でありながら一番ヒロイン力高いですし。
ちなみにヒーロー力が一番高いのは今の所源太なのですが、源太はいわゆる「一般的なヒーロー」であって「侍」とは違うので、どうかそこら辺はしっかりしてほしいなと。
そして家臣たち4人もそれぞれに骨のシタリや薄皮太夫も本格的に出撃してあっという間にシンケンジャーを追い詰め、源太がいなかったら完全に全滅寸前という危ない状態に。
十臓は珍しく源太の「普通」といわれる寿司を気に入り、そのまま倒れた丈瑠を掴んでいずこかへと去ってしまい、果たしてシンケンジャーはどうなるのか!?


今回はインロウマル前編でしたが、キャスティングから演出、さらには敵組織の大暴れに味方のピンチ、丈瑠と十臓と源太の奇妙な関係など小ネタが盛り沢山です。
かつてないほどにしっかりシンケンジャーを追い詰めており、ボルテージも高まっているので評価はS(傑作)、文句なしに面白かった。


第二十四幕「真侍合体」


脚本:小林靖子/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
ゴズナグモ達の想定外の襲撃を受け、丈瑠は毒で倒れてしまい十臓に連れ去られ、流ノ介たちも負傷で満身創痍となってしまう。印籠は無事にシンケンジャーの手に渡り、源太が必死に完成させることになる。一方、傷ついた流ノ介たちもまた力になれなかったことを悔やむが、勢いを増す外道衆の襲撃と源太の頑張りを見て考えを改めるのだった。


<感想>
インロウマル編の後半戦ですが、結論からいうと微妙に盛り上がりませんでした。
理由は色々あるのですが、一番の理由はやっぱり源太1人が天才で勝手に完成させてしまったからであり、実質「源太がチートだから乗り切りました」と言っているようなものです。
まあチートなのは別にいいんですけど、携帯電話で文字入力の繰り返しというのが絵面としてあまりにも地味すぎて全然カッコよくありません
源太は以前にも述べたようにメガシルバー・早川裕作の系譜ですが、これならまだインロウマル開発のプロセスを見せない方が良かったと思います。


個人的にこういう強化形態のパワーアップと幹部退場を兼ねてやる総力戦となると一番好きなのはやはり「ギンガマン」の中盤なのですが、それとの比較抜きでも純粋につまらなかったです。
せめてシンケンジャーが本当に壊滅寸前でどうしようもないという状況まで追い詰める、或いはアヤカシは倒せたけど幹部連中はスーパーシンケンジャーでなければ対応できないとした方が納得できました。
今回パワーバランスとして不味かったのは普通の武装でも倒せるはずのアヤカシをインロウマルを使ってレッドが倒してしまい、更にロボットのパワーアップまで描いてしまったことです。
そもそもアヤカシ自体があんまり面白味がないキャラが多いのですが、今回のアヤカシはいかにもスーパーシンケンジャーの引き立て役にされてしまった印象は否めません。


また、序盤からそうでしたが、本作はどうも玩具販促と物語とのリンクがうまく行っておらず、インロウマル登場も結局単なるパワーアップアイテム以上の意味がありませんでした。
これを例えば先代のシンケンジャーの過去と絡めて「ご先祖様から継承してきたもの」として意味付けし、現代のシンケンジャーと先代のシンケンジャーを繋ぐ象徴して描いても良かったでしょう。
そうすれば、単なるパワーアップだけではなく、丈瑠たちシンケンジャーが背負ってる侍の使命の重みもより際立ちますし、パワーアップアイテムとしての存在感がより増すはずです。
それからこれはスーパーシンケンジャーに限りませんが、アバレマックス然りアクセルテクター然りキョウリュウレッドカーニバル然り、レッド一強のパワーアップというのはどうなのでしょうか?


もちろん本作は「殿と家臣」という特殊な主従関係なので丈瑠は第一に立てなければいけないし、後の回では丈瑠以外も使い回し可能なのでいいんですが、1人しかパワーアップできないのは微妙です。
羽衣風のデザインは好きですし、強さの描写は圧倒的な感じがあって良かったのですが…あと「スーパーシンケンレッド」なんて横文字使って欲しくなかったなあと。
本作は「和風」で統一している割には中途半端にカタカナ文字を使っているので、どうせやるなら全部英語で統一して欲しかったところです。
まあそれをいうならば「シンケンアカ」「シンケンアオ」「シンケンモモ」「シンケンミドリ」「シンケンキ」「シンケンキン」になってしまうんですけどね。


良かった点を褒めると、改めて丈瑠と十臓の因縁を強化したところであり、この2人に関してはまあ掘り下げがうまく行ったというところでしょうか。

 


「もう1つだけ聞いておく。なぜ俺なんだ?強さだけなら他に幾らでもいる」
「確かに。ただ、おまえもどこか歪だからかもしれないな」


ここで第二十六幕、そして終盤に向けた丈瑠と十臓の因縁を掘り下げて、十臓と丈瑠が一見正反対のようで実は似ているのかもしれないことをきちんと打ち出しています。
その意味はまだここではわかりませんが、ここで丈瑠に「殿」以外のもう1つの「私」の側面を強調しておくことで、個人の因縁も強化して物語に幅が出ているのです。
ということで、全体的なまとまりとしては、前回あれだけ盛り上げた割にはかなり強引にまとめすぎて消化不良を起こしてしまっているというのが正直な感想。
何より源太の開発能力が天才的なので乗り切りましたというのも、そして「スーパーシンケンレッド」というネーミングセンスも微妙です。


あと、真侍合体までごちゃごちゃ詰めすぎてて、全体的にどこをピックアップして見せたいのかがわからず、評価はE(不作)という微妙な結果に。
どうせなら無理して新ロボ登場まで見せず、アヤカシを普通にやっつける&インロウマル開発に専念、スーパーシンケンジャー登場と真侍合体は次に持ち越しでも良かったはずです。
2クール目の終わりということで、次回以降が3クール目となりますが、どうにも2クール目は全体的にグダグダ気味でいまいち全体のまとまりがよくなかったと思います。

 

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