明日の伝説

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大人の読書感想文「きみ、なにがすき?」

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出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/4251011015

どうも、特撮・アニメ・漫画も好きなのですが、何か物足りないなあと思っていたので、何かできることないかと思ったら、面白い動画を見つけました。

 

www.youtube.com


こちら、私が好きで見ているクイズノックさんの「大人の読書感想文」の動画ですが、こういう児童向けの絵本に関して、大人の視点からの感想を書くのも面白いと思いました。
そこで今回から不定期にポツポツ読書感想文を書いて行こうかなと…まあ可愛げのない文章ですが、何卒ご了承願います。
今回選んだ本はこうちゃんが読んでだ「きみ、なにがすき?」の感想です。それではどうぞ。

 

「自分と向き合うことの大切さ〜「きみ、なにがすき?」を読んで〜」 


本書は子供向けの絵本でありながら、複雑な現代社会を生きる大人にとっても大事なエッセンスが含まれている。
それは「自分と向き合うことの大切さ」であり、真剣に自分と向き合うことができる人間は大人・子供問わず少ない。
舞台は森の中で畑を始めようとする穴熊と友達の話というファンタジックな設定だが、物語は非常に緻密に構成されている。
穴熊は友達が好きなものを畑で育てようとするが、友達は既に好きなものを自分で作ることができていた。
上手く行かず空回りし、終いには宥めに来てくれたハリネズミに何を作ればいいのかと怒り出す。
この描写は賛否両論あるだろうが、良かれと思って始めたことが上手く行かず空回りする様はとても生々しい。
しかし、ハリネズミは感情論に走ることなく、極めて冷静に穴熊の好きなものならなんでもいいとアドバイスした。
一晩頭を冷やして真剣に「自分が好きなもの」と向き合った結果、穴熊は遂に椅子とテーブルを作るに至る。
結果として、賑やかな会食の場が設けられたのだが、実はここにとても意義深い人生のエッセンスが凝縮されている。
それがタイトル及び冒頭で提示した「自分と向き合うこと」の大切さであり、自分と真剣に向き合った者だけが成功を手中に収めるのだ。
穴熊が本当に好きだったことは「友達と遊べる場所」を作ることであり、それが同時に穴熊本来の力である。
つまり穴熊は0から1を生み出すクリエイターではく、1を10にして人と人を繋げるネットワーカーの才能があったということだ。
その才能が他のクリエイターたる動物たちを結びつけ、全体の幸せという社会貢献にもつながっている。
一連の物語は「好きを仕事にする」という現代でよく用いられるメッセージの真意を示していると言えないだろうか。
この言葉には裏があり、「好き」とは表面的なものではなく、もっと奥深くにある洗剤的な欲求を指している。
そして多くの場合それは個人の才能と深く結びついており、そこに気づき実行できた時に人生は自ずと成功に近づく。
私は決して穴熊のように、人と積極的に繋がりたいタイプではないが、自分と向き合い苦労した経験は共感できる。
自分と真剣に向き合い、自分を変えられる者だけが人を幸せにし、世界を変えることができるのだ。
非常に普遍的な現代にも通ずる深いメッセージを最小限の物語の中に詰め込んだ、後世に残る名作であろう。