明日の伝説

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映画「テン・ゴーカイジャー」感想(ネタバレあり)

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出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B097DV692W

昨日見てきましたので感想を。ネタバレ満載なので、未見の方は注意です。


面白かったです。「ああ、ゴーカイジャーらしいなあ」って思いました。所々歴代戦隊のネタを見てないと理解できないネタもありますが、話の大筋は十分に理解できるものになっています。
まあ全体の話でいうと、完全に「ONE PIECE」のような正義と悪のあり方で、正義だと思われた国防省こそが悪で、裏にはさらなる悪党がいましたというオチ。
ぶっちゃけ話としての深みは完全にあっちの方が上でしたけど、一本の映画というか「戦隊OVA」としてであればすごく楽しく見ることができた一本でした。


私はいわゆる「10 YEARS AFTER」系のものは見ないのですが、ゴーカイジャーは「エターナルにゴーカイジャー」なので寧ろ良かったです。
いい意味で6人とも変わってなくて、特にグリーンとピンクは本当に10年と経ってない位老けてなくて、メイクしているとはいえ本当に当時のビジュアルをキープしてます。
髪型が変わってややガッチリになったシルバーの池田氏も更に演技達者になってますし、小澤氏もまあほとんど10年前のまま声にドスが効く様になった位か。
その点、グッと大人っぽくなったのがM・A・Oこと市道真央氏と山田裕貴氏で、この2人は本当に売れっ子になっただけあって10年前からグンと色気が増してます。


ルカは本当に大人の女性になった感じでしたし、ジョーに関してはまさに2年後のロロノア・ゾロみたいに男前ぶりが増して本当にカッコよかった。
でも6人全員揃うといつものジョーとルカになるし、「ジュウオウジャー」に出た時も今回もゴーカイジャーはずっとゴーカイジャーだなあと思うのです。
戦隊によっては役者が引退してる関係でどうしても見た目や演技が劣化してたり、「もうヒーローのオーラねえなあ」なんてことも多々あります。
そんな中で「ゴーカイジャー」の6人は今でもあの衣装が似合うしアクションも昔よりできるようになったし、まだ現役でできるなあという感じです。


で、話の内容に突っ込むとすれば、細かい政治劇や「国防省こそが実は悪人でした」というのはいかにもありがちな話ですが、今の時代にはとても合っています。
何がよかったってその国防大臣を演じた山崎氏の演技で、さすがは「アギト」「555」で嫌味な役を演じてただけあって狡い奴を演じるのがうまいですね。
確かにこの役者であれば、レンジャーキーを使って金儲けして私腹を肥やしてもおかしくないし、平板なキャラクターにもそれなりに説得力がでます。
それに今、現実でも大手企業や国のお偉方のような既得権益者の不正が明るみに出て失脚することが多いので、すごくリアリティのある設定でした。


そしてバラバラになったゴーカイジャーが再び集まるまでの物語ですが、これはまんま「ONE PIECE」のゴーイングメリー号が沈む話と新世界に行くために2年後に再会を融合させたような展開。
ハカセがレンジャーキーを売ってたり、ジョーがゴーカイガレオンの撃沈を悼んでたり、ルカが相変わらず策略家だったりとありますが、一番よかったのはゴーカイジャー2話に出てきてた中学生のアフターが描かれたことです。
あの時ゴーカイジャーに「星を守る価値なんて自分で見つけろ」と言った中学生が今度は自分が大人社会の汚さでそういう純真さを失ってしまっていたというのはリアルでした。
今度はマーベラスが「そのくらいてめえで見つけろ」と返し、船長としての威厳を全く失ってないマーベラスを見ると、何があってもゴーカイジャーの中心にはマベちゃんがいてこそだと安心できます。


そしてそこから国防省のお偉方になりすましていたバクート海賊団との戦いでの6人の揃い踏み、そして亡きゴーカイガレオンを強化パーツとして使うという発想も見事です。
10年前はあくまで「歴代戦隊ありき」で組まれていたゴーカイジャーが遂に歴代戦隊のレンジャーキーなしでも自分たちの力だけで戦えるくらいに強くなったのだなと。
しかも沈んだゴーカイガレオンを決してただ沈んで終わらせずにアイテムとして役立てる発想も本作の世界観だからこそできるものであり、とてもいい話でした。
ラストはやっぱりスナックサファリのカレー食うシーンで、ここは「ゴーカイジャー」のお約束という感じですごくよかったところです。

明かされた眼帯の理由がしょうもなさすぎで笑ってしまいましたが。


さて、ここからはそれに伴い思ったことですが、どうしてスーパー戦隊が常に正体厳守だったり、あるいは森の奥のようなところに住んでたりするのかがわかりました。
今回の国防省の金儲けがそうであるように、国のお偉方に目をつけられないようにするためなんですよね、いわゆる国家権力型の軍人戦隊や警察戦隊は別として。
特に「ジュウレンジャー」「ギンガマン」「マジレンジャー」「シンケンジャー」のようなファンタジー戦隊は外との関わりは必要最小限にしないと、国に力を悪用されますからね。
それでなくとも、例えば「ギンガマン」の場合は前後のメガレンジャー、そしてゴーゴーファイブと共演した時にアースの力やギンガブレスの力を作戦とはいえ利用されてましたから。
INETや巽モンド博士がたまたま地球の平和を守る真っ当な人たちだからよかったものの、今回の国防省が相手だったら間違いなくやばいことになっていました。


ギンガの森に結界が厳重に貼られている理由は敵の侵入を防ぐためだけじゃなくて、悪徳業者のような奴らにその力を利用されないためという側面もあったのか。
そもそも環境破壊が進むと人類は自然環境を大事にしなくなっていましたし、バルバンとの戦いがなかったらギンガマンも外の世界の人たちと交流するつもりはなかったでしょうしね。
他のファンタジー戦隊も大体は似たような事情で異世界に住んでいて、世間にはその存在が認知されていないってことが多いのですが、そう考えると「ゴーカイジャー」って恐ろしい世界ですね。
表向き明るい感じで話が進んでますけど、スーパー戦隊の力が世の中に知られてしまってるって危険なんじゃ?つーか、レジェンドは何やってるんだか…。


小ネタとしてはスーパー戦隊親善大使の松本寛也氏が本人役で出てたり、レフェリー役で関智一氏が出演してたり、また「学研スーパー戦隊」が出てきたりしてて思わず笑いました。
こういった歴代戦隊ファンへの小ネタも挟みつつ、本筋はしっかり「ゴーカイジャー」してて、ラストまで飽きずに見ることができました。評価はA(名作)というところでしょうか。
個人的にはゴーカイジャーって「突出して面白い」というよりも「安定して面白い」という印象が強いので、今回も普通に面白かったです。