明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ33作目『侍戦隊シンケンジャー』(2009)37・38話感想

 

 

第三十七幕「接着大作戦」


脚本:石橋大助/演出:竹本昇


<あらすじ>
シンケンジャーが関西弁を喋るアヤカシと戦った時、モチツブテによって流ノ介と千明の両手がくっついて離れなくなってしまう。トイレも風呂も買い物もずっとくっついて行う生活に苦労する2人。水と油のような性格の2人だったが、他の4人も罠にかかって動けなくなってしまう。流ノ介と千明は2人で乗り切るしかない状況を逆手に利用することを考えたのだった。


<感想>
今回の話は流ノ介と千明の手繋ぎアクション回であり、「ギンガマン」の第三十六章「無敵の晴彦」の焼き直し、もといセルフオマージュです。
内容的にはあってないようなものでひたすらギャグで押しているのですが、これは石橋脚本が良かったというよりプロットを提示したであろう小林女史のアイデアかなと思います。
ご存知の方もいると思いますが、元ネタの「無敵の晴彦」はギンガグリーン・ハヤテとギンガイエロー・ヒカルの手繋ぎアクションの予定でした。
それが晴彦さんに変わったのはヒカルの中の人である高橋氏が左手首を怪我してしまって急遽晴彦さんに差し替えられたからなんですね。


そのため、今回の流ノ介と千明は「説教くさい二番手」と「未熟な年少者」の凸凹コンビで改めてのリターンマッチという意味合いが強そうです。
全体的にほぼ2人の掛け合いとアクションだけで押していて、変身前も変身後も凄いアクションを見せていて面白かったのですが、同時に思ったことがあります。
こういう風に無意味に男同士で手繋ぎさせたり一緒に行動させたりするから、小林女史はファンから「BL作家」なんて揶揄されるのではないでしょうか。
本人は高寺Pのラジオで「BL作家と見る人は何を見てもそういう見方をする」「こちらがそういう設定で話を書くことはない」と仰ってて、それはその通りです。


ただ、こういう風に意味もなく男同士で行動させると、そう勘違いする層は一定数いるもので、だから小林脚本って腐女子に好かれやすいのかなと思ってしまいます。
もちろん腐女子と女性の特撮ファンはまた違うものなので別個分けて考えないといけませんが、どうにもそういう人たちまで引き寄せやすい感じだなあと。
まあ小林女史に限らず井上脚本だろうと曽田脚本だろうと、どんな作品にもそういう層は一定数いるものですから、別にそれが悪いとはいいませんが。
しかもお隣が「仮面ライダーW」というバディものだから、この年はおそらく同人界隈でそういう層の人たちは盛り上がったのではないでしょうか。


流ノ介と千明の横の関係性を改めて補強したところはすごく良く、お互いに譲歩して仲を深めるのも、そしてそれを評価する仲間たちのリアクションも秀逸でした。
評価はS(傑作)、中途半端にやらずしっかりとアクションだけで一本作ってくれたので見ごたえ抜群です。


第三十八幕「対決鉄砲隊」


脚本:小林靖子/演出:加藤弘之


<あらすじ>
彦馬爺の妻の命日が近づくころ、丈瑠たちは外道衆のことであれこれ気を揉まなくてもいいように裏で策を練っていた。丈瑠はいつの間にか5人の家族や日常もまた大切に思うようになり、考えが変わったのである。しかし、その時現れた鉄砲隊のアヤカシとナナシ連中に苦戦してしまう。どうするか対策を考えて戦っていたところ、バイクに乗った爺がとんでもないものを抱えて帰ってきた。


<感想>
志葉家にも予算管理があったとは…いやもう爺への気遣いとか鉄砲隊とか色々ツッコミどころはありますが、個人的に一番気になったのは志葉家の経済事情です。
実は描かれてないところで資金繰りや食材調達などが行われていたことが判明したのですが、志葉家の経済事情ってどうなっているのでしょうか?


この辺りは是非スーパー戦隊シリーズの経済事情として後々語ってみたいのですが、どうもシンケンジャーってお金持ちの家系の集まりという気がするんですよね。
流ノ介も世襲制の歌舞伎の家柄ですし、海外で暮らしている白石家や京都の山奥で暮らしているであろう花織家とかも結構優秀そうだし、谷家もなかなか裕福そう。
思えば、4人もの家臣たちを住まわせて面倒を見る財力があるわけですから、おそらく働かなくてもお金が得られるように不動産投資とかやってるんじゃないかなと。
爺とか絶対為替相場の動きとかチェックしてそうですし、裏で超一流の芸能人や資産家のウォーレン・バフェットあたりと繋がっていそうです。


そう考えると志葉家って財力:SSで、それこそ公式にお金持ちとされている鹿鳴館財閥や浅見グループ辺りともタメを張る経済力の持ち主なのではと思います。
そもそもあんな着物や陣幕、スキマセンサーまで用意できるくらいですから、実質の職業戦隊で、規模は縮小化してますが立ち位置としては「ギンガマン」辺りと変わらないはずです。
というか、よく考えてみれば小林女史がメインライターをやる戦隊って「ギンガマン」「タイムレンジャー」「ゴーバスターズ」「トッキュウジャー」と全員特別階級っぽい感じがしますし。
だから一見そこら辺にいそうな等身大の青年がヒーローやっているようで、実はとんでもないお金持ちという「能ある鷹は爪を隠す」を地で行くような設定ですね。


さて、今回の話はオチが大変驚愕で、まさか墓参りに行っていたのではなく例の榊原家に秘密兵器・猛牛バズーカを取りに行くためでした。
しかも、丈瑠たちがそのような裏の仕掛けをしていたことも全部見抜いていたという年の功で、いい話というよりは「榊原家なにしてくれてんねん!!」と思ってしまいます。
一応玩具販促は今回で終わりですが、目的が外道衆との戦いのためとはいえ、こんな武器をいつの間に開発していたのかと思うのですが、もしかしてこれ祖父が絡んでるのかなあ?
牛折神の話からたった2ヶ月そこいらでヒロ少年が生み出せるとは思えないので協力しながら作ったのでしょうが、とりあえず国のお偉方に目をつけられないことを祈ります。
いや、「テン・ゴーカイジャー」みたいに歴代戦隊のレンジャーキーを使った金儲けと銀河征服を考えるアホな連中が確実にいると思われるので。


それから猛牛バズーカは前年の「ゴーオンジャー」のカンカンマンタンガンの系譜なんですが、デザインはあっちより洗練されてて好きですが、なんで最後に出てきたものが剣じゃなくて大砲なのでしょうか?
鉄砲隊ネタを出してくるのはいいのですが、それだけなら別に猛牛バズーカを出す必要なんてなく、烈火大斬刀大筒モードやランドスライサー、ウォーターアロー辺りでもいいんじゃないですかね。
もしくはずっと使われていない恐竜折神のディスクを使って弾くとかでもいいわけで、敵が鉄砲隊を繰り出してきたからというのは猛牛バズーカ登場の必然性としてやや弱いです。
というか、なんども書いてるようにシンケンジャー側がなりきり玩具も折神も多すぎて過剰武装なので、流石にここまでくると食傷気味となってしまいます。


きちんと爺にスポットを当てて、その武器が出るべくして出てきたのはいいんですけど、そもそも敵側の戦力自体がそんなにパワーアップしているように見えません
物語上の意味づけとしては猛牛バズーカがシンケンジャー6人と爺の絆の象徴としてきちんと意味付けされたのは好きなんですけどね。
あと爺さんのバイクアクションも久しく戦隊シリーズでこういうバイクアクションを見てなかったので、見られて満足でした。
評価はA(名作)、玩具販促もこれで最後なりましたが、4クール目の入りとして手堅くまとめてきたというところかな。

 

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