明日の伝説

好きな特撮・アニメ・漫画などに関する思いを書き綴る場所。更新停止

スーパー戦隊シリーズ30作目『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006)13・14話感想

 

Task13「かぐや姫の宝」


脚本:大和屋暁/演出:坂本太郎


<あらすじ>
竹取物語かぐや姫が求婚者たちに探し出すようにいった5つの宝物のうち、なんと4つが怪盗セレネーに盗まれたことがわかった。しかも、怪盗セレネーはボウケンジャーに残るひとつの宝物をどちらが先に手に入れるか挑戦状を叩きつけた。勝負を受けたボウケンジャーだったが、リュウオーンも乱入してきて…。


<感想>
前作「マジレンジャー」よりサブライターとして参戦していた大和屋暁氏が参戦。


内容的には「かぐや姫」をモチーフとした物語になっているわけですが、現行作品が「桃太郎」モチーフということもあって今年は何かと日本昔話が特撮と絡んでいるのが面白いです。
前回バリバリの軍人である過去を見せたことでバリバリの裏番長に躍り出たさくら姉さんのインパクトの後だと、今回の蒼太ネタはちょっと弱いかなあ
全体のクオリティは可もなく不可もなしで、怪盗を名乗っていた女の子こそが実はかぐや姫でしたというオチは悪くないものの、それ自体がドラマとして密接に絡んでいるわけでもありません。
また、蒼太は今回1話の真墨と全く同じミスをやらかしているのですが、そのミスが「わざと」だったにしても事前にそれらしい前振りは欲しいところです。


チーフだけがそんな蒼太の真意に気づいていたという描写がありましたが、ここもやはり會川昇小林靖子が紡いできたチーフ像と違っているため、まだ掴み切れてない印象。
大和屋さんって「マジレンジャー」「トッキュウジャー」でもそうだったのですが、どうしても最初に参加する時はそのキャラクターの表面しか掴めてないような雑な脚本が多いです。
チーフって「頼れる有能なリーダー」というよりは「有能なリーダーと見せかけた冒険ホリック」であって、この人は人を見る目に関しては完全に節穴なのであまり信用してはなりません。
なにせ孤島の決戦で部下を出し抜いてプレシャス独り占めしようとしていましたし、さくら姉さんのメイン回でも本質を見抜けてないことを真墨と蒼太に突っ込まれてましたから。


あと、今回一番難しかったのが蒼太のさじ加減だったと思うのですが、蒼太もまた「ナンパ野郎と見せかけた詐欺師」なので、彼の一見自由闊達なサバサバとした振る舞いは全て虚構です。
だからこそ尻尾を掴まれてはならないし奥底が見えず、それでいて不思議さとミステリアスさを兼ね備えている独特の軽やかさこそが蒼太の魅力ではないでしょうか。
その絶妙なさじ加減をまだ大和屋さんは掴めていないようで、同にも怪盗セレネーに関する対応の仕方や振る舞いが典型的な詐欺師っぽい感じでちょっと違うのじゃないかと思いました。
まあ確実に「この人に迂闊に関わったら人生が破滅してしまう」というオーラを出していますが、女性に対する接し方はもう少しグイグイ行ってもいいんじゃないかと思ったところです。


リュウオーンの絡み方も微妙で印象に残りませんでしたしね……ただ、1つ気になったのがプレシャスのハザードレベルについてであり、これに関してちょっと考察してみます。
本作のハザードレベルは回によってバラバラなのですが、これまでに登場したプレシャスの数値は以下の通りです。

 

  • ゴードムの心臓……86
  • ゴードムの脳髄……130
  • 三国覇剣……120
  • マッドネス・ウェザー……不明
  • 帝国の真珠……不明
  • 縊(くび)……不明
  • 火竜(サラマンダー)の鱗……220
  • ヴリル……130
  • レオン・ジョルダーナの画帳……350
  • ハーメルンの笛……110
  • 月の羽衣と不死の薬……87


はい、ここから見ても分かるように一体どんな基準で数値化されているのか、大小の差はどこにあるのか全くわかりません(苦笑)
しかも11も登場していながらうち3つは数値化されていませんし、100を超えているものとそうでないものとの違いがわかりません。
読んで字の如く「プレシャスの危険度」を数値化しているのですが、「キン肉マン」「ドラゴンボール」がそうであったように、エンタメ作品における数値化って無理があるんですよね。
ボウケンジャー」をSF作品として見たときに微妙なのはまさにここで、例えばレオン・ジョルダーナの画帳は350と別格に高いですが、これはあくまでも写本でしかありません。


なぜそんな写本ごときが他のブラックボックスなプレシャスよりもレベルが高いんだよって話なんですが、この数値自体サージェスの基準で適当に決められたものではないかと思うのです。
そもそも経済学や数学・物理学などに詳しい人間でもない限り、下手に数字を扱ってしまうとろくなことになりませんが、本作はまさにその典型ではないでしょうか。
不明となっているのはいわゆるスカウターが限界を振り切ると壊れるようなものと同じで、数値化が不可能かもしくは数値で測れない何かがあるかというところでしょう。
特にマッドネス・ウェザーなんて自然現象を操っていますから4桁は行かないとおかしいというレベルのことをやっていたわけですからね。


本作のメインは別にバトルではないので「戦闘力」ではなく「プレシャス」を数値化しようという試みはいいのですが、決してうまく行っているとはいえません。
この辺りがSF作品として見た場合本作のとても作りの甘いところであり、イマイチ傑作クラスに跳ねられない理由にもなっています。
総合評価はD(凡作)、この内容だったらもっと盛り込んで面白く工夫できるのではないかと思い評価は辛めです。


Task14「甦る過去」


脚本:荒川稔久/演出:坂本太郎


<あらすじ>
伝説のエネルギー鉱石・アメノカナヤマノハガネの情報を手に入れたボウケンジャー。早速探索に向かうが、そこにはすでにダークシャドウが待ち構えていた!ヤイバとシズカの連係攻撃の前に崖から転落してしまう菜月。なんとか命は助かったが、暁たちとははぐれてしまう。そんな菜月の前に縛り上げられたひとりの少女が…。


<感想>
今回は久々にやってきた真墨と菜月ネタで、前作「マジレンジャー」以来となる荒川脚本ですが、前回よりはまあまあのクオリティとしてまとまっていました。


真墨の過去が暴かれてしまうわけですが、個人的にはぶっちゃけあまり好みでないタイプの話の持って行き方で、どうにもこういう「キャラ萌え」というのが私は苦手なようです。
荒川脚本って元々アニメ畑なのでそれを戦隊シリーズなどの特撮作品にも持ち込んでしまうところがあるのですが、本作の真墨と菜月はキャラ付けが確かにアニメっぽいためそう見えるのでしょう。
ただ、真墨が単なるありがちなツンデレキャラにされてしまっていたり、菜月の悪気のない天然毒舌みたいなキャラクターが苦手なこともあって、私からすると正直嫌いです。


今回の話などから見るに菜月の天然ぶりってどっちかというと「優しい」というよりは「無自覚に相手の地雷を踏んでいることに気づいていない」というタイプなんですよね。
真墨や蒼太が割と捻くれ要素が多いためにそういうキャラ付けにされているのでしょうが、あまりにも純度の高すぎる天然は好きじゃありません。
こういうタイプって時としてズカズカと相手の地雷を踏んでしまうところがあるから、仕事はともかくプライベートでは絶対に関わりたくないです。
まあラストで特製のデザート作ってやらかしてしまうドジっぷりで真墨へやったことに対しての罰が下るところは見ていてスッキリしました(笑)


そうだ、もっと苦しめ、菜月みたいなタイプはもっと横っ面張り倒されて痛い目に遭えばいいんだ、カッカッカ!


なーんて言いながら、まあ話そのものはエンタメとしてそこそこのクオリティでまとまっており、総合評価はC(佳作)といったところ。
前回配信分までが良くも悪くも濃すぎたため、どうにも箸休めのための箸休めで毒にも薬にもならない2話でした。

 

にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村