明日の伝説

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原作「ドラえもん」レビューその①〜日本特有の社畜万歳精神〜

大長編「ドラえもん」のレビューを書いた影響で原作の「ドラえもん」を現在読み直しているのですが、やっぱりポリコレやコンプライアンスなどの問題で時代錯誤な描写や価値観は多々あるなあと。
もちろんそれは「ドラえもん」に限らず昔の作品ならば多かれ少なかれあるものなのですが、ことのび太の両親や先生が説教するような内容は今の時代に流石に通用しないだろうというものが多々あります。
それは原作漫画を小さい頃に読んだ私ですら子供心に感じたのですから、完全に価値観も時代性も異なっている今の子どもたちでは尚更理解できないのではないでしょうか。
その中の1つがこちらです。

 

のび太社畜精神を植え付けるのび助


原作4巻の「してない貯金を使う法」の中にあるのび助がのび太に「働いて稼ぐことの大切さ」を説いているのですが、一方でこんなことを有難がっているから日本はいつまでも借金大国なのだとも考えられます。
この話でのび太は今すぐにプラモデルを買いたいが為にお金をズルかまして手に入れようとするのですが、そのようなことをするとろくな大人になれないということをいいたいのでしょう。
確かにそれはその通りで「悪銭身につかず」と言いますが、かといってのび助のこの説教が本当に正しいのかというと決してそういうことではありません。
むしろ昭和時代の価値観の主流にして、今でも日本人の働く根底にある社畜万歳精神、わかりやすくいうと「24時間戦えますか?」がこの説教の根底にあるものです。


今のように個人が自立して働き方の多様化が認められた以上、もはやただ働いて稼ぐことに何の意味もないことは周知の事実であり、ましてや日本では働けば働くほど税金を搾取される構造にあります。
さらにいえば、もう賢い人はすでに気づいて実践し始めていることですが、本当の意味で豊かになりたい、経済的にも精神的にも豊かな人になりたければ労働収入だけでは無理なのです。
これに関してはYouTuberのヒカル・ラファエルをはじめホリエモンや青汁王子、孫正義など一流のビジネスパーソンは口を酸っぱくして権利収入(不労所得)の大切さを説いています。
今、ネットのあらゆるところでやたらに投資やMLMなどの広告が多くなっているのも、もはや労働収入だけで生きていける時代ではなくなってきていることを意味するのではないでしょうか。

 

4つのお金の稼ぎ方


このように、ビジネスの形態には4つの段階、Employee(従業員)、Self employee(自営業者)、Business owner(ビジネスオーナー)、Investor(投資家)があります。
この内Employee(従業員)とSelf employee(自営業者)が「働いてお金を稼ぐ=労働収入」、そしてBusiness owner(ビジネスオーナー)とInvestor(投資家)が「働かずして稼ぐ=権利収入」です。
日本ではなぜかこの4つの段階のうちEとSに関しては執拗に重要性を強調しますが、後者に関してはなぜかきちんと教えない、否、教えてもらえません。
本来お金持ちになりたいのであれば労働収入:権利収入=2:8が望ましいのですが、なぜかこのようなことに関しては日本だと教えられていないのです。


このことを知った上でもう一度のび助の説教を見ると、いかにのび助の説教が偏っているか、事実を隠蔽してのび太社畜精神を植え付けようとしているかがわかるのではないでしょうか。
汗水を流して働くことは確かに「労働の初期段階」では大切ですが、それを過ぎてある程度稼ぎができてきたらそれを投資に回して権利収入を膨らましていかなければいつまでも会社に都合よく使われて終わりです。
そこに気づかずにせっせとありのように働いてバカみたいに税金を納めていると、いつまで経っても国からお金を一方的に搾取される構造から逃れることはできません。
のび太は父の説教の意味がわからずズレた解釈をしてしまうのですが、一方でのび太のしかめた面は「パパの言うことは本当に正しいのだろうか?」という疑問・批判を提示しているという意味では間違っていないのです。


この場合問題にするべきは「どのようにしてお金を稼ぐか?」よりも「稼いだお金を何のために使うのか?」であって、その観点で見た時のび太にお金を与えることは決して長期的に見て得策ではありません。
のび太スネ夫の金持ち自慢に対抗するために買うわけですが、そのような目先の物欲を満たすためだけにお金を稼いだとして、それはいわゆる「海老で鯛を釣る」ことではないでしょうか。
そのプラモを手に入れたところでのび太自身の成長に繋がるのかということを問うべきであり、お金は「どのように稼ぐか?」よりも「どう使うか?」ということの方が大事なのです。
どれだけお金を稼いだとしても、そのお金を私用で消費し私腹を肥やしていたらすぐになくなるわけであり、いつまで経ってもお金は貯まりません。


お金をテーマにして話を展開する場合、最低でもここまでやってようやくのび助の説教やのび太の行為などにも深みが出るのであって、しかし当時の子供向けでは「働くことが大切」以上にはいえないのでしょう。
このお金の問題に限らず、今日の視点で「ドラえもん」を読み直すと「それは本当に今の時代に通用するのか?」と思うことが多々あるわけでして、時代性の違いだけでは片付けられない問題が多々あります。
そしてまた、こんな働き方や考え方を有難がっている限り、のび太は一生本当の意味で豊かな人生を歩むことはできないのではないでしょうか。