明日の伝説

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アカニンジャー/伊賀崎天晴に見るバカレッドのバカレッドたる所以

ちょうど「ニンニンジャー」の1クールが今週で終わったので、現段階での天晴のステータスを試しに数値化してみます。

 

カニンジャーの仮ステータス


<パラメータ分析>
戦闘力:5
技巧:2
知性:1
精神力:1
統率力:1
人間力:1
数値合計:11/30
分析結果:D(弱い、他のメンバーと比べても劣っている)


えーっと、私の解釈違いだったら申し訳ないのですが、数値化してみると天晴は歴代底辺クラスではないでしょうか。
しかしそんな天晴ですが、どうやらネット上のファンからは「適材適所を理解して、自分に足りないところは他のメンバーに任せられる理想のリーダー」扱いされているのです。
Twitterにしてもブログのニンニンジャーに関するまとめ記事もほぼそんな風潮で固まっているのであまりにもその温度差が激しすぎて気持ち悪いと感じてしまいます。
いくつかここでそう呟いている方々の意見を引用してみましょう。

 


凄いですねえ、引用させて頂いた方々には申し訳ないのですが、多分この人たちと私とでは同じ作品を見ていても全くの別物に見えてしまっているのだと思われます。
ただ、そんなタカ兄のことをきちんと「いやこいつはただのバカだろ」と真っ当に突っ込んでくださっている方もいるので、その方の意見もあえて引用しておきましょう。

 


とりあえずこんな感じですが、今回は改めてバカレッドバカレッドたる所以」を「バカレッド」と呼ばれる類の人たちやそれに類するアニメ・漫画キャラにも言及してみます。
以前にも「バカレッド」を言語化しているのですが、そちらの記事をまずはご覧頂いた上でこちらを見ていただければ幸いですので、併せてどうぞ。

 

gingablack.hatenablog.com


まず天晴をはじめとしてバカレッドに共通しているのは「相手の力量と己の力量の差もわからず突っ込む三下」という特徴です。
私がバカレッドを虫唾が走るほど大嫌いなのはこの部分が大きく、要するに「洞察力」がないからなのですよね。
具体的にどういう奴なのか、漫画・アニメ界の事例をいくつか挙げながら紹介していきましょう。

 


ヤムチャ(『ドラゴンボール』)

かませ犬の殿堂入り


言わずと知れた「THE かませ犬」であるヤムチャですが、彼は初期から「相手を舐めて突っ込んでは返り討ちに遭う三下」として描かれていました。
代表的なのはやはりサイヤ人編のVSサイバイマンですが、悟空が登場する前にZ戦士が集合する中で彼は最後に「真打登場」みたいにめちゃくちゃカッコつけて登場したのです。
この時点で死亡フラグは立っていたのですが、サイバイマンとの戦いではそれなりに善戦するも、油断して偽りの勝利に酔いしれてしまい抱きつき自爆であっさり死亡となりました。
このことからファンの間では「ヤムチャしやがって…」なんてスラングができるほどであり、これ以外にもVS天津飯、VSシェンなどかませ犬としての見せ場が豊富にあります。


何が凄いといって、これだけ惨敗を繰り返しているにもかかわらず全く反省も成長もせず同じ過ちを繰り返し、その結果人造人間編ではブルマがベジータのものになり、更に人造人間20号に無様に負けるという。
そしてセルゲームではセルジュニアに腕をへし折られて「ぎゃあああ!」なんて泣くだけで終わりましたが、それからはもう完全に去勢されてしまったのか天下一武道会に参加すらしなくなりました。
このヤムチャのかませ犬キャラはアニメ・漫画・特撮などあらゆる創作の中でも群を抜いたネタキャラとしてのインパクトと完成度を誇り、「かませ犬といえばヤムチャとして君臨しています。
そんな彼ですが、唯一の救いは「人間性」にあって、意外にも常識人な部分や気さくで優しいところもあるので、単なるネタキャラではなく「愛され」の要素があったことでも有名です。


②犬塚キバ(『NARUTO』)

第二のヤムチャ


ヤムチャに比べるとインパクトやネタ度では負けますが、「犬」という名前がついてしまっているせいかこちらも「THE かませ犬」の代表として挙げられる「NARUTO」の犬塚キバ。
中忍試験でのナルトとの対決でそのキャラクターを露わにし、ナルトを「雑魚」として見下した挙句イキってボコボコにしたはいいものの、敢え無くナルトからの叛逆を食らって負けました
そしてそれ以後活躍らしい活躍の場もなく、第二部に入っても目ぼしい活躍がない「かませ犬」として成り下がってしまい、もはや「木の葉の里のヤムチャ枠」という不動の地位をものにしたのです。
まあ「NARUTO」の場合、うずまきナルトのライバルキャラは初期からうちはサスケと決まっていたので、初登場時からキバはただのかませ犬というかやられ役でしかなかったのでしょう。


切原赤也(『テニスの王子様』)

第三のヤムチャ


テニプリ界のヤムチャといえばこの人を置いて他にいないでしょう、「2年生エース」として名づけられながら悉く格上にばかり惨敗を繰り返してしまっている不運な切原赤也
初登場時はいわゆる「スラムダンク」における清田信長ポジションで主人公たる越前リョーマのライバルキャラとして位置付けられていた記憶がありました。
そして実際に関東大会決勝の立海戦を前に越前と草試合をするのですが、その野試合で越前の選手生命を潰そうとした因果応報が祟ったのか、無我の境地の引き立て役にされることに。
逆に本当のテニスを越前に叩き込まれることになった上、関東決勝では青学の天才・不二を相手に「13分で終わらせる」「天才は一度潰れると脆い」なんてイキっておきながら不二に惨敗しました。


更に全国大会準決勝では名古屋聖徳のクラウザーにボコボコにされ、決勝でも海堂のレーザーとトルネードスネークの合わせ技に負けかけ、しかも一番望んでいた「全国三連覇」もならず。
最新の「新テニスの王子様」では柳にコテンパンにされた挙句温情での危険負けという屈辱を受け、更に三船入道らからもボコボコにされ、更に天衣無縫の極みに目覚めた越前にボコボコにされています。
もはやテニプリでボコボコにされるのが役目と言ってもいいくらいのキャラになりましたが、思い返せば入学当初立海のビッグ3に大口を叩いてはボコボコにされるという無様な洗礼を喰らっていました。
思えばこの時から彼の三下かませ犬人生は宿命づけられたものであったのかもしれません。


④サイコロステーキ先輩(『鬼滅の刃』)

第四のヤムチャ


ここ2・3年のジャンプ漫画で久しく見ていなかった「かませ犬」「やられ役」としてネットなどでも大反響を呼んだ鬼滅の刃」のサイコロステーキ先輩
もちろんこれは本名ではなく劇中では単なる名無しのモブキャラなのですが、細切れにされて死んでしまう様子がサイコロステーキに見えたのでこのあだ名がつけられました。
「俺は安全に出世したいんだ」なんてこすい考えをほざき、相手の鬼を「弱そうなガキ」と見下し、イキって突っ込んだ挙句あっさり返り討ちに遭ったのです。
ジャンプ漫画でも長らく見ていなかった「THE かませ犬」の典型ですが、たった数コマ、アニメでも40秒しか出ていないのにこのインパクトは凄まじいものがありました。


代表的なジャンプ漫画界の「かませ犬」と呼ばれるキャラを集めましたが、「バカレッド」の性質とは要するに戦隊シリーズにおける「ヤムチャ枠」を指すのではないかと思います。
相手と自分の力量の差もわからずに突っ込んでは返り討ちに遭い、それを何度も無反省に繰り返すという全く成長の見られないバカ、それがバカレッドバカレッドたる所以なのです。
以前にも書きましたが、バカレッドとは決して「勉強ができない」といったことでバカと言われるのではなく、そもそも思慮分別を弁えた行動ができないからバカと言われてしまうのでしょう。
そしてそれはアカニンジャー/伊賀崎天晴とて例外ではなく、この1クールだけを拾っても十分に「ヤムチャ枠」と言えそうな要因は揃っています。


例えば2話、「俺の居た魔法学校じゃもっと凄いことを学んでいたんだ。手裏剣忍法などイージーだな」という八雲の皮肉に「爺ちゃんに対して失礼だぞ」などと宣い、たどり着いた結論が「俺、本番には強いから」。
それを受けての6話、「そっか、そうだった。お前達はがんもや大根、俺は卵だ!」と自分をおでんに例えるのですが、これはつまり「自分=主役、仲間たち=引き立て役」という宣言。
7話では先輩忍者であるサスケと鷹介から総合評価「1」を喰らったにも関わらずまたもや無反省に敵に突っ込んでいっては失敗ということを繰り返しなんの成長もしていません。
更に10話では好天の仇討ちと言わんばかりにスターニンジャーことキンジとの力量の差もわからずに突っ込んで返り討ちに遭い、八雲と風花に尻拭いされてしまっている始末。


そして今週、11話で強くなった蛾眉との一騎打ちでボロボロになったにもかかわらず、ペース配分を弁えず戦い続けてぶっ倒れるということになってしまいました。
ここまでの天晴の動きを見ていただければわかるように、天晴ってそのコミカルなキャラに反してやっていることは完全な三下、俗にいう「ヤムチャムーブ」というやつなのです。
他人への口の利き方も知らないし先輩相手にも失礼な態度をナチュラルに取っているし、ここで引くべきか突っ込むべきかという最適な判断すらもできていません。
こんなののどこが「自分がバカであることを自覚して周囲に任せられる理想のリーダー」なのでしょうか?


まあヤムチャみたいなのがなまじ主人公補正を持ってしまったのがアカニンジャー/天晴ということがこの1クールの天晴を分析して私なりに見えてきたことです。
そしてこの天晴の特徴は大なり小なり形は違えど、00年代には蔓延っていた「バカレッド」と呼ばれる類のレッドが持っていた特徴ではないでしょうか。
要するにバカレッドとはヤムチャ枠=自分と相手の力量の差も見抜けず突っ込むバカが戦隊レッドになったら?」ということを表していたのだといえます。
ハリケンジャー」の鷹介や「デカレンジャー」のバン、「マジレンジャー」の魁、「ゲキレンジャー」のジャン、「ゴーオンジャー」の走輔らはまさにそんなレッドです。


私がなぜ戦隊レッドを数値化してパラメータ化しているのかというと、1つはバカレッド」と呼ばれるキャラの本質がどこにあるのかを見抜くためにあります。
昨日の記事でも書いたように、何でもかんでも数値化すればいいわけではありませんが、キャラクターの格を数値化することで見えやすくするという意味では数値化は悪いことではないでしょう。
カニンジャー/伊賀崎天晴は正にそんな本質を明らかにしてくれる研究材料にして叩き台になったという意味で、反面教師的な意味も含めてなかなかよくできたバカレッドだと思います。
私が脚本家だったとしたら、こんなレッド怖くて絶対作りませんけどね(笑)