明日の伝説

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作品における「数値化」は直接的な面白さに繋がるわけではない

gingablack.hatenablog.com

 

先日の記事に関連して補足ですが、作品における「数値化」は決して直接的な面白さに繋がっている訳ではありません。
今回はこのテーマで話をしますが、「キン肉マン」「ドラゴンボール」などのバトル漫画における戦闘力の数値化はそれ自体が面白かった訳ではありません。
例えば両者の代表的な戦闘力の数値化の例としてバッファローマンのシーンとフリーザ様の戦闘力の数値化のシーンを挙げてみましょう。

1,000万ってどんな強さ?

53万ってどんな強さ?



このように見てみると、ウォーズマンの1,000万パワーしかりフリーザ様の53万しかり、決して「数値そのもの」に面白さがあった訳ではありません。
数値化することによって脅威や絶望感を登場人物並びに読者に与え、その圧倒的な差をどう詰めて勝利まで持っていくのかという「壁を示すこと」にあります。
キン肉マン」も「ドラゴンボール」も戦闘力を示すことによってキャラの強さや格を定義することに目的があったのであって、数字そのものはピンと来ません。
だって「1,000万」なんて数値を聞いて具体的にどれくらいの強さかなんて、数字に強い理系の人間でもない限り具体化してわかる人なんていないでしょう。


ドラゴンボール」ではこのフリーザ戦の53万以降戦闘力の数値化はなくなりましたが、なぜかというと大事なのは「設定」ではなく「演出や描写」だからです。
例えば超サイヤ人は非公式の書籍だと1億5,000万という形で数値化されていますが、本当にこの数字通りの強さだと思う人はまずいません。
しかし、髪の毛や眉の色が黄金色になって逆立ち、目の色が淡い緑色になり気を纏うという演出によって明らかにそれまでとは違う強さになったのだとわかるのです。
少なくとも変身前よりも変身後の方が明らかに強いことが読者に伝わればその時点で成功であって、ゆでたまご先生とは違ってトンデモ理論へ陥らなかったのは賢明な判断でした。


もっとも、この「数値化」に関してはジャンプ漫画だけの問題ではなく、実は特撮作品も似たような問題を抱えているのです。
例えば金城哲夫先生がメインをお務めになった「ウルトラマン」「ウルトラセブン」ですが、最終回で実は数値化されたことによる問題が発生します。
1つ目が「ウルトラマン」のゼットン火球1兆度ですが、Twitterなどでも度々「いくら架空の設定だからといって、そんな数字はないだろ」と突っ込まれているのです。
太陽ですら表面が6,000℃、中心は1,600万℃であり、本当に1兆も熱があったら技を発した時点でゼットンは地球ごと蒸発して死んでしまいます。


他にも「ウルトラセブン」の絶対零度の回や最終回の血圧400脈拍数360に体温90℃などといった無茶な設定が次々と出てくるのです。
いくらモロボシダンが異星人といってもそんな高熱ならまずウルトラ警備隊の服が熱で焼けてしまいますし、他の隊員たちも力寄れないでしょう。
また脈拍や血圧もそんなに高かったら高血圧なんてレベルじゃなく、下手すれば心臓病などにかかってもおかしくありません。
もちろんこんなのに騙される人はいませんが、何でもかんでも数値化してしまうと「本当にそうか?」というツッコミどころを与えてしまうことになります。


また「仮面ライダー」に関しても、非公式の雑誌などで戦闘力が数値化されていましたが、これが全くアテになりません。
例えば新1号が「パンチ力60t、キック力90t、ジャンプ力25m」で新2号が「パンチ力75t、キック力90t、ジャンプ力35m」になっています。
しかし本当にこの数字通りの強さとして演出・描写がなされているかというと決してそんなことはないと誰もがわかっているのです。
本当にパンチ力やキック力がそんなにあったら、戦闘員なんて軽く当てるだけで姿形もなく破壊できてしまうでしょう。


このように、戦闘力をはじめとする数値化は作品の面白さに直接繋がっている訳ではなく、大事なのはどういう目的でそれが使われているかなのです。
要は「面白いかどうか」が大事であって、別にどっちが先とか後とかでもないし、そんなことを言い出したら「卵が先か鶏が先か」というところになってしまいます。
先発だから素晴らしく後発だからダメだというのであれば、「ジュウレンジャー」こそが素晴らしく、以後のファンタジー戦隊や恐竜戦隊はその劣化版という評価になるでしょう。
しかし、実際はそんなわけでもなく、「ジュウレンジャー」も決して完璧な作品ではなくかなり後発の作品に多くの課題を残した作品でありました。


これは多くの人が誤解しがちですが、目新しい要素や新規路線を開拓することが意欲的な野心作であるかのように評価したがる傾向があります。
しかし、どんだけ意欲的な野心を持って目新しいことに挑戦しようが、それを作品としての面白さに結びつけられなければ意味がありません。
そんな当たり前のことすらもわかっていない人がいたことに私は正直ガッカリしたのですが、最後は有名なキン肉マンのこのAAで締めくくりましょう。


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    |ヽ   ~~⌒γ ⌒ ) r'⌒ `!´ `⌒) よく頭のおかしいライターやクリエイター気取りのバカが
   │ ヽー―'^ー-'  ( ⌒γ ⌒~~ / 「誰もやらなかった事に挑戦する」とほざくが
   │  〉    |│  |`ー^ー― r' |  大抵それは「先人が思いついたけどあえてやらなかった」ことだ
   │ /───| |  |/ |  l  ト、 |  王道が何故面白いか理解できない人間に面白い話は
   |  irー-、 ー ,} |    /     i    作れないぞ!
   | /   `X´ ヽ    /   入  |