明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ39作目『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015)5・6話感想

 

忍びの5「宇宙忍者UFOマル!」


脚本:下山健人/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
妖怪が出現!駆けつけた先にいたのは、妖怪ウンガイキョウ。ユーモラスな顔をした妖怪は、子供たちに風船を配っているだけで、特に悪いことはしていない。どうしたものか…。そこへ遅れて駆けつける霞。大学の講義中で遅れたという。忍者との両立に苦労しているのでは、と心配した八雲は……。


<感想>
今までと比べると一応「お話」にはなっていますが、この作品SFにしたいのかファンタジーにしたいのか、益々わからなくなってしまいました。


とりあえず今回わかったことは一見理論派のようでいて実は湿度が高い八雲、それとは反対に一見感情的なようでいて意外とドライな霞という色分けが見えたことです。
この2人に関してはある程度擬似的な恋愛要素も入れつつ早めの段階で関係性を築いてはいるのですが、最終的に霞が1人で乗り越えているために八雲の心配が一方通行でしかありません。
それがネタになるくらい八雲が強ければいいのですが、残念ながら八雲はこれまでの描写で判断すると「模擬テストでは優秀だが実戦ではいまいち」という感じになってしまっています。
尚且つ、霞の「科学者を取るかラストニンジャを取るか」というのも、そもそもなぜ科学者の道を歩みたいと思ったのかがわからないため、どうにも唐突な印象は否めません。


ただし、面白かったのは「とにかくさー、色々、与えすぎだよ。俺の時とはまっったく違う。幾ら何でも甘すぎるんじゃないか?」「なーに、 甘いのもここまでじゃ」という好天と旋風のやり取りです。
今までこの2人の直接的なやり取りは描かれてませんでしたし、また旋風のセリフがまんま「ニンニンジャー」がどんな戦隊かをある意味で皮肉ったセリフになっています。
下山脚本は基本的に高く評価していないのですが、こういうところだけはたまに浦沢門下生というのを感じさせますが、これって要するにゆとり教育への皮肉なんでしょうかね。
以前にTwitterのスペースで黒羽翔氏が「ゆとり教育とは実質「甘やかし教育」である」と言っていたのですが、ことニンニンジャーに関しては本当に甘やかしているようにしか見えません。


演じている役者さんも基本的に世代がゆとり世代以下の人たちばかりですし、未だにこの演技力のズタボロ具合からもスタッフから甘やかされてぬくぬくやってるんだろうなあと。
もちろんゆとり世代だからと一括りにするのも問題ですが、本作に関してはマジで作っている側の考えが根本的にゆとり側に寄り過ぎてしまっていて、それがそもそも好きになれない要因かもしれません。
特に天晴を見ていると、本当に与えられ甘やかされるのに慣れすぎてしまい、ちょっと欠点を他者から指摘された程度で逆切れし、そんな自分を正当化する様なんて本当にゆとり世代の悪い特徴が出ています。
神輿に担がれ、祭り上げられてヒャッハーできる天才系レッドなんて単なる過保護な甘やかし以外の何物でもないと思うのですけど、これが今の戦隊の目標値なのか、低いなあ。


しかも、肝心要の蛾眉雷蔵との約束もすっぽかしていますので、これは幾ら何でも「バカだったから」では許されないレベルで、約束や義理を果たせないレッドは大嫌いです。
それから、霞以外が実は妖怪が仕掛けていたのが罠であることに気づいていないというのも無理があり過ぎる展開で、この戦隊はマジで脳筋かバカか天然しかいないのでしょうか?
知略担当を霞1人に押し付けてしまっている気がして、逆に霞(というか山谷花純氏)に若干同情を禁じ得ない状態になりつつあります、こんなクソ脚本でクソキャラを演じなきゃいけないんですから。
かといって、今回の目玉であるUFOとの繋がりがあるわけでもなく、総合評価はE(不作)というところでしょうか。


忍びの6「デングの神隠し」


脚本:下山健人/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
忍術中間試験!燃える天晴、クールにふるまう八雲、はたしてその結果は?一方、アカニンジャーとの勝負をすっぽかされた蛾眉は、再戦の場を整えるよう、妖怪テングに指示した。テングは策略として、シロニンジャーを連れて行ってしまった!助けようと急ぐ天晴の前に十六夜が現れる。祖父、好天もその場に来て……。いよいよ対峙する、十六夜 VS ラストニンジャ!


<感想>
「俺たち1人ずつではまだ力が足りない。でも5人の力を合わせれば、あいつを倒せる。1人で背負い込むな!」
「そっか、そうだった。お前達はがんもや大根、俺は卵だ!」


天晴さん、それはつまり「俺は主役、お前らは引き立て役(かませ犬)だ!」という実質の俺TUEEE宣言と受け取ってよろしいでしょうか?(悪意)


そんな今回の話ですが、前回は「少しだけ」話になっていたっぽく見せましたが、今回はやっぱりいつもの下山脚本だなあなんて思ってしまいました。
蛾眉と天晴の因縁をきちんと拾ったのはいいのですが、風花を囮にする意味が全くなく、またチームワークの大切さを訴えようという見せ方があまりにもしらこくて萎えます。
おでんネタなんて物の例えであって別に伏線回収するほどに大事な要素じゃありませんし、そんなに再三「チームワークが大事」と訴えるとかえって「団結」「絆」という要素が薄っぺらく見えるのですよね。
チームワークが大事、というのは戦隊シリーズの本質の1つではありますが、あくまでも必要条件であって十分条件というわけではなく、自立した個人であることも同時に大切です。


また、ここまで描かれてきたニンニンジャーの個々の関係性自体が団結云々というよりは、如何にして周りの仲間を出し抜くかという競争的な要素が強く描かれています。
その結果として戦闘力だけが異様に突出した天晴が持ち上げられ、ほかの4人がかませ犬もとい引き立て役という扱いにしかなっていないのが致命的なマイナスです。
風花を攫ったのもおそらく「妹が拐われたらさしものバカな天晴でも動揺する」というネタにしたかったのでしょうが、これまで天晴が妹を大切にしてたような描写も特に存在しません。
基本的にはラストニンジャになりたいじいちゃん子でしたから、ここで持ってこられた兄妹愛があまりにも唐突すぎて全く乗れません。


何だろうなあ、天晴はよくファンから「自分がバカだということを自覚して、周りに任せることができる器の大きい人」という謎の評価をされることが多いのですが、ここまで見てきた描写から判断するとそうは見えません。
どちらかといえば、ただ一人で突っ走っては痛い目に遭い、それを仲間たちが尻拭いして甘やかしているだけ、もしくは一人で無双して仲間たちを引き立て役にしている印象が強いのです。
また、蛾眉自体もその場だけを切り取って見ると強そうなのですが、そもそも幹部としての指揮能力などに優れているわけでもなく、単なる戦闘狂というぼんやりしたイメージしかありません。
そんなやつに苦戦したところで大したカタルシスは得られませんし、むしろ「天晴1人じゃ敵わないから5人で袋叩きにする」というリンチの構図にしか見えないというのがありありと。


最初からそうなんですが、どうしてこうも本作はまだ基礎もきちんとできていないFランクラスの偏差値の学生がいきなり東京六大学クラスの難問に挑むなんて無謀な挑戦ばかり繰り返すのでしょうか?
そしてその度に毎度墓穴を掘ってE判定しか貰えないという、どう考えても大学合格できないダメな受験生のあり方を表したような内容にしかなっていません。
総合評価はもちろんF(駄作)、よくこんなレベルでメインライターを任せてもらえるなあと逆の意味で感心してきました。

 

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