明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ46作目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022)第3話感想

ドン3話「あかりどろぼう」


脚本:井上敏樹/演出:中澤祥次郎


<あらすじ>
猿原真一は、気まぐれに俳句を詠んでマイペースに過ごす“風流人”。ある日、スマホを拾ったことからサルブラザーに変身するが、日々形を変える雲のように運命を受け入れていた。鬼頭はるかの家に宅配便を届けた桃井タロウは、はるかのおばで刑事のゆり子に誤認逮捕されてしまう。最近、宅配業者を装って照明ばかりを盗む泥棒が出没しているのだという。


<感想>
ドンモモタロウ=桃井タロウ、やっぱり脳人側の存在なのではないか?


前回冗談半分で唱えた説が早くも濃厚になって来た今回ですが、中澤監督の方がやはり2010年代以降の戦隊シリーズの制作に対応しているため、すごくわかりやすいですね。
いよいよサルブラザーズこと猿原が参戦することになったのですが、この人のっけから「エアー日本酒」を披露していて、とにかくお酒飲ませたくて仕方ない気配が濃厚(笑)
多分日曜朝の子供向けでヒーローが酒なんてどうか……というコンプライアンス配慮なのでしょうが、それを考えると酒・タバコ・女という男のダメ要素を凝縮させた結城凱は今見ても規格外の存在だったのだなと。
歴代でもああいう斜に構えたナンパな色男はいましたけれども、その中でも結城凱は別格にインパクトある存在だったのだなあと思ってしまうのです。


意外だったのははるかが早い段階でドンモモタロウの正体が桃井タロウだと早い段階で知ってしまったことですが、まあ「アギト」「555」のような展開はやりにくかったのでしょう。
「アギト」「555」はお互いの素性を終盤になるまで知らなかったわけですが、これはライダーシリーズ自体がそもそもシングルヒーローだからできたことですし。
戦隊シリーズのようにチームヒーローとなると、お互いの正体を知らないままずっと変身後だけやり続けるというのも難しいことだったのかもしれません。
また、はるかが桃井タロウのことを気づくのがあくまで配達中に偶然名札を見て知る、というのもあくまで「自然流れ」として、これ見よがしじゃなく正体を知る展開として好印象です。


そして何といっても桃井タロウのキャラクターが1〜2話を経てかなり浮き彫りになって来て、個人的にはいわゆる「義侠心」というものを持った人だと思いました。
配達の荷物の積み方が綺麗かどうかで黒クマかどうかを区別したり、またその黒クマをデリートしてしまったソノニに対して怒りを露わにして攻撃するところなどにそれが現れています。
「俺が運ぶのは荷物だけじゃない」として人助けをしていたのも1話の段階だと単なる奇特な人という印象だったのですが、この3話まででヒーローとしての正義感というか美学に見えて来ています。
最初は「変だなあこいつ」と思いつつも、後々背景が明らかになって徐々に好きになるのが井上脚本の特徴なので、やっとこさ桃井タロウのことが少しだけわかりました。


それから雉野の脱臼を治してあげたり、クロクマに関して猿原の推理から正体を知ろうとするなど、知らないことに対しては素直に「知らない」とし、その上できちんと情報収集を欠かしません。
この描写を見て、改めて桃井タロウは「バカではない」と思いましたね、戦闘狂故にややズレているだけで、けっして自分ができないからと責任放棄したり、自分の不勉強をそのままにしたりしないので。
いやまあ誰とは言いませんけど、明らかに自分のミスで仲間に迷惑かけまくってるのに「俺は本番に強いから」といって開き直っているどこぞのバカレッドを現在同時進行で見ているためにそう思っただけです。
あとはこれで戦闘後の好戦的なキャラクターと変身前の性格とがうまくリンクして欲しいところですが、ラストで跪いたオニブラザーを足蹴にし、お供たちを粗雑に扱うところからもやはり脳人ではないでしょうか。


ただ、今回はどちらかといえばタロウとはるかを見せることがメインとなってしまっていて、猿原の描写が添え物っぽくなってしまったのはバランスとしてやや残念でした。
ヒーローらしい行為といえるものがサッカーボールを拾ったことくらいで、後は変なエアー酒をやって妙な講説を垂れるだけの変人みたいな感じでしたし。
性格面でいえば、どちらかといえば道教の考え方に近いのか、電球が盗まれたことを「運命だから仕方がない」と達観して受け入れているところが特徴でしょうか。
桃井タロウと鬼頭はるかが「動」のキャラとして描かれているのとは対照的に、こちらは「静」なキャラクターなのだなあと見ていて感じられました。


ソノニの老獪で小悪魔な感じのキャラクターもアクセントとして機能しており、だいぶ滑りは良くなって来た感じがありますね。
初動が今ひとつだったのでどうなるか心配だったのですが、ここから化けていってくれることを期待しています。
後はアクションシーンの戦隊ギアが個人的には今ひとつなので、前作のような安売りや不謹慎なネタだけは避けて欲しいところですね。
総合評価はB(良作)、かなりテンポよくまとめられていて、ここまでで一番面白く見ることができました。

 

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