明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)3・4話感想

 

第3話「戦え絶望の大地」


脚本:杉村升/演出:小笠原猛


<あらすじ>
神秘の力を持つ伝説の武器を手に入れるため、絶望の大地へ向かった5人。しかし、そこにはバンドーラの罠が待ち受けていた。


<感想>
「新しい武器が欲しい!それもバンドーラと互角に渡り合えるような武器が!」
「ゲキはソード、僕はダガー、ダンはスピア、メイはアロー、ゴウシはアックス!」


冒頭から伝説の武器について議論する5人…ライトな作風ではありますが、さすがは伝説の戦士たちなだけあって、バンドーラ一味への殺意は高めです。
思えばOPの各自の紹介からして、伝説の武器を構えて真剣な表情をしているのですから、ここからもどれだけ凄みのある戦士たちかがわかります。
まあその割には詰めが甘いところもあったりして、一億数千万年ぶりの復活なので、伝説の内容のことを忘れている可能性もありますが。
ギンガマンみたいに組織全員で常に臨戦態勢で準備し、伝説を伝えているとかじゃない限りは難しいんじゃないでしょうかね。


内容は文字通り伝説の武器を手に入れるという試練なのですが……一体これ、誰が何のために用意した試練なんだ?(笑)


ジュウレンジャー5人が各自で乗り越えて、みたいな試練にしてはハードルが無駄に高いですし、どうせ手に入れるのならば最初から装備させておいた方が安全じゃないでしょうか?
まあ本作はコメントにも書かれていましたが、杉村先生自体がRPGを始めゲームが大好きということなので、この当時発売されていたFF5DQ5への意識も少なからずあったと思われますが。
武器入手はいいのですが、試練自体が「手段」ではなく「目的」になってしまっていて、あまり作劇として功を奏しているとは言い難いです。
まあ24時間以内に手に入れないと石になるとか、無限ループ回廊がある、武器を手に入れる組と子供達を助ける組に別れる、などは良いアイデアですが。


それから、今回一番頂けなかったのは被害者として巻き込まれたヒロシ少年へのメイのアドバイス


「ダメ!ダメよ、泣いちゃダメ!泣いたら石になってしまう!」
「しっかりして!ママはきっと助かるから!希望を持つのよ!」


追い詰められて塞ぎ込んでいる子供にこういうアドバイスは絶対にしてはいけません、個人的にここでメイの好感度が下がりました。
これはまあコーチングやカウンセリングの経験値が足りない古代のお姫様だからといわれればそれまでですが、メイのアドバイスじゃそりゃヒロシくん石になるよねとは。
まず「ダメ!」という言葉遣い自体が子供を追い詰めてしまうことになりますし、更に「ママはきっと助かる!」「希望を持つ」というのはいかにも薄っぺらい綺麗事でしかありません。
ヒーローとは如何にして綺麗事を綺麗事として貫けるかが大事なのですが、だからこそその綺麗事に真実味や重みを持たせる必要があるのです。


メイが今回ヒロシ君にやったことは完全な失策であり、無根拠なポジティブシンキングほどタチが悪いものもないので、流石にこの一連の流れに乗れません。
それから子供が勉強しないから「勉強しなさい!」みたいな流れはこの当時だから成立し得た描写であり、今見直すと流石に普遍性がないというか古びてしまった描写です。
こういう「勉強したがらない子供を無理に従わせようとする教育ママ」は今の時代に見ると完全に毒親認定を受けてしまうので細心の注意を払って見る必要があります。
その1点だけを取っても、今回の話は無理に親子喧嘩などを絡めず、戦士たちが単純に試練をくぐり抜けるだけでよかったんじゃないかなあとは思いますが。


良かった点は守護獣たちが前回のティラノサウルスに続き 残りの4体も出てきたことですが、マンモスとタイガーは誰がどう見ても恐竜じゃない!(笑)


これは作り手が知らなかっただけなのか、それとも知っていて敢えて避けたのか真相は不明ですが、とりあえず守護獣たちを入れただけでも良かったかなと。
まあ中身が思いっきり現代のメカっぽい感じになっているのはなぜだか知りませんが、おそらく古代の恐竜文明は科学技術が発達していたに違いありません。
内容としてはなかなかに緊張感はあったものの、密度としてはいまいち薄く、総合評価はD(凡作)というところでしょうか。


第4話「甦れ伝説の武器」


脚本:杉村升/演出:小笠原猛


<あらすじ>
数々の試練を乗り越え、伝説の武器を発見したゲキたち5人。だがそこにバンドーラの邪魔が入る。果たして5人は伝説の武器を手にすることができるのか。


<感想>
「そんな殺生な!」


特撮番組で「殺生」なんて言葉をまさか聞くことになるとは思いませんでした(笑)今じゃ使わないもんなこんな言葉。
守護獣の「甘えんなボケ!」という厳しさが早速顔を出していますがこの程度はまだ序の口、今後もっと鬼畜な試練を課すようになります。
歴代でも屈指のブラック上司である守護獣たちですが、無能なガオゴッドよりはまあいいのかなあという感じではありますが。
でもなあ、同時代の「ドラゴンボール」しかりドラクエしかりFFしかり、フィクションにおける神様ってロクなのいないんですよね。


で、なんやかんやあって伝説の武器を手に入れるジュウレンジャーですが、せっかく2話かけた割には、武器入手はものすごくあっさりでした。


「聞け!伝説の武器たちよ、お前たちを得る資格を得た!違うのか!?」
「ならば……ならば目の前にいるバンドーラこそ、悪そのものだ!聞け!伝説の武器たちよ、バンドーラと戦わずして誰と戦うのだ!?来たれ、我が手に!」


たったこれだけの説得で伝説の武器たちが反応し、ゲキたちの元に来てしまいました^^;
変身後に「伝説の武器たちが1つになりたいと叫んでいる!」から察するに、伝説の武器たちにも意志はあるようです。
ただ、こんな安っぽい月並みの説得であっさり了承してしまう辺りちょろいというか、ちょっと過保護過ぎやしないですかね?
まあ守護獣たちがスパルタ過ぎるので、いわゆる飴と鞭みたいなバランスで、伝説の武器が飴なのかもしれません。


まあ流石に4話も引っ張っただけあって、今までのレプリカ品とは違い、生身でもゴーレム兵たちを余裕でぶっ倒せる強さではありますが。
それから、変身後にしっかり武器が玩具っぽく変化するギミックは本作のみではありますが、中々に凝っていて好きな設定です。
現在私が描いている「オメガレンジャー」でも取り入れている描写で、結構こういう変身前と変身後で変わる描写は好きなんですよね。
そして伝説の武器が合体したハウリングキャノンは5つの弓形バズーカ砲ですが……竜撃剣は添えるだけ!(by天才桜木)


いや、リアタイ当時から疑問だったのですが、他の武器が大砲の筒になるのは許せるとして、竜撃剣を載せる意味はどこにあるの?
まさか竜撃剣を上に載せないと発射できないとか?それならそれできちんと意味付けはして欲しいところです。
ちなみに一番今回のアクションで好きなのは変身後のタイガーレンジャーがダガーを無駄に回転させまくっているところで、あれは地味に凄いアクションでした。
そして伝説の武器を手に入れ、ひろしくんとお母さんを無事に助け出し試練を乗り越えたジュウレンジャー


「これからはママの言うことを聞いてちゃんと勉強するんだぞ」


ゲキはしっかり子供を諌めるのですが……うーん、前回に続き、この親子のドラマは正直微妙だったので、素直にこのメッセージを受け取れません。
「ママの言うことを聞いて」というのは結構毒親がしそう、言いそうな言葉ですし、今の時代上の人たちがいうことなんて基本当てにならないので。
ただ、無意味だったかというとそうではなく、実は母親の涙で石化した子供が元に戻る描写があるのですが、これが地味な最終回への伏線になっています。
その意味ではこの親子を登場させたことにも意味があるといえ、総合評価としては何だかんだ伝説の武器を手に入れてからのアクションやカタルシスがよかったのでC(佳作)としておきましょう。

 

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