明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ23作目『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999)17・18話感想

 

第17話「マトイの花嫁候補」


脚本:宮下隼一/演出:長石多可男


<あらすじ>
サイマ獣から助けてもらったことでマトイに好意を持った少女・えりかは、手作りのカレーを食べさせようと、サイマ獣と戦うマトイたちのところにカレー弁当を持って来てしまう。だが、サイマ獣がえりかとマトイを狙い、それをかばったナガレたちが傷を負ってしまう。サイマ獣を退けたマトイは、えりかを追い返すが……。


<感想>
今回の見所はマトイ兄さん、幼女に面倒を見られてしまうダメ人間決定!(笑)


というか、大人にもなってスーパーに買い出しすらまともに行けない戦隊レッドなんて初めて見ました、これはおそらく歴代でもそうそういないのではないかと。
だって、世間に出るのなって初めてだった前作の銀河戦士ですらも街中に普通に買い出しに行くぐらいなのに、社会人として働いているマトイがそれをできないとは…。
13話の時点で「レスキューバ」ということが示されてからか、マトイ兄さんは圧倒的なヒーロー性と引き換えに人間力は歴代でも相当に低いレッドということに(笑)
まあ居ますよね、仕事はできるけどプライベートになるとダメダメな人って…よりにもよってマトイ兄さんがそのパターンだったとは思いもしませんでした。


「性格は至って温厚、みんなに慕われる長男であります」


嘘つけ!(笑)


どこが温厚やねん、2話の時点で弟たちそっちのけて一人でノリノリの名乗りをやってたり、3話でもナガレとダイモンの話を聞かずにブチギレてたじゃないですか。
それどころか13話では弟たちにものすごく無神経で横暴な振る舞いすらしてて、ひたすら休みの日もレスキュー隊員としての根性論を押し付けまくる長男…。
というか、まあ今回出てきたこの幼女があまりにもハイスペックすぎるんですけどね、買い物はおろか料理までできてしまうとかレベル高すぎでしょ。
そんなできた小学生女子相手に乱暴な物言いをしてしまうマトイ…あー、うん、流石に私はマトイのこういうところだけはネタとか抜きで許せません。


「もー、しっかりしてよ。これじゃ安心してお嫁にいけないじゃない」


こんなセリフが出てくる辺り本作に出てくる嫁とか大人の女性像とかってすごく時代に逆行しているのですが、マトイは将来間違いなく嫁の尻に敷かれるタイプだなあ。
後々マトイの婚約者候補が出てくる話があるんですけど、その時もやっぱりマトイって甲斐性なしの男として描かれているので、やっぱり仕事バカなんでしょうね。
そう考えると改めて前作の早熟な勇太くんに対して包容力を持って大人の対応をして居たリョウマ、そんなリョウマの未熟さを指摘しつつ時に優しく時に厳しくリードしていたヒュウガ兄さんの人格者ぶりよ。
炎の兄弟は歴代でも屈指の優等生気質だと思うのですが、この2人の素晴らしさを見た後のマトイ兄さんは本当にもう何というか全身から溢れる「レスキューバ」が一周回って面白すぎます。


全体としてはマトイ兄さんの人間性の低さとヒーロー性の高さが両極端に見える構成でしたが、ただいくら何でも小学生相手にあんなきつい物言いはしてはならないと思ってしまいます。
こればかりは横暴だからとかは関係なく、やっぱり横暴な長男であっても子供には対しては立派な大人の対応をして欲しいので、その意味でもあのきつい対応だけは許せません。
時々こういうところで好感度を落とすようなことをするから、マトイって好きになりそうなところでイマイチ好きになれなかったりするんですよね。
まあその分はマツリやナガレたちがカバーしているのでしょうけど、改めてマトイという男の格好良さも格好悪さもひっくるめて描かれた回であり、評価はB(良作)です。


第18話「逆襲のVランサー」


脚本:武上純希/演出:長石多可男


<あらすじ>
街に現われたサイマ獣・スパイダラスによって、市民たちが忽然と消えてしまった。彼らを捜していたマトイは、遊園地の通路に入った途端、凄まじい衝撃とともに異空間に出てしまう。そこには消えたはずの市民たちがいたが、彼らはゾンビの様に襲いかかって来る。手を出せないマトイ。それはジルフィーザの罠だった。


<感想>
今回は新兵器Vランサーの販促回でしたが…うーん、流石にこの回は微妙な出来栄えでした。グランドライナー前後編と違い、今回はモロに武上脚本の雑さが出てしまった感じです。


武器が全然効かないから新兵器を出してパワーアップ、大逆転みたいな安易な展開にしてほしくないというか、前作のあの丁寧さと比べたら今回のこの販促の弱さはどうしたことでしょうか?
Vランサー自体は後半まで活躍するゴーゴーファイブの主力武器の1つなので大好きなんですが、その登場回がいかにもな販促のための販促以上になっておらず、物語としてドラマ性が欲しいところです。
まあVRVマスターみたいな格好をしてアタッカーポンドで登場するモンド博士は何気に渋くて好きなんですが、そのために用意したのが敵の攻撃を分析して通用しないようにするというのも頂けません。
こういう風に「各武器が通用しなくなったから新兵器を出して乗り越えさせましょう」というのはやってはならない玩具販促のあり方で、そこは機転や知略で乗り越えるべきではないでしょうか。


これは「メガレンジャー」のバッファローネジレの登場回、まあメガシルバー初登場回もそうだったんですけど、玩具を売りつけるためのドラマとしてそれまでのキャラや武器を安易に踏み台扱いは非常によろしくない。
玩具販促のノルマがあることはわかりますが、問題はそこにどうやって物語上の意味付けを行うかが大事であり、前作はかなり矢継ぎ早に新兵器が出てきましたが、それでも1つ1つに意味づけがなされていました。
ところが本作はまずサイマ獣自体のインパクトややることが回によってまちまちで一貫性に今一つ欠けるため、どうしてもパワーアップのためのパワーアップにしかなって居ないのが惜しまれます。
まあモンド博士がVRVマスターもどきの格好で出てきたの時のこのセリフ回しはかっこよかったんですけどね。


「お前は?!ゴーゴーファイブは5人ではないのか!」
「命の重さを知るものが平和のために立ち上がるとき、人は皆ゴーゴーファイブになる!」


ここは8話で打ち出した巽ブラザーズだけではなくモンド博士や乾総監なども含めてのゴーゴーファイブであるというのを継承してていいセリフなんですが、だからこそ玩具販促のためのストーリーが雑なのが惜しまれるところ
砂漠のような異空間で戦うというと現在配信中の「仮面ライダーBLACK RX」などの80年代特撮を思い出す魔空間演出で好きなんですが、そこに物語としての面白さや盛り上がりが足りないのがなあ。
まあマトイ兄さんとジルフィーザという長男対決の構図に持って行きたかったのはわかるのですけど、それならそれでもっと全面にその因縁を押し出すべきであったかとは思います。
Vランサーを使ってのアクションシーンはすごくカッコよかっただけに、そこに行くまでの下地の積み重ねや物語上の意味づけといったドラマツルギーが足りていないのが返す返すも残念です。


ただ、ここから本格的に本作は物語がどんどん中盤の山場に向けてボルテージを高めていくことになるので、その第一歩というか、入りとしてまあまあといったところでしょうか。
評価としてはD(凡作)ですが、Vランサー自体もファイブレーザーやライフバードなど使用目的をはっきりさせた上で、物語の中にうまく組み込んでくれることに期待です。

 

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