明日の伝説

好きな特撮・アニメ・漫画などに関する思いを書き綴る場所。更新停止

スーパー戦隊シリーズ23作目『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999)11・12話感想

 

第11話「灼熱の2大災魔獣」


脚本:武上純希/演出:長石多可男


<あらすじ>
災魔一族は火炎サイマ獣ヘルゲロスを送り込み、大魔女グランディーヌを降臨させようとしていた。一方マトイ達男性陣は体に大きな負担がかかる謎のシミュレーションを受けさせられていたが、モンドはその目的を教えてはくれなかった。そこに居合わせていなかったマツリはモンドの発明した探知機を武蔵岳の活火山研究所へ運んでいる最中だったが、研究所が忙しく迎えの車を出せなくなったため登山バスを利用して目的地に向かおうとする。しかし、そのバスには不審な男が乗り合わせていて、一緒に研究所へ向かおうとしていると、ヘルゲロスの攻撃で火山が活性化し地震が発生してしまう。果たして、この火山をマトイ達は食い止められるのか?


<感想>
さて、今回と次回は1クール最後ということもあり、山場としてグランドライナー登場話として前後編にわたってお送りいたします。
今回はその前編なのですが、ドラマ面では若干疑問符がつく展開はあるものの、単なる玩具販促回に終わらない秀逸なバランスで、武上脚本と長石演出の双方がいい仕事
とても高いクオリティでまとまっており、フィルム全編を通してみなぎる緊張感は半端なかったのですが、やはり登山バスのくだりは正直やる必要があったのか疑問です。


というのも、今回グランドライナー登場に際してドラマが必要ということでか、登山用のバスの中に銀行強盗をやって逃走中の指名手配犯が紛れ込んでいたのですが、これがものすごく中途半端な出来で困ります
なんか犯人を更生させるという流れの刑事ドラマ風味をやりたいのであればマツリではなく元警察官のダイモンとやるべきですし、それが今回の地震や火山と何の関連性もないのが残念です。
それに、銀行強盗までやらかして登山バスで逃亡までしていたような悪人がゴーゴーファイブたちの頑張る姿を見ただけで改心というのはあまりにも安易すぎます。
武上脚本っていっつもそうで、玩具販促に物語を絡めるのはいいんですけど、大抵の場合そのドラマがむしろ余計な方向に動いてしまっている気がするのですよね。


今回でいえば、単純に第一話と同じように噴火や地震を食い止めるために奮闘するマトイ達、そして五十嵐博士とモンド博士の話だけでも十分成立するのですから、それ以上のドラマは盛り込む必要はないはずです。
この辺りどうにも引き算の発想ができていないというか、「何を語るべきか」よりも「何を語らないべきか」で物語を作るという発想に至らないのが武上脚本の難点だなあと思ってしまいます。
逆に言うと、そこ以外は非常によくできていて、特にモンド博士が実は若い頃モテモテだったという設定はかなり面白く、これまでダメ親父っぷりが目立っていたのが、どんどんその魅力が明らかになっているのです。
ましてやそれを納得させ得るマイク眞木氏のビジュアルと演技力があるからこそそれが成立していて、老いらくの初恋という感じでしたが、こういう昔を懐かしむ感じの流れは一風変わっていてよかった。


それから、速瀬京子先輩も久々にサポート役に回っていたり、またマツリが兄達が駆けつけるまでバス内をしっかり落ち着けようとしたり、バスの運転手の骨折を確かめたりと非常にいい感じです。
バス救出のエピソードはまあ原点となる「ゴレンジャー」第一話の幼稚園バス救出のオマージュでもあるのでしょうが、それをショウのホバーの救出シーンに転用させているのはお見事でした。
本作がとにかく素晴らしいのはこのメカニック描写であり、第一話の段階から前面に押し出されていましたが、単なる戦闘用ロボットで終わらないメカニックの描き方が秀逸です。
また、最終的にビクトリーロボがピンチになってしまうとはいえ、一回ブレイバーソードでヘルゲロスを倒させたことで、単なるやられ役で終わっておらず、見せ場を与えています。


次回で新ロボ登場に持っていくにしても、その前にしっかり一号ロボを活躍させてから、パワーアップした復活サイマ獣に追い詰めさせることで、安易なパワーアップ合戦にしていません
「再生怪人は弱い」という法則を逆手に取り、大魔女グランディーヌの力によってパワーアップしたという設定で合理化したことで第一話で倒されたマグマゴレムに再び見せ場を与えています。
ケルベロスに関しても同じようにしっかりと見せ場を与え、ここまで追い詰めたからこそ次回の新ロボ登場へのいいストレスとなっているのです。
冒頭でマトイ兄さん達がやっていた訓練も次回への前振りということにはなっているのですが、本作はこういったメカニック周りを丁寧に描写しているのが好感が持てます。


特に前と後ろからバッサリやられてしまうビクトリーロボの絵図はかなり強烈で、今見直すと改めてショッキングな映像ですが、個人的にはとても好印象な一作となっています。
ここまで派手にビクトリーロボを倒してくれるからこそ、次回の新ロボ登場が光ろうというものです。評価はA(名作)、ドラマ部分は余計なものがありましたが、全体的に非常によくできた前編。


第12話「決死の新連結合体」


脚本:武上純希/演出:長石多可男


<あらすじ>
復活したマグマゴレムとゴレムヘルゲロスの二大サイマ獣の力は強力であり、ビクトリーロボは完全に敗北してしまった。マトイ達は活火山研究所へと逃げ延びることを余儀なくされ、そこにはモンド博士の旧友である五十嵐博士がいて、マツリはモンドの探知機を渡すことに成功する。そこにインプスが襲撃して来て、マトイ達は着想しインプスと戦う最中にモンドとの通信が回復した。モンドは悪化する事態に対して切り札があるそうだが、とある理由から使用を躊躇っているようである。しかし、満身創痍になりつつも奮闘するマトイ達の闘志、そして五十嵐博士や京子の言葉を聞いたモンドは決意を固め、したためていたあるプログラムを発動させた。


<感想>
さあ来ました、グランドライナー登場の後編ですが、いやー、やっぱり歴代で見てもカッコいいですねグランドライナー
今現在YouTubeで配信中の「トッキュウジャー」がやっている列車ロボの元祖なのに、なんでこっちがカッコよくてあっちはあんなにダサいんだろう?
このグランドライナーはファンから「黒いダイヤ」と言われるほどゴーゴーファイブの玩具の中でも破格に売れた商品だそうですが、そりゃあこれだけカッコ良かったらねえ。


救急マシンを中に入れての連結合体なので実質マトリョーシカ合体なのですが、単なるマトリョーシカではなく、救急マシンがエネルギー源となっているという設定が見事です。
また、これは14話で明らかとなりますが、前回と今回出て来たマグマゴレムとケルベロスは死霊サイマ獣ではないので、どっちにしろビクトリーロボでは倒せない設定になっています。
この辺りサイマ獣の属性に応じてロボットを使い分けるというのは、「メガレンジャー」「ギンガマン」の試行錯誤を経てたどり着いた本作なりのメカニックの到達点でしょうか。
私は基本的に戦隊シリーズの評価でメカニック、巨大ロボ戦はそんなに評価のポイントには含まないのですが、本作のようにそれ自体を作品が売りにしているのであれば別です。


まずグランドライナーの連結合体のシークエンスからしてカッコ良く、一旦せり上がった鉄道から空中へ高く飛翔し合体、そこから急速に落下してブレーキで止める所のくだりが最高です。
特に着地する所の特撮は今じゃなければできない流れと言えるのではないでしょうか…戦隊シリーズで見せるメカニックとしては、「ジェットマン」のグレートイカロスに並ぶかっこよさ。
そして見せ場の必殺技もまたすごくて、火力が高いが、その分物凄い出力であるためにパイロットにダメージが行くというリスクをキチンと描写しているのが秀逸です。
前作のギンガイオー誕生にも一度星獣の仮死という代償を払っていましたが、本作ではグランドライナーの圧倒的な攻撃力の代わりにマトイ達にダメージが行くのはパワーアップの代償としてよくできていました。


もっとも、この弱点自体はのちにスーツ性能が強化されるために克服されているのですが、導入の段階としてグランドライナーのリスクをしっかり描いておくのは悪くないです。
最近の戦隊はとにかく玩具販促ありきで組んでてストーリーの整合性や設定が丸々無視というか軽視されることも少なくないので、この時代はその辺りをしっかり描いていますね。
また、グランドライナーを単なる高出力のロボットというだけではなく、改めてゴーゴーファイ5人とモンド博士、そして京子先輩の団結の象徴として描いているのもいい所です。
今回の話はマトイ達の頑張りを見てモンド博士が前向きになる回でもあったので、その辺りも込めて1クール目のまとめとしてはよくできていました。


それから、五十嵐博士が改めて巽兄妹を高く評価したことやモンドが亡き母を妻に選んだ理由を語るところでうまくゴーゴーファイブ地震研究所との関連性も描かれています。
本作は前作のように一から社会とのつながりを描く必要はないのですが(そもそもマトイ達が社会に属している)、それでも折に触れてしっかり公共機関との関わりを描いているのは好印象です。
評価はもちろんS(傑作)、かなり淡白な感想ではありますが、メカニックを全面に押し出しつつ、それぞれのキャラの頑張りをうまくまとめて盛りだくさんの一作でした。

 

にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村