明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ23作目『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999)3・4話感想

 

第3話「爆破された兄弟愛(きずな)!」


脚本:武上純希/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
災魔一族はゴーゴーファイブを倒すために爆発弾サイマ獣ガスガイルを送り込んだ。一方、巽家にはショウの先輩の京子が先日助けてもらったお礼を言いに来る。そこにサイマ獣出現の報せが入り、ゴーゴーファイブが救出活動に当たったが、マトイ達が戦闘員達を相手していた間にナガレと2人で行動していたダイモンが先走って敵の罠にハマり負傷してしまう。マトイは幼少期にも同じようなことがあってナガレを強く糾弾し、ナガレは責任を感じて1人で釣りへと出てしまった。そこでナガレは父のモンドから忘れかけていた思い出の疑似餌を見る…果たしてナガレはもう一度ゴーゴーファイブとしてやり直せるのだろうか?


<感想>
2話目を経ての3話目ですが、今回はナガレとダイモンの話で、レッドメインで来るのかと思いきやブルーとイエローという変則的な構成になっています。
この辺りは前作でもハヤテとヒカルがやっていましたし、「メガレンジャー」でも健太と瞬がそういう話を展開していたり…思えばこの時代の戦隊って2番手と未熟者との絡みをよくやってた気が。
内容としては…うーん、やっぱり前回に続き及第点というところで、まあまあいい線は行っているものの、もうちょっとで痒い所に手が届いていないなあとは思いました。
まあ武上脚本ってドラマ自体は月並みですからねえ、中身としてはいわゆる「ありがちな兄弟喧嘩」の領域を抜け出るものにはなっていないので、イマイチ広がりがない。


ポイントとしてはナガレ1人をやたらに強く糾弾するマトイ兄さんでしょうか…個人的にマトイ兄さんを好きになれないのはどうしてもこの横暴な感じですね。
今回の話だってもっと冷静になって話をきちんと聞けば、ナガレだけが悪いわけじゃないことは明白なんですが、マトイ兄さんは話をあんまし聞こうとしないでしょ?
13話なんかは非常にわかりやすくマトイ兄さんの話が掘り下げられていますけど、こういう人が長男だったら私は嫌だなあなんて思ってしまいます。
私も兄と弟がいる家庭で育ったので、ちょうど中間子として育ったこともあり、マトイ兄さんよりはナガレやショウの目線で物語を見ることが多いんです。


そういう目線で見たときに、マトイ兄さんは救急戦士としては一流かもしれないけど、人間として、兄としてはどうなんだろう?と思うことがあります。
前作のギンガレッド/リョウマと比較して叩かれることも多かったそうですが、まあ確かにこんなキャラ付けではなあと…生まれ育ちでそうなったと言えばそうなんですが。
でもまあ、そんなところを飲み込みつつ、最後にはきちんとマトイ兄さん自身が戻ってきたナガレを認めるくだりがよかったと思います。
特に「遅いんだよ!」っていうところの柔らかい目つきと表情は役者の演技とナベカツ演出がうまくかみ合ったところではないでしょうか。


それから今回はアタッカーポンドが初登場なのですが、これもゴレンジャーのバイクとサイドカーの奴ですけど地味なんですよねこれ。
なんのために出てきたのか良くわかりませんが、ラストは立ち直ったダイモンが自分に非があることを認めて、マトイとナガレが和解しておしまい。
で、これで終わるのかなあと思いきや、なんと父・モンドは戦闘中に釣りに行った挙句にナガレの疑似餌をなくしてしまうという(笑)
初期のモンドはどっかやる気がなさげな気怠い感じを出しているのですが、これもまあ演出というやつでしょうか。


ゴーゴーファイブの面白いところはダメ人間率が結構高いのに、何だかんだ役者の演技力でそれをねじ伏せているところだと思います。
特にマトイ兄さんやモンド博士なんて人間性にはめちゃくちゃ問題があるのに、役者の演技力でそれを納得させているんですから。
まさにはまり役というか、他の誰がマトイとモンド博士を演じてもこの説得力は出ないと思うので、そういう意味でも非常にいいキャラ。
総合評価はB(良作)、今の所まだ突き抜け切れてないけどそこそこにまとまっているかなと。


第4話「花びらに異常気象」


脚本:宮下隼一/演出:渡辺勝也


<あらすじ>
10年ぶりに帰ってきてもなお暴君の如き振る舞いをするモンドに対してマトイ達男性陣はすっかり呆れ果てていた。そんな兄達を見てマツリは「10年ぶりの再会なのにそんなに悪く言うなんて」と家を出ていってしまう。一方災魔一族はドロップの生み出した暗黒魔剣サイマ獣ソルゴイルを地球に送り込み、異常気象を発生させる作戦を目論んでいた。そんな中マツリは病院勤務時代に担当していた患者の高部と名乗る男性と再会する。「どんなに離れていても家族の幸せを考えている」と語る高部にマツリは父の姿を重ね合わせるが、その時異常気象の派生によって病院の患者達が次々と体調を崩し始める。マツリは果たしてこのピンチをどう乗り切るのか?


<感想>
今回はマツリメイン回ということで、メタルヒーローシリーズより宮下隼一氏が参戦。そう言えばマツリメイン回は割と宮下脚本が多かった気がします。


前回同様まだゴーゴーファイブというヒーロー像自体はきちんと確立されていないのですが、とてもよかったのは初めて父親のモンドをマツリがきちんと庇ったこと。
流石にずっとこのままモンドが悪者扱いされ続けるのは良くないということで、母親の役割も兼任しているマツリが兄たちに反発するのは兄たちにとって影響が大きいのではないでしょうか。
個人的にはマツリって歴代でも結構好きなヒロインなんですが、その「好き」の意味合いはいわゆる「巽兄妹の末っ子」という妹の立場といった限定的な属性が大きくあるんですよね。
前作のギンガピンク/サヤの反省を受けてのことなんでしょうけど、マツリに関しては今回ですっかり献身的な女性らしい女性という立ち位置を物にしています、役者の演技力はアレですが(笑)


ただ、だからといって決してマトイ兄さんたちがモンド博士を蔑ろにしていたわけではなく、むしろ心配していたからこそアレだけの不満が噴出するという持っていき方がよかったところです。
特にマトイ兄さんは2話といい3話といい暴走癖が凄くて、視聴者の好感度がマイナスに行きかねない危ういさじ加減のキャラですから、ここでそれを軌道修正していました。
また、今回はそれに限らず、マツリと依田英助演じる高部氏のキャラクターやドラマともリンクさせていて、「離れていても家族を信じる」というのは月並みながら好きです。
本作はあんまり人間関係のドロドロは深く描かない方針のようですが、子供向けとしての範囲を守ろうとすると、いわゆる昼ドラのような展開にはしにくいんでしょうね。


内容的にはもう少しドラマを肉付けしてくれたらよかったかなあとは思いますけどね、なぜこのおじいさんが退院まで家族と離れ離れだったのかを掘り下げるべきだったかと。
この辺りはやっぱり後進の作家である小林女史の方がもっと丁寧にその辺りできると思うので、今の所はとりあえず兄妹たちのキャラクターの基礎を固めておこうというところでしょうか。
そして相変わらずモンド博士はというと、たこ焼き屋のお手伝いをしていたので兄妹たちからは飽きられたという落ち…うん、モークの葉っぱでも煎じて飲みなさい!
うーん、やっぱりどうしても立ち上がりの段階でまだキャラクター像がしっかり確立しきれていないのは厳しく、今見直すとかなりのスロースターターだなあゴーゴーファイブ


前作「ギンガマン」や次作「タイムレンジャー」は割と早い段階でキャラクターの基礎を確立させていたので、その点本作はまだ特撮のレスキューシーン以外での魅力がまだ見えない感じ。
あとはここからどれだけキャラを掘り下げていけるかにありますが、マツリのキャラ自体はこの回でしっかり立ったと思うので評価はB(良作)でしょうか。

 

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