明日の伝説

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スーパー戦隊シリーズ15作目『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)23・24話感想

 


第23話「新戦隊登場」


脚本:井上敏樹/演出:東條昭平


<あらすじ>
ジェットマンがトレーニングを行う時間のはずだったが、竜以外の4人は姿を見せなかった。香をめぐる竜と凱の衝突によってチームがバラバラになったからだ。一方その頃、ラディゲが成長させた魔獣セミマルは遂に誕生の時を迎える。竜は居ても立っても居られないで香のもとを訪れ「公私混同するな」と説教するが、香は「私たちは機械ではない」と反論する。しかし、そんな中でセミマルが地上に現れて街を破壊し始め…。


<感想>
さて、やっとYouTube配信に追いつきました。念のため、25・26話以降は感想をYouTube配信の方に合わせて展開していこうかなと。
で、今回はセミマル編の中編となりますが、案の定再びジェットマンはバラバラになってしまい、当然竜は呆れてしまい長官も怒りが爆発寸前です。
とりあえず自分に強引に絡まってきた香をなんとかせねばなるまいと考えていた竜、凱も女2人デートしていても上の空で弾かれてしまいます。


「つまんない男になったわね」と女たちからいわれる凱ですが、なるほどこういう描写を見るといわゆるアンダーグラウンドな世界では凱は女にモテているのでしょう。
凱が女にモテている割に香と竜にはカスリもしないから大丈夫かなあと思ったのですが、プライベートで女とのシーンを入れることでうまくバランスを取っています。
逆にいえば、ジェットマンに入って根っこにあった「真面目さ」が顔を出し始めているともいえ、初期に比べると明確な形で変化が出ているのです。
それは「成長」というよりは「窯変」という感じで、凱自身としても思わぬ方向に変わっていることをここで実感しているのでしょう。


さて、その凱の悩みのタネになっている竜と香ですが、改めて竜はやさぐれてピアノを弾いている香のもとに訪れでこう言い聞かせます。

 


「ごめんなさい。トレーニングをさぼってしまって。でも……辛いんです。私のせいで、みんながバラバラに」
「香、これだけは忘れないでくれ。公私を、混同するな。俺たちは戦士だ、それが全てに優先するんだ」


全くお互いの会話が噛み合っていません(笑)


凄いなあ、ここで竜がアフターフォローを入れて丸く収まるのかと思いきや、逆に竜と香の亀裂が強まってしまうという面倒臭い展開。
竜さあ、失意のどん底にいる相手にそんな鞭打つような真似したって香が言うこと聞くわけないじゃないですか。
うん、竜はもう少しビジネス書でも読んで人心掌握術などをきちんと学んだ方がいいと思います…じゃないと人は付いてきません。
いやまあこれまでも序盤で竜が香に「俺たちは戦士だ!」と怒鳴る展開はありましたが、ここで完全にそのやり方が限界を迎えます。


戦士なのは凱も香もそう、しかし香の言うように人は機械じゃない、戦う意味は自分で納得して決めたいということでしょう。
これは同時に凱が13話で言っていた「俺たちは戦士である前に人間だ!男と女だ!」と同義のものであるとも言えるのです。
戦隊シリーズの流れとしてみても、70・80年代戦隊の常識であった「お前今日から戦士だから戦え」「イエスボス」への歯止めとして機能しています。
単なる好いた惚れたで済ませるのではなく、メンバーの心情を汲んだ上での柔軟な対応ができない竜を通して80年代の自己犠牲前提の戦い方の限界を示しているのです。


それと同時に竜には実はリーダーとして大事な資質が欠けていて、決して完璧超人ではないことが改めて強調されています。
まあ香も香で大事な人を失って傷心中の竜の心を自分が癒して差し上げようなんて方向に行ってしまうのはとてもよろしい対応とは口が裂けても言えませんが。
あれ、もしかして鳥人戦隊」の「鳥人」って「超人」の意味も密かにかかっていたりしますか
で、凱からは物理的な攻撃を喰らい、そして香からは精神的な攻撃を食らってしまった竜はもうどうすることもできません。
ここから後半にかけて、ずっと騙し騙しやっていた竜の本性が露わになり、仲間たちとの人間関係を築いていく上での手札がなく、詰み寸前です。


そして雷太とアコはというとラーメンのやけ食い…うん雷太、君にはさっちゃんがいるんだから香のことで気を病む必要は無いんだってば。
分相応をわきまえなさい、香はあくまであなたのことを「戦う仲間」、そして「下級国民」以上には見ていないのだから。
しかし、かつてないチーム崩壊の危機を迎えているジェットマンの元に誕生したセミマルが現れ、街中で暴れ始めます。


セミマルのデザインは正直微妙なところであんまり「ジューザが命をかけて産み落とした」感じがないのですが、しかし戦闘力は圧倒的。
これまであまり負けたことがなかったジェットイカロスの腕をもぎ取ってしまい、完全にかませ犬扱いしてしまいます
とうとうジェットマンも終わりかと思われたその時、突然別の方向から巨大戦闘機のバードガルーダが現れ、ダイヤブリザードセミマルを凍らせます。
ああ、とうとうジェットイカロスがガルーダの引き立て役に…うんまあでも「イカロス」だからね、不名誉な名前だから仕方ない。


なんとか基地に引き返したジェットマンたちに裏次元戦士は自己紹介し、竜は同じバイラムを憎む復讐の戦士として気が合ったのか意気投合します。
他のメンバーも増員ができたことでホッとするのですが、当然ここでまた凱がいつもの面倒くささを発揮するのです。

 


「こいつは全くめでたいぜ。しかしよ、こんだけ戦士が居りゃあ、1人2人居なくなったって、なんてことはねえよな。俺は降りるぜ」


なんと凱、突然のドロップアウト宣言!


ジェットマンたちは「凱のやつ面倒くせえ」と腫物扱いで、裏次元戦士たちも「え?なにこいつ?」という感じですが、まあでも凱の心境を思えば仕方ありません
そもそも一度ブレスレットをあげて脱退しようとしましたし、今だって「惚れた香」と「ライバル意識のある竜」のために戦っているようなものです。
しかし望んだものほど簡単には手に入らず、もう諦めた方がいいのかと思ったでしょう…しかし、そうは問屋が卸さず、セミマルが復活してしまいます。
ちなみに裏次元戦士のメンバーは元ブルーフラッシュと元ピンクマスク、そして翌年の「ジュウレンジャー」に出て来るトリケラレンジャーの中の人たちです。
こういう戦士たちの存在があることでバイラムがいくつもの次元を滅ぼしてきたことの補強にもなりますし、さらに言えば戦隊の追加戦士の下地を作りやすくしています。


そしていよいよバードガルーダの真の力…ジェットガルーダへと変形し、長官はニヤリと笑いジェットマンメンバーも驚きと歓喜に包まれる。
このジェットガルーダ鳥頭と鉤爪というデザインが衝撃的で、当時すごく大人気だった記憶があります。
2号ロボとしても秀逸で、この成功があればこそ次作「ジュウレンジャー」以降にも大きな影響を与えているのでしょう。
そんなジェットガルーダセミマルの戦いは…一応イカロスよりは善戦したものの、やはりセミマルには敵いませんでした。


2号ロボ初登場なのにその補正が全く効かず、相手がセミマルである以上そう簡単に倒れてもらっては困るということですが、一方でイカロスが単なるかませ犬に終わらない絶妙なバランスです。
また、ガルーダバーストのエネルギーを使って撃退することには成功しているので、決して役立たずなままで終わったわけではありません。
ジェットイカロスだけでも、そしてジェットガルーダだけでもダメ…2つの力を1つにする必要があるという壁を示したのは見事です。
そしてそれ自体が解散の危機寸前にあったジェットマンが再びまとまる動機付けにもなっており、チームの危機と新ロボ登場の玩具販促をうまく連動させています。


ジェットマンは巨大戦があまり多くない作品ですが、一方でこういう重要な場面での巨大ロボ戦はおろそかにしていないので、印象に残るようできているのです。
評価はもちろんS(傑作)、メインの物語でがっつり面白い回が続いてくれるから安心して見られます。


第24話「出撃超ロボ」


脚本:井上敏樹/演出:東條昭平


<あらすじ>
セミマルの圧倒的な強さに苦戦を強いられてしまったジェットイカロスジェットガルーダ。竜たちジェットマンとディメンシアの戦士たちは結束してイカロスとガルーダに改造も兼ねた修理を行い、新たな力を誕生させようとしていた。ダンはアコをデートに誘い出して話を聞き始めるが、そこに傷を回復させたセミマルが再び襲い始め…。


<感想>
さて、やって来ました、セミマル編完結、同時に「ジェットマン」という物語もまたここで1つの山を登りきったといえます。
物語としては、アコとダンの単なる茶化しだけではない心の交流、竜とレンのリーダーとしての性格の違い、うまくいきかけたところで引っ掻き回すラディゲ、そしてグレートイカロス誕生とてんこ盛りです。
中でもアコとダンの交流は「表次元」の戦士であるジェットマンと「裏次元」の戦士である3人との対比としてもうまく機能しており、特に語りの部分が印象的でした。

 


「青い空か……僕たちの裏次元ディメンシアもこんな風に青かった。バイラムが来る前まではね」
「ダン……」
「あっという間だった、あっという間に」


ここで改めて「青い空」がキーワードになっているのですが、本作が「鳥人戦隊」であることの一番の意味はこの「綺麗な青空」にこそあるのだろうなと確認できます。
18話でも凱が「綺麗な青空だ」と言ってましたし、最終回でも凱は同じことを呟くのでこの「青空」こそがジェットマンたちが真に守っているものかもしれません。
そして、ジェットマンが背負っている戦いもそれだけ厳しい命がけのものであることが示されており、単なる男女の好いた惚れたを繰り返しているだけの作品ではないのです。
こういう風に締めるべきところできちんと締めてくれて「戦う意味」をきちんと描いてくれるからこそ、本作が戦隊史上最大のエポックとして語り継がれるのではないでしょうか。


そしてこの前半の交流が後半の重たい悲劇に繋がっていて、ジェットマンへの快勝に気を良くして覇権を握った気になってしまったラディゲは調子に乗って余計なことをやらかします。
そう、ジェットガルーダの乗っ取りなのですが、ただ引っ掻き回すだけではなく裏次元戦士を次々と殺していく恐ろしさも見せつけており、小物でありながら戦闘スキルの高さが侮れません。
最後に残ったダンは息も絶え絶えな状況でありながらラディゲをなんとか撃退し、ジェットマングレートイカロスへの合体を命じます。


「合体!」
「「「「「グレートスクラム!!」」」」」


バロムクロスを連想させる腕組みとそこからの合体シーンは戦隊史上最高のかっこよさであり、こんなにかっこよくドラマチックな1号ロボと2号ロボの合体を私は他に知りません。
しかも合体の方式も単なる鎧を纏う形式の合体ではなく1度イカロスとガルーダをバラバにしてからバランスが良くなるように合体というのが良くできています。
特にイカロスとガルーダの手足をくっつけることで倍の長さしてプロポーションのバランスを維持する発想は天才的で、私もこのかっこよさに惚れ込んで買いました。
ちなみに着ぐるみだとイカロスとガルーダはそんなに差がないように見えますが、玩具だとイカロスとガルーダの体格差がひどすぎるので、グレートスクラムの再現ができません(笑)
合体したグレートイカロスは今度こそセミマルを圧倒し、やや押されつつもジャイアントスイング→グレートビームからの、フィニッシュ・バードメーザーでトドメをさします。


ラディゲは浮かれてしまい笑い者にされて失脚、しかし裏次元戦士を皆殺しにしているため、単なる失敗しただけで終わっておらず部分的勝利があるバランスが見事です。
とても良かったのはジェットガルーダが「裏次元戦士」の象徴、そしてグレートイカロスジェットマンと裏次元戦士の団結の象徴として機能していること。
単なる新ロボ登場というだけではなく、ジェットマンの世界観の拡張と共に物語の中での意味づけも行われ、ジェットマンが抱える使命の重さも浮き彫りにしています。
前話の前半まであれだけ揉めていたジェットマンのメンバーも命の危機に瀕することでまとまり、その上で更なる課題が示されているのも好印象。
2クール目にして「ジェットマン」前半の総決算にふさわしいエピソードであり、評価はS(傑作)です。

 

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