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スーパー戦隊シリーズ第22作目『星獣戦隊ギンガマン』(1998)

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出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/4065136474

スーパー戦隊シリーズ第22作目『星獣戦隊ギンガマン』は前作「メガレンジャー」までの流れを受けて、改めて平成戦隊のニュースタンダード像として作られた作品です。
同時にそれまですっかり戦隊熱が冷め、小学校から卒業してもう散々娯楽を遊び尽くした私を再びスーパー戦隊シリーズへと引き戻してくれた戦隊でもあり、本作がなければ今も戦隊ファンを続けていないでしょう。
本作の素晴らしさはもう当時から語られ尽くしている気がしますが、未だにスーパー戦隊シリーズの中で「チェンジマン」「ジェットマン」と並んでよく見直す作品でもあります。
高寺Pにとって集大成の作品でありながら、同時に本作で初メインライターに抜擢された小林靖子先生のデビュー作でもあるという「温故知新」の作品です。


カーレンジャー」でセンセーショナルな音楽で戦隊史の歴史を塗り替えた佐橋俊彦大先生の音楽も本作で1つの頂点に達し、「オーレンジャー」から参加していた田崎竜太監督が初のパイロット監督に就任しました。
中堅どころをしっかり担った辻野監督と重鎮として重要な場面を締めてくれる長石監督という采配も絶妙で、本作は脚本だけではなく演出のローテや連携もバッチリで非常によく練られています。
そして何と言っても話題になったのはOPとEDを歌っている謎の新人歌手・希砂未竜…誰がどう聞いても「およげたいやきくん」を歌っているあの人なのですが、当時既に表舞台から姿を消したその人をもう一度呼び戻したことも衝撃です。
キャストで見ても、今や国民的俳優として活躍している照英氏はもちろんのこと「イケメン」の先駆けである前原一輝氏や末吉宏司氏、また元チェッカーズ高杢禎彦氏に元ニンジャレッドの小川輝晃氏となっています。
ヴィラン側も柴田秀勝氏や檜山修之氏などの豪華布陣であり、こんなにも充実した環境で一体感をもってじっくり1年間をかけて原点回帰のストーリーを作ることができたのは僥倖だったことでしょう。


さて、本編の魅力を入る前に余談ですが、2011年、ニコニコ動画で「自重できていない照英」の動画と「照英が泣きながら〇〇してる画像ください」がネットで流行っていました。
ちょうど「ゴーカイジャー」をきっかけに私も戦隊復帰した頃だったのですが、前原一輝氏のなかでこのネットでネタにされまくる照英氏が一番笑った話題だったそうです。
まあそんなネタ方面でも注目された本作ですが、今でも多くの戦隊ファンを惹きつけて止まない本作の魅力についてじっくり掘り下げて語っていきましょう。

 

 


(1)非常によく練られたヒーロー側の設定とアクション


本作最大の魅力は非常によく練られたヒーロー側であるギンガマンの設定とアクションであり、本作以前も以後もここまでヒーロー側のバックボーンがしっかりした戦隊は他にないと断言します。
まず世間から隔絶したギンガの森という特殊な世界でずっと宇宙海賊バルバンとの戦いに備え、3,000年間も臨戦態勢で準備してきた戦闘民族という設定が秀逸です。
他の戦隊にありがちな「たまたま選ばれてなりました」ではなく、星を守る戦士という使命を幼い頃から自覚し、有事に備えて戦士になるべくしてきちんと訓練してきたところに魅力があります。
しかも戦士を渇望するだけでなれるのではなく、過酷な競争で勝ち残り、アース・体術・剣術・棒術等々の実戦的な武芸百般をこなせるプロ中のプロだけが選ばれるという設定です。


当然それだけに使命感や覚悟といった点でもブレがなく、しかも選考の結果リョウマという落選者が出るというシビアな現実も描かれていますから、表面上の優しさと裏腹に実態はとても厳しい戦隊です。
またその設定が単なる表面上の飾りや戦いの動機に留まるのではなく、彼らの用いるギンガブレス、星獣剣、自在剣機刃、獣撃棒、ギンガの光、そしてアースといった変身後のアクションも活かされています。
たとえ力が強かったとしてもその力をむやみに振りかざしてはいけないし、バルバンとの戦いでは常に何が起きるかわかりませんから常に油断や慢心をせずに努めて謙虚に誠実に戦わなければなりません。
そんなギンガマンは歴代戦隊で見てもプロ中のプロとして描かれており、前2作の「カーレンジャー」「メガレンジャー」とは正反対できっぱりと正統派の正義の味方をしっかり作り上げています。


そして何と言っても本作最大の特徴は彼らの力の源になっている特殊能力「アース」にあり、名前からもわかるようにこれは「チェンジマン」のアースフォースのオマージュです。
アースフォースは地球が危機に陥った時に選ばれし者のみに貸し与える神秘の力と言われていますが、本作のアースはそれを星獣剣の戦士が訓練の末に磨き上げた大自然の力という風に洗練させています。
つまりアースフォースが「未知」の力であるのに対して本作のアースは「既知」の力であり、アースフォースという設定を90年代戦隊が導入したファンタジックな設定にうまく落とし込んだのです。
またそれが単なるギンガマンの力の源に終わるのではなく、終盤に大きなドラマの核としても絡んできますから、これらの諸設定がしっかりできているところが本作を非常に一貫性のある強固な作風に仕立てているのでしょう。


そういう風に戦いの動機と能力、そして戦士の設定が定まれば星獣剣、自在剣機刃、獣撃棒、ギンガの光といった各武器にも自ずと物語上の意味づけがしっかりなされていきます。
星獣剣とギンガブレスは星を守る伝説の戦士の象徴、自在剣機刃がギンガマンと星獣の絆の象徴、獣撃棒がギンガマンとモークの絆の象徴、そしてギンガの光がギンガマン5人の結束力の象徴なのです。
このように単なるパワーアップアイテムではなく、1つ1つの武器に存在意義を持たせて血を通わせ、アースを中心に「星を守るための力」と明確に規定したことで先達の作品群を凌駕しました。
それは同時に「オーレンジャー」が果たして得なかった「原点回帰」、すなわち昭和戦隊の諸要素を因数分解して時代に合わせてアップデートするという作業を果たしたことをも意味します。
徹底的に「ヒーローとは何か?」「戦隊とは何か?」を詰めて考えた結果、もうこれ以上はないであろう上質な戦士たちが完成したと言えるでしょう。


(2)炎の兄弟を中心とした魅力的なキャラクター


(1)の軸がしっかり固まった上での2つ目の魅力はリョウマとヒュウガの「炎の兄弟」を中心とした魅力的なキャラクターの数々であり、ここもまた大きな魅力でしょう。
頼りなさげだった優男から熱くてかっこいい男に成長したリョウマと熱い友情を築いた一郎とかブルブラックやブクラテスに利用しながらも頼れる兄さんだったヒュウガ。
更にヒカルをたしなめる実質のリーダーでありつつ常に状況を俯瞰し、またシェリンダとの因縁を保ち続けて最後まで理想の二番手を貫き通したハヤテ。
「気は優しくて力持ち」を地でいく当時の照英氏そのものであり、鈴子先生と相思相愛の仲にまで発展したゴウキなどメインキャラでもこれだけしっかり立っています。


更にはややいたずらっ子なトラブルメーカーでも、ギンガマン一の正義感を持つヒカルと熱い交流と決戦をしたデギウスに少年少女に優しいながらヒュウガに憧れを持っていたサヤ。
そして何よりそんなギンガマンと世間一般の人たちの架け橋にして狂言回しとしても機能してくれる青山親子…こんな風にキャラクターの特徴がシンプルながらも非常にわかりやすいのです。
このあたりは90年代戦隊の長い試行錯誤を踏まえてのバランスだったと言えますが、リョウマとヒュウガを中心にどのキャラクターも満遍なく見せ場があり偏りがありません
「ここでこのキャラ回がきて欲しい」というめぼしいところをきちんと押さえていますし、しかもそのキャラクター同士の関係性によってお互いのキャラクターが相乗効果で際立っています

 

こういう風に年間のストーリー構成が非常に緻密でありながらも、誰が見ても違和感なく取っつきやすいのが本作が万人受けし大ヒットした秘訣なのです。
こんなことを書くと、「いやそんなの簡単じゃん」と反論されるかもしれませんが、こういう普遍性のあるわかりやすさを作り出すのは決して簡単なことではありません
どうしてもストーリーを懲りすぎて大人向けに行きすぎたり、シンプルにしすぎてキャラが薄くなったり、キャラに偏りすぎてストーリーが破綻したりもします。
本作はそのようなことが一切なく、ストーリーとキャラクターのバランスに優れており、本当に理想的な形に作品が収まっているのです。


(3)最後までしっかりと脅威を保った宇宙海賊バルバン


そんなギンガマンと最後まで死闘を繰り広げることになる宇宙海賊バルバンもまた個性的な能力とキャラクター性を持った理想的な悪役だと言えます。
船長ゼイハブとその愛人にしてNo.2と思しきシェリンダ、更に知恵袋とコメディリリーフを兼任しているブクラテスを中心に多士済々の個性的な軍団で構成されていました。
ボーゾックの先祖としか思えないサンバッシュ魔人団に外道衆の先駆けであるブドー魔人衆、更にマジレンジャーに出てきそうなイリエス魔人族、そして新帝国ギアにいそうなバットバス魔人部隊。
このように4つの軍団が1クールごとに手を替え品を替え暴れていき、行動理念から台詞回し、さらには交代劇まで含めてしっかり美味しくキャラクターを使い切っています。


スーパー戦隊シリーズに限りませんが、どうしても敵組織を運営する上で苦労するのが幹部連中の使い分けであり、昔の作品ではよく1クールごとに新しい敵を登場させたのです。
そこを本作では最初からしっかりと構想して使い分け、しかも中盤に入ると闇商人ビズネラというブクラテスの上位互換の新幹部も登場させ、参謀としてバットバス魔人団に加わります。
音楽や演出のタッチもしっかり1クールごとに変えており、こういう風に受け手を飽きさせない工夫が凝らされているところもまた本作のよくできたところでしょう。
特にギンガの光を探ってのギンガマン、ブドー魔人衆、そして黒騎士ブルブラックの三つ巴の争奪戦を描いた2クール目中盤は本作のベストバウトです。


そして何と言っても宇宙海賊バルバンが脅威を失わずに済んだのは彼らが乗り物でありラスボスとして用いている魔獣ダイタニクスとその生まれ変わりである地球魔獣にあります。
個性的なバルバンの行動目的が方法は違えど全てが「魔獣ダイタニクスの復活」「地球魔獣を急成長させる」という一貫した目的の元に組まれているのです。
更に魔獣ダイタニクスと地球魔獣はどちらも星の命をくらい宝石に変換させることができる、つまり「アンチ星獣」という存在意義が終盤で明らかになります。
終盤のゼイハブが自身の星の命を体内に埋め込んで無限のパワーを得ていたことでギンガマン立ちを圧倒する強さを得ているのもよくできていました。
このように、本作は最終回まで敵側のバルバンが常にギンガマンに対して脅威を保ち続け、純粋悪としての美学を貫き通したことで歴代屈指の完成度を誇る敵組織となったのです。


(4)外的(=公的)動機も内的(=私的)動機も全てを果たした理想のヒーロー


さて、そんなギンガマンですが、私の見立てでは本作でようやく「外的(=公的)動機」と「内的(=私的)動機」の双方を全て実現した理想のヒーローが誕生したと思います。
本作のギンガマンは外的(=公的)動機として「星を守る」、内的(=私的)動機」として「ギンガの森を元に戻す」があり、更に終盤では「離脱したヒュウガを救済する」もありました。
この双方の目的をきちんと果たし、公と私の双方とも守り、どちらかを決して犠牲にしないという「ジェットマン」以降のシリーズが目指したヒーロー像がようやく本作で完成したのです。
もっとも、それは「カーレンジャー」も「メガレンジャー」もそうなのですが、「カーレンジャー」では「夢の車を作る」は実現していませんし、「メガレンジャー」も自己犠牲を終盤で行いました。


本作でも一応黒騎士ブルブラックの死やデギウスの死など犠牲がないわけではないのですが、ブルブラックは最終的に魂をブルライアットに封印し星を守る戦士に戻ってヒュウガに力を託します。
また、デギウスも最終的に悪事へ加担する形になったものの、ヒカルと交流したことで星を守る戦士としての自分を思い出すことはできたのですから、無駄な犠牲ではありません。
そしてそれがどのように実現したのかというと、注目すべきが終盤でアースを喪失しリョウマたちの元を離れたヒュウガがアースを取り戻すあの最終回で実現することになります。
賛否両論ありますが、あの最終回でのリョウマがヒュウガを救済する場面は第一章の伏線回収というだけではなく、年間のストーリーを総合してよくできた話なのです。


まず失われたはずのアースが元に戻る展開は第四章のヒカルが一度放出して失われたアースを己の心一つで取り戻す描写があり、ここで既に最終章への伏線は貼られています。
2つ目に、ヒュウガがブクラテスを通して終盤で体験したことは「故郷の星を失うこと」以外は全て黒騎士ブルブラックが経験したことの疑似的な追体験です。
バルバンへ復讐するために何もかもを捨てたブルブラックと全く同じことをしたブクラテスとの関わりでヒュウガはブルブラックの気持ちをより痛烈に感じていました。
だからこそラストでの「復讐のために何もかもを捨てるのはやめろ」という言葉が響くのであり、黒騎士にその力を利用されたヒュウガでなければこのセリフは言えなかったでしょう。


そして最後に、リョウマがヒュウガを説得して星を守る戦士に戻す展開は第二十五章でクランツの魂がブルブラックを星を守る戦士に戻す展開としっかり重ねているのです。
そう、リョウマは「星を守る戦士になり得たクランツ」であり、それとは知らずクランツの魂と同じことをリョウマはヒュウガに対しても行っています。
「星を守る」の「星」には当然「人」も含まれており、たとえ身内であろうと何だろうと、救える命は全て救うというギンガマンのヒーロー像がここで結実するのです。
また、このシーンを持って「旧世代のレッドであるヒュウガ」から「新世代のレッドであるリョウマ」への世代交代が完了し、スーパー戦隊シリーズはここに見事復活を遂げました。
「ジェントマン」以降、否、もっというと「チェンジマン」からずっと続いてきた新しいヒーロー像の模索と追求がようやく本作で完成を迎えたのです。


(5)「ギンガマン」の好きな回TOP5


それでは最後にギンガマンの好きな回TOP5を選出いたします。年間のストーリー構成が見事すぎるので選ぶのに苦労しましたが、第一章と終盤以外から選びました。

 

  • 第5位…第四章「アースの心」
  • 第4位…第十章「風の笛」
  • 第3位…第二十章「ひとりの戦い」
  • 第2位…第二十五章「黒騎士の決意」
  • 第1位…第二十六章「炎の兄弟」


5位はハヤテとヒカルの関わりを通して「アースとは何か?」を定義し、ギンガマンというヒーロー像の基本を完成させた名作回で、しかも最終章の伏線にもなっています。
4位はハヤテのキャラクターを掘り下げた自由度の高いサブエピソードで、佐橋先生の音楽と辻野監督の美しい情景がマッチした叙情的な回として印象的です。
3位はリョウマとブルブラックの価値観の相克と同時に騎馬戦での迫力ある一騎打ちがとても見ごたえのある傑作回で、ここでリョウマのキャラが実質の完成を迎えます。
2位はその黒騎士とリョウマの関係が1つの完結を迎えた傑作回であり、ラスト5分の壮絶なストーリー展開と演出は「ロード・オブ・ザ・リング」に匹敵するスケール感。
そして堂々の1位は本作をこれ以上ないまでに象徴し、リョウマが真のギンガレッドに、そしてヒュウガが真の黒騎士になる1つの集大成として最高のエピソードでした。


こうしてみると、本当にどのエピソードの素晴らしく、基本ハズレがないなあと思いますね。正直まだまだ語り足りないくらいです。


(6)まとめ


さて、我が人生のバイブルにして今後も絶対変わることはないであろう「ギンガマン」の魅力を掘り下げて語りましたが、いかがでしょうか?
いやあ、どうしても思い入れがどの戦隊よりもダントツである分、文章量もついつい長く熱くなってしまいますね。
正直これでも全然語りつくせないほどなので、また何かの機会があれば一話一話じっくり向き合って感想を書いていきたい一作です。
とにかく、本作をもってスーパー戦隊シリーズ完全なる新生と復権を遂げ、次作「ゴーゴーファイブ」へと繋がっていきます。
総合評価はもちろん文句なしのS(傑作)、誰が何と言おうとこの評価は今後も変わることは絶対にないでしょう。

 

 

星獣戦隊ギンガマン

ストーリー

S

キャラクター

S

アクション

S

カニック

B

演出

S

音楽

S

総合評価

S

 

評価基準=S(傑作)A(名作)B(良作)C(佳作)D(凡作)E(不作)F(駄作)

 

 

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